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かみしほろの暮らし

いつまでも昔の話で笑っていたい場所、「サン・クロス」【後編】

2021.3.18
インタビューサンクロス喫茶店思い出須藤か志こ

1968年に開業した上士幌町のカフェ「サン・クロス」。前編ではこのお店の歴史やこのお店のお母さん・辻洋子さんのお話をお伺いしました。後編は、たまたま居合わせた常連さんと上士幌町の歴史などについて語ることになりました。取材であっても、たまたま居合わせた方とトークを広げる、これが喫茶店のカウンターのよさですよね。少しでもこの場所の雰囲気を味わっていただければ。(取材日:2020年10月)


WRITER

須藤 か志こ

釧路市在住の24歳。北海道の各地域に出向き、取材や執筆をしています。この記事の執筆のため、上士幌に初めて訪れ、その面白さに心が惹かれています。


気球を飛ばしたあとは「サン・クロス」へ

お二人が営む「サン・クロス」の窓枠には、豪華なステンドグラスが嵌め込まれています。カラフルな気球のデザインが施されており、ここ上士幌町が気球の町であることを伺わせます。

気球の町として、いまよりももっと盛り上がっていた頃も、ここ「サン・クロス」は、多世代の交流の場として使われていたようでした。

そのときのお話を聞こうとしたとき、再び、別の常連さんが登場。すると、洋子さんが「ちょうどよかった!おいでおいで」とカウンターに招きます。

どうやら、この方・菅原博治さんが上士幌町を気球の町へと成長させた立役者の方とのこと。

せっかくなので、菅原さんも交えて、上士幌町が気球の町として知られるようになった経緯について伺ってみることに。

須藤

そもそも、なぜ上士幌町は気球の町として知られるようになったんですか?

菅原さん

元々大学生を中心とした気球チームが、ニセコなど、北海道各地でバラバラに気球を飛ばしていたんだよね。そのときに、みんなで一同に会して集まれる土地がないかと探していたとき、上士幌町が選ばれたんだ。

須藤

へえ!それは、どなたかが号令をかけて集まったんですか?

菅原さん

実は、私の知り合いが上士幌町に農業実習で来ていて。その知り合いの妹さんが気球をやる人で、「上士幌町ならできるんじゃないか」ということで、やってみることにしたんだよ。

須藤

なるほど。どうして上士幌町は気球を飛ばすのに向いているんですか?

洋子さん

まず、風が強い土地ではないからでしょうね。それから、上士幌町には、酪農家さんが多いでしょう。昔は牧草地がたくさんあってね。牧草を刈り取ったあとに気球を上げていたのよ。広い土地を目いっぱい使えるからね。

須藤

なるほど。海辺の町じゃできないことですね。地元の人の反応はどうでしたか?

洋子さん

うーん、地元の人でも参加している人はいたけれど、当時は賛成派とそうでない人が、半分ずつくらいだったかなあ。

須藤

それはなぜですか?

洋子さん

牛がびっくりしちゃうんですよね。だから最初は大変だったと思います。

須藤

そうなんですね。

菅原さん

それでも、だんだんと気球が定着していって、この間50周年を迎えたんだ。

須藤

50周年ですか!すばらしいですね。

菅原さん

最初にここで気球を飛ばし始めた連中は、まだまだ活躍中だよ。全国あちこちで大会を主催したりしているの。

洋子さん

いやあ、本当にきれいだったよ。気球をやろうって上士幌町に来てくれる大学生も多くて、「サン・クロス」にもよく来てくれたの。

須藤

当時から、外から来た人との交流の場所になっていたんですかね。

洋子さん

結果的にそうだったかもしれないですね。外からの人と地元の人でお店がいっぱいだったの。

菅原さん

いい景色の中で、気持ちよく気球を飛ばしたい。そういう純粋な気持ちを持った海外からの選手、若い大学生が上士幌町に来るんだ。気球を飛ばして終わりじゃなくて、みんな気球について話したくてしょうがないんだよね(笑)。だから自然と「サン・クロス」に集まっていたんだろうね。上士幌町にそんな人たちがたくさん来ることがないから、地元の人たちにとっては新鮮な経験だよね。上士幌町にいながら外から来た人と交流ができる。そんないい時代だったよ。

以前の上士幌町に思いを馳せる菅原さんの目は、過去の栄光を懐かしむものではなく、いま正に気球を目の前にしているかのように楽しそうに輝いています。

いつまでも同じ話を繰り返すように

およそ50年前「広くて風が強くないところ」という理由で気球人口が少しずつ増え、気づけば「気球といえば上士幌町」とまで認知されるようになった上士幌町。

民間による開拓、戦争、糠平ダム建設、そして気球。いくつもの点が連なり、上士幌町は現在に至ります。

上士幌町の歴史を伺ったところで、ホットコーヒーをすすりながら再び辻ご夫妻にお話を伺ってみます。

須藤

いまも昔も、ホットコーヒーが一番出ているメニューなんですか?

洋子さん

そうですね。帯広から豆を取り寄せているの。

須藤

何かこだわりはあるんですか?

洋子さん

うーん……。美味しいもの!

須藤

そうですよね(笑)。

洋子さん

そう、美味しいものを使ってます(笑)。昔はもっとたくさん出てたから、わざわざ配達に来てもらってたの。でも基本的には豆は豆屋さんにお任せ。だって豆屋さんなんですもの。

カラッと話す洋子さん。

須藤

この町で53年続けてきた「サン・クロス」ですが、何か印象的だった出来事はありますか?

洋子さん

そうですね……。どの時代にも、そのときそのときの大変さがあったよね。夜遅くまで営業していたときは体力も続かなくて、寝ちゃうときもあったし。子育てもしていたから、子供とお店と何回も往復して。

須藤

そうですよね。

洋子さん

それでも通ってくれるお客さんがいるからなんとかね。私、栄養士の資格を持っているから、お客さんに出す料理もいろいろ考えるわけ。美味しさと栄養のバランスを考えながら作るんだけど、料理を出しても誰も「美味しい!」なんて言ってくれないのよ。

須藤

ええ?どうしてですか。

洋子さん

みんな漫画に夢中なんですよね(笑)。だから味の感想なんて言ってくれないのよ。うちにはいまの副町長さんもずっと通ってくれていたんだけど、あるとき「美味しい?」って聞いてみたの。そしたらさ、「美味しくなけりゃ来るわけないっしょ!」って言ってくれて。いやあ、ほっとしましたね(笑)。

須藤

いまはお料理は出されていないんですか?

洋子さん

フライパンが重くて、腕を怪我しちゃってね。いまはフライパンを振れないんです。

須藤

そうだったんですね。

洋子さん

夫も病気がちで、あまり体調が良くない時期があったの。いろいろ重なって、店を畳もうと思ったときもあったんだけど、町の人が「ここがなくなったらほかに行くとこない」って言ってくれてね。細々と続けてきたら53年です。

須藤

でもお二人ともとってもお元気そうに見えます。

洋子さん

いやあ、身体は曲がるし胃は切除するし頭の回転は鈍くなるし(笑)。うちも井の中の蛙だからさ、新しい話も入ってこないわけ。

須藤

でも、ずっと同じ話をするのも楽しくないですか?昔の笑い話を繰り返すとか。

洋子さん

そうね、確かに「あの頃はさあ」とか「あのとき、あいつはさあ」とか。そういう話ならいくらでもありますよ(笑)。

—–

カウンターの向こうで冗談を言い合いながら、息のあったコンビネーションでドリンクを作るお二人の姿を見て、「きっとこのお二人は、ずっとこうしてきたのだろうなあ」と思います。

洋子さんのお気に入りだというチェ・ゲバラのTシャツと、隆弥さんのかっこいいベルト姿は、私には持ち得ない若々しさすら感じさせられます。

盛り上がったり落ち着いたり、騒がしくなったり静かだったり、目まぐるしく変わってきた上士幌町。町と共に53年間存在するこの喫茶店が、いつまでもそこにある変わらない場所として続くよう、願わずにはいられないのでした。

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