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かみしほろの暮らし

いつまでも昔の話で笑っていたい場所、「サン・クロス」【前編】

2021.3.17
インタビューサンクロス喫茶店思い出須藤か志こ

鬱蒼とした庭、小さな立て看板、その奥に覗くステンドグラス。ここは上士幌町の喫茶店「サン・クロス」です。A4サイズのコピー用紙に、丸っこい字で書かれた「9:00〜6:00までです。」という文字が入り口のドアに貼られており、なんだか秘密基地のよう。どんなお店なんだろうとワクワクしながら扉を開けると、すぐに耳に飛び込んできたのは、お客さんの小さな笑い声。「ああ、いいお店だ!」という期待と共に始まった、「サン・クロス」を営むご夫婦のインタビューをお届けします。(取材日:2020年10月)


WRITER

須藤 か志こ

釧路市在住の24歳。北海道の各地域に出向き、取材や執筆をしています。この記事の執筆のため、上士幌に初めて訪れ、その面白さに心が惹かれています。


上士幌町の若者が集まる「サン・クロス」

上士幌町出身の辻洋子さんと京都府出身の辻隆弥さんが出会ったのは、京都の大学でした。

結婚後、洋子さんのご実家がある上士幌町に戻ったのは54年前。

「一体この町で何ができるのだろう」と考えていたお二人に、洋子さんのお母様が提案したのが、喫茶店だったそうです。

洋子さん

私の母が上士幌町で歯科医をやっていましたので、そこで喫茶店をやってみないかって言われて。

須藤

2階が歯科医で、1階が喫茶店!珍しいですね。

洋子さん

そうそう。その頃、この町には喫茶店がなかったので、母はそういう場所があるといいと思っていたみたいで。

須藤

開業してから何年になりますか?

洋子さん

53年。

須藤

えっと……1968年ですね。

1968年といえば、若者文化の成長が著しかった時代です。学生運動なども盛んで、活気に満ちた時代に「サン・クロス」は誕生しました。

洋子さん

その頃、上士幌町には1万人くらい住んでいたと思います。いまの人口の2倍くらいは人がいたと思います。

須藤

そんなにいたんですね。お客さんは、どんな人が多かったですか?

洋子さん

もちろんずっと上士幌町に住んでいる人もいたけれど、当時大きなダムの開発事業が行われていたの。

須藤

糠平ダムですね。

洋子さん

そうそう。そこで働いている人も大勢いたし、昔、役場がこのお店の目の前にあったから、役場の人もたくさんいらっしゃいました。

須藤

地元の人と、そうじゃない人と入り乱れて。

洋子さん

もう、すごかった(笑)。毎日毎日お客さんがいらっしゃて……。いまは18時までの営業だけれど、当時は深夜の1時とか2時まで営業していました。

須藤

全然休めないですね。

洋子さん

当時、若い人が行くところがないので、それが当たったのね。とても忙しかったです。でも、私たちも若かったからやっていけて。朝にお店の前を通ったら、酔ったお客さんがお店の前で寝ていたことありました。

須藤

上士幌町ってお酒が好きな方が多いですか?私の個人的な印象なんですけど、皆さんお酒好きで、なおかつお強い気がします。

洋子さん

今の人はどうだかわからないけれど。ああ、そう!うちの人(隆弥さん)もお酒好きで、昔はお客さんと一緒にワイワイ騒いで楽しかったです。

隆弥さん

……あんまりそういうこと言うなよ(笑)。

須藤

あはは(笑)。

洋子さん

インタビューなんだから面白いこと言った方がいいでしょ(笑)!

洋子さんと隆弥さんの些細な掛け合いも、「サン・クロス」に温かい笑いを生み出します。

取材の場には、普段から通われている常連さんも。お話を伺ってみました。

須藤

お店にはいつ頃から通われれているんですか?

常連さん

僕は学生の頃から通っていますね。

常連さん

俺はやっぱりこういう場所、喫茶店が好きだから。50年前から通っていてね。

洋子さん

うんうん。昔は、高校生もたくさん来てました。

常連さん

そうだね。でも、みんなここしか来るところがないから、デートの場所がいつもかぶるんだ(笑)。

洋子さん

誰と誰が付き合ってたとかも覚えてるよ。結婚披露宴もたくさん呼ばれました。

しみじみとする洋子さん。

洋子さん

そうそう、あっちゃんも来てくれてましたよ。

「あっちゃん」というのは、ホロロジー・スタッフの宮部さんのお母様。

宮部

私も、親に連れられてよく来ていました。パフェ目当てで!

洋子さん

いまは作るのが大変だから出していないけれど、パフェも作ってましたよ。

長年通う常連さんや、小さい頃を知っている宮部さんと話しながら、洋子さんは目を細めます。

洋子さん

いまの高校生はどこで遊んでるのかなあ。

宮部

多分町外ですね。帯広まで出ていると思います。

洋子さん

あら、そう!いまじゃこの辺りで遊べるところがないからねえ。

話しながら、少し寂しそうに呟く洋子さん。ここで、話題を「サン・クロス」開店前、洋子さんの生い立ちと、町の歴史に移します。

須藤

洋子さんは昭和14年生まれだとお聞きしました。戦時中の上士幌町は、どんな様子だったんでしょうか?

洋子さん

私の父親は住職だったんです。彼は最初オペラ歌手になろうと思っていて、でも声が出なくて牧師に……。でもなんやかんやあって住職に。

須藤

インパクトのあるキャリアですね。

洋子さん

そういうわけで、父は疎開してきた人やら、傷病人の手当てなどをしていました。本別町では空襲があって、たくさんの方が亡くなったそうです。

須藤

そうなんですね。

洋子さん

当時はまだ農作物もなかなかとれなくて、いまのような美味しいご飯は食べられなかったんですよね。いまはスイートコーンやら何やらって美味しいものたくさん食べられるけれど、当時は何にもとれるものがなくて。子供たちはカボチャばっかり食べていたので、みんな手が黄色くなって。

須藤

不毛の土地だったんですね。

洋子さん

冬はとっても寒くて、マイナス20℃を下回る日も多くてね。それでも生きていたのですよ。

須藤

洋子さんは、帯広市の高校に通われていたんですよね。

洋子さん

SLで通っていました。チャッチャポッポチャッチャポッポって(SLの音を再現する洋子さん)。

隆弥さん

言い方が明治なんだよなあ(笑)!

洋子さん

ふふふ(笑)。煤で顔を真っ黒にしながら通っていましたよ。

須藤

当時、この辺りの高校から大学に進学される方は珍しかったんでしょうね。

洋子さん

私の同級生は、実は商売人の息子さんや娘さんが多くて。今は、上士幌町に残っている人はおろか、帯広に残っている人も少ないんじゃないかな。

須藤

そうなんですね。意外です。

洋子さん

みんな、どこかに進学したり就職したりと、地元を離れていきましたね。だから私の世代で地元に残っているのは、私くらいじゃないかなあ。

須藤

洋子さんは京都の大学へ進学されたと伺いました。

洋子さん

そうそう、そこで夫と出会ったの。私は当時、食品化学関係の学部に通っていて、栄養士の資格をとるために勉強していてね。まさか帰って喫茶店開くなんて思っていなかったから、とっておいて良かったよねえ(笑)。

口を大きく開けて笑う洋子さん。すぐそばで話を聞いている隆弥さんも、静かに微笑みながら氷を砕いていました。

話の途中ですが、後編は、取材の途中で隣席に来られた常連さんにもお話をお伺いしました。多くの人が行き交うサン・クロスで、ステンドグラスの絵にもなっている気球の町へと成長させた立役者だと言います。ちょっと話は脱線して、上士幌町の歴史について少しお話もお伺いしました。思わぬ来客があるのも喫茶店のカウンターにいる良さですから。

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