かみしほろ人材センターで酪農にチャレンジ!(前編)~餌やり編~
まちづくり会社が運営している「かみしほろ人材センター」では、上士幌町の法人・個人から短期で簡単な仕事の依頼を受け、人材センターの会員の方に仕事を紹介する仕組みがあります。
私たちJICA訓練生は昨年12月より、町の困りごとを解決すべく人材センターに登録して、さまざまな業務にあたってきました。
そんな中、「仔牛のミルクやりを手伝ってほしい」という依頼を受けたのが12月上旬のこと。酪農知識がゼロの私たちですが、せっかくの機会なのでと、12月13日よりJICA訓練生4人が日替わりでお手伝いに行ってきました!
WRITER
中山 舞子
1992年生まれ。千葉県在住。青年海外協力隊としてインドに派遣予定。海外派遣の目途がたたない現在、上士幌町に5ヶ月間滞在中。外からの目線で上士幌の魅力を掘り下げて行きます!
早速、牧場へ
「牛のミルクやり!? やってみたい!」そう二つ返事で答えたはよいものの、牧場のお手伝いどころか、観光牧場でソフトクリームを食べるくらいの経験値しかない私。しかし何事もやってみないことには成長はない! ということで、とにかくやってみることに。
初めての牧場のお仕事は、ハラハラドキドキ、やってみると驚きと感動でいっぱいでした。
前編では牛の餌やり、そして牛舎で生まれたての仔牛たちのお世話の様子をレポートしていきます。
今回お世話になるのは上士幌町萩ヶ丘地区にある荒井牧場さん。ご夫婦で経営されており、保有する牛は育成牛も含め約230頭。平成28年に最新の自動搾乳機を導入し、機械管理が進んだものの、命を扱う仕事である以上常に牛の状態を気にしている必要があります。そんな多忙なお二人の1日の中で、私たちは15時から17時までの2時間お手伝いに入り、牛の餌やり、寝床のお掃除、仔牛のミルクやりなどをお手伝いしました。
おしゃべりはほどほどにして、さっさと始めるよ~!
あっ、仔牛のモウくん! 今日はよろしくね!(なんで牛が喋ってるの・・・?)
さっそく牧場で働くための恰好に着替えます!
動きやすい服装の上に、外はかなり冷え込むため厚めのウィンドブレーカーを羽織ります。
外作業開始
まずは外にいる牛の餌やりから。最初に生後3〜5カ月程度の離乳したばかりの仔牛たちの小屋へ行きます。
それにしても寒すぎる! この日は約マイナス10度。すでに手がかじかんできました。この寒さの中、平気な顔をして外で生活している牛たちってすごいなー。
あれ、仔牛が一頭もいない!?!?
「今日はみんなどこかに行っちゃったのかなー?」
ひとまず餌の準備をしていきます。
この細長いタンクに餌が入っているんです。
飼料の吹き出し口に手箕(てみ)という柄なしのスコップをセットします。
すると!エサの準備を始めたとたん、牛舎の裏側からすごい勢いで仔牛たちがやってきました。
みんなさすがによく分かってますね~。
餌をほしそうにこちらをジロジロ見てきます。レバーを上げると餌が勢いよく出てくるので注意!
手箕に一杯入れたらそれぞれの場所に置いていきます。仔牛たちは警戒しているのか、餌をやっている途中もそこまで近くには寄ってきません。
なかには人懐っこい仔牛もいます。餌を一生懸命に食べる仔牛たちが可愛くてずっと見ていたい気もしますが、時間に余裕はありません。どんどん次にいきましょう。
次はさっきより少し大人の、月齢6カ月程度の牛たちに餌をやります。
僕たちはこのデントコーンの餌が大好きなんだ。でも栄養が偏らないようにサイレージという牧草を発酵した餌もちゃんと食べるよ。
先ほどの要領でこの子たちにも餌を置いていきます! すると、みんな美味しそうにもくもくと食べてくれました! 嬉しい!
おやおや!? よく見ると・・・
定員オーバーだったようです。
「ちょっと~、僕も入れてよ~!」
そんな声が聞こえてきそう。牛にもそれぞれ個性があって、いろんな子がいて可愛い!
次の牛群へ移動します。外の餌やりの最後は、初産を迎える母牛たち。
さっきの仔牛たちと大きさが全然違う! お母さんたちには、なみなみと二杯あげます。
お母さん牛は勢いよく食らいつくから、走りながら餌をあげた方がいいよ!!!
走ります!!!!
あまりの勢いにスコップに頭突きを受け、こぼしてしまいました・・・。
牛は手前から奥までずらりと並んでいますが、手前にいる牛が明らかに強そう!牛の中にも上下関係があるんだろうな~。奥の牛たち、頑張れー!
無事餌やりが終わったら、牧草を牛たちが食べられる位置に寄せます! 寒くて牧草がしばれているせいもあり、かなり重たい。
6カ月の牛たちにもスコップ一杯の牧草サイレージをあげるんだよ。
最後にかき集めた牧草サイレージをさっきの6カ月の仔牛たちにあげたら、外での作業は終わりです! 外の気温はかなり低いですが、いい汗をかいてすっかり体はポカポカです。
お疲れさま! 牛舎に戻るよ!
牛舎内の作業へ
牛舎の中に入ると一番手前に小さな小屋が並んでいます。そこにいるのが生まれたばかりの仔牛たち。
生まれて1週間はまだ力が弱いから、人間の手でおっぱいをあげる必要があるんだ。お腹が弱かったり、体調が優れない仔牛もここにいるよ。
まずはミルクをあげる前に仔牛の寝藁を綺麗なものに交換します。
「ちょっと失礼~!」
運動不足の人や体が硬い人はここで足がつることがあるから注意!
藁を足で外に出していきます。
小屋の中に入ると私を母牛だと思うのか、おっぱいを探し求めて私の腕や体に一生懸命かじりつこうとしてきます。
元気のいい子はかなりちょっかいを出してくるので藁を外に出すのも一苦労。全部出し切ったら、裏側に積んである新しい藁を小屋の中に入れていきます。
仔牛の寝床が作れたら、古い藁を片づけます。
向こうにいる仔牛を見てごらん。生後1週間ほど経って、哺乳に問題がなければ向こうの遊び場に移動するんだよ。
仔牛の首に首輪がついてるでしょ? あれにはセンサーが入っていて一頭一頭の仔牛の状態が管理できるようになっているんだ。
遊び場の一角が囲いになっていて、仔牛が一頭だけ入れるようになっています。
ここで問題だよ!この赤い囲いに入って仔牛がしていることとは何でしょう?
正解はこちら! 自動哺乳期からミルクを飲んでいるんだ。
自動哺乳機はまだミルクが必要な仔牛が近寄ると、牛の乳頭をかたどった飲み口が出てくるようになっており、その仔牛の摂取量に達すると自動的に引っ込んでしまいます。引っ込んでしまったおっぱいをずっと見つめ、鳴きながらもっとほしいと懇願する仔牛を見ているとちょっと切ない気持ちにも。
僕たちは残念ながらミルク飲み放題というわけにはいかないんだ。でも機械化することで仔牛のミルクの飲む量や健康状態もすべてデータで管理ができるから、とても効率的でみんなにとってもプラスなんだって。
ここまでで作業の約半分が終了しました!
外での餌やりは寒いけど、それぞれ牛たちの反応が違っていて面白い。何度やっても飽きません。そしてその後の畜舎の中では、おっぱいを探し求める仔牛たちにたっぷり癒されました。
後編はいよいよメインイベントのミルクやりの様子、そしてなんと、幸運にも滅多に立ち会えることのない牛のお産シーンに遭遇します。最後に荒井さんとお話することもでき、さらに内容は盛りだくさん。ぜひ、お楽しみ!!