「キラキラの会」ご紹介
上士幌のちびっこに大人気のヒーロー「エゾレッド」先日新たに仲間に加わった「エゾドライブ」
その生みの親である「キラキラの会」代表の渡部さんにインタビューしました。
左からエゾレッド、オモタクナール、エゾドライブ
WRITER
岩部 栄美
2021年10月~上士幌地町地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。北海道清水町出身。これまでのいろいろな経験を活かし、まちの魅力を伝えるライターに挑戦。
PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
「キラキラの会」とはどういう会ですか?
大人が一生懸命頑張る姿、楽しいことをすることで、それを見た子供たちが『楽しそう!!』とキラキラとした目で見てくれるようなことがしたい!!と先生と保護者で立ち上がった会。
インタビューに答えてくれた渡部さんに更に色々聞いてみました。
~エゾレッド誕生秘話~
渡部さんのお子さんが当時、ウルトラマンがすごく好きで、色々なイベントのヒーローショーを見に行っていた時期のことです。
帯広のイベントの『ご当地ヒーロー同士の対決』を見て感動し、『帯広でもこんなヒーローショーができるんだ!すごい!』
と同時に感じたそうです。
『上士幌でも近くに会えるヒーローがいたらいいな・・・!』
当時はそう思うだけだったそうです。そんなとき、キラキラの会から参加しないかと誘われた渡部さんにチャンスが訪れます。
そこで、『ヒーロー作ったらどうでしょう?』とダメ元で提案したところ皆さん賛同してくれて、そこからヒーローを作る方向で話し合いになりました。
そうして誕生したヒーローの名前は「エゾレッド」!!
将来何になりたい?と聞かれた園児が「エゾレッド」と言ってくれるほどの人気ぶりです!
そして先日、初の仲間「エゾドライブ」がお披露目になりました!!
お披露目初日から大人気のエゾドライブ
その様子を見に行ったところ、エゾドライブが現れるやいなや大歓声に包まれ園児たちも大興奮。
あっという間に人気者になってしまいました。
解説しよう!①エゾレッドの秘密
《名前の由来》
単純に北海道の蝦夷。リーダーはやっぱりレッドでしょう!
《衣装の秘密》
地球に優しい廃材を使用。実は…マントはあの熱気球の球皮でできてるんだぞ!
《必殺技温泉ビーム》
ほろんちゃんにパワーをもらってオモタクナールを倒し、平和を守ります!
解説しよう!②エゾドライブの秘密
《名前の由来》
上士幌自動車工業さんに協賛していただいたのでドライブと命名。
《衣装の秘密》
レッドと共にもちろん全て手作り。車関係にちなんで衣装に信号機とタイヤをデザイン。 こども園の保護者から不要になった洋服や小物を集め制作した渾身の力作。環境にも配慮しているのだ!
気になる今後の活動は?
今後は色々なイベントに参加して、上士幌の公認ヒーローになってくれたらうれしい!という胸のうちを話してしれました。コロナ禍でなかなか思うように活動できないですが、エゾドライブが誕生したので交通安全指導など、子どもたちに教育の指導もできるようなキャラクターにしていきたいそうです。
子どもたちの教育にも一役買っているエゾレッドとエゾドライブ。
大好きなヒーローを通じて学べる環境はとても素晴らしいですね!
今後もいろいろな企業とコラボしてニューヒーローが登場するかも知れませんので、お見逃しなく!
「キラキラの会」は保護者じゃなくても、地域の方で一緒に子どもたちの目をキラキラさせたい!という想いを共有できる仲間を随時募集しています。
【キラキラの会問い合わせ先】
上士幌町認定こども園ほろん 担当:四戸、鎌田、中野
TEL:01564‐2‐3686
糠平湖氷上サイクリングモニターツアーを体験
今年から糠平湖への自転車の乗り入れが可能になりました。
2月11日より氷上サイクリングを楽しむことができます。
それに先駆け安全確認のため関係各所許認可のもとモニターツアーの体験をしてきました。
ほかにも冬のアクティビティがあるので、併せてご覧ください。
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WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
2月11日から始まったサイクリングとはスタート位置が若干違い、今回のサイクリングモニターツアーは五の沢のアイスバブルカフェからスタートします。
ガイドは日本サイクルツーリズム推進協会サイクルガイドであるSaGaRideの相楽さん。
2020年よりサイクルガイド、及びバリスタの資格を有し、シフトコーヒーというイベントや出張でカフェを運営をしており、五の沢のアイスバブルカフェのマスターもしています。
アイスバブルカフェでガス穴のことなど、サイクリングの注意事項を聞いていよいよスタートです。
サイクリングの説明を受けるツアー参加者たち
先頭を走るガイドの相楽さん
この日は気温も少し高めで風もなく、サイクリングするにはちょうど良い天気。
サイクリングのコースはなく、歩行者によって踏み固められた道を行きます。
道を外すとサクサクした雪にタイヤを取られてしまうので気をつけて走らなければなりません。
また歩行者とすれ違うときは危険なので、自転車を降りて通り過ぎるのを待つか横にそれて追い越してから再び自転車に乗りましょう。
道中、相楽さんのガイドを受けながらタウシュベツ川橋梁を目指します。
アイスバブルの説明を聞く
キノコ氷の説明を聞く
タウシュベツ川橋梁に向かって走る
タウシュベツ川橋梁についたら自転車を降りて見学をします。
タウシュベツ川橋梁とニペソツ山を背景に記念撮影
見学が終わると、再び同じ道を走り入口まで戻ります。
同じ道を通って戻る
途中でスノーエンジェルを作る参加者たち
約1時間20分のサイクリングツアー。
一本道なので幅が狭く少し大変でしたが、風を切って走る楽しさと自分だけの世界に入れる没入感が、自然と一体になれる感覚になりとても心地よかったです。
自分で自転車を用意する必要はありますが、かなり楽しむことができます。
また、糠平源泉郷では自転車を借りることができるスノーバイクパークも開催しています。
自転車をお持ちでない方はこちらに足を運んでみてはいかがでしょうか。
糠平の冬の新しいアクティビティ。
ぜひ遊びにいらしてください!
東大雪を眺めながらのサイクリングは格別に気持ちがいい
糠平湖に入湖する場合は、前日までに予約し、ひがし大雪自然館で受付をして許可証をもらい、指定された乗入ゲートから入湖する必要があります。
※許可なく乗り入れると法律により罰せられます。
コースの利用定員は1日最大20名となっていて、ガイド1名つき最大5名までの催行が推奨されています。
詳しくは上士幌観光協会のHPよりご確認ください。
上士幌観光協会:糠平湖氷上サイクリング
【まなびの広場】名刺づくりに挑戦!
上士幌町の生涯学習センターわっかで「まなびの広場2021冬」が、2021年12月25日〜29日、2022年1月6日〜8日までの計8日間で開催されました。その中のワークショップ「初めての名刺づくりに挑戦しよう!」を取材しました。
講師
橋新 功一
1995年生まれ。大学ではスポーツと社会のつながりについて学ぶ。在学中はフィリピンとインドに1年間ずつ住み、スラムの子供たちにサッカー教育を提供していた。インド滞在中には、サッカーを通じてホームレスの方の人生を変えることが目的である「ホームレスワールドカップ」のインド代表コーチを2大会務めた。トビタテ!留学JAPAN9期生。MAKERS UNIVERSITY 5期生。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
「初めての名刺づくりに挑戦しよう!」はまなびの広場に参加した中高生がグループを作り、大人にインタビューをして名刺を作るワークショップです。
ワークショップの説明をする(株)あしたの寺子屋代表嶋本勇介氏
最初に名刺を作るうえで必要な肩書きを決めていくのですが、その方法が斬新で面白い!
その方法とは、インタビューを通じて、相手の考え方や人生観を深掘りするというもの。
本ワークショップの責任者として中高生をリードする橋新氏(写真中央)
いろいろな話を引き出していき、その中の情報をまとめ、キーワードを探しながらその人に合う肩書きを考えていきます。
また、このワークショップでは大人と話をすることで生き方のサンプルを獲得し、自らの価値観の確立をする狙いも含まれています。
スタッフの名刺を見ているところ
コミュニケーションの取り方もグループごとに違います。
最初から真剣に話を聞くグループやアイスブレイクを行い距離感を縮めるグループなどさまざまなアプローチでその人を知っていきます。
こま回しで距離を縮めるグループ
真剣に話を聞くグループ
名刺に使う写真を撮影
インタビューが済んだら次は名刺のデザインです。
制限時間が1時間という中で自由にデザインを大学生スタッフと一緒に考えていきます。
スタッフと一緒にデザインを考える
名刺のデザインはCanvaというサイトを使い、たくさんある名刺デザインのテンプレートの中から、インタビューをした人のイメージに合うデザインを選択していきます。
名刺づくりの取材に一緒に同行したまちづくり会社スタッフのとみーは
「自由と言われると、お手本が欲しい私は逆に難しく感じるけど、学生たちは自分の意見をどんどん出し、わからない部分は熱心に教わっている。発想力もあるし、頭の中が柔軟だなあ!と感心した」
「何より、学生たちもスタッフも楽しんでいるのが印象的だった」
と言っていました。
作成した名刺は実際に印刷されて中高生のもとに届き、直接手渡しされます。
その際、中高生がインタビューをして感じたこと、どうしてその言葉を肩書きにしたのかという想いを伝えます。
名刺を受け取る
作った名刺の発表
もらった名刺の感想を語る
名刺を受け取った大人たちは、肩書きやデザインなど想いの詰まった名刺にただただ感動していました。
その場で名刺交換する大人たち
名刺を受け取った一人にインタビューしたところ、もらった瞬間に名刺が自分にフィットしたと話してくれました。
それは話をしたことだけじゃなく、着ている服の色や雰囲気なども汲み取ってくれて、それが名刺の色合いやフォント、配置に反映されたことでスッと自分の中に入ってきたからだそうです。
インタビューを受けている最中は、中高生が関心を持って聞いてくれているので、大人同士で話すときと違って何の気兼ねもなく自分のことを話すことができ、心地よい時間を過ごすことができたそうです。
名刺作りが終わった後も話の続きが聞きたいと、中高生たちが来てくれたことも嬉しかったと教えてくれました。
中高生がデザインした名刺
また、学生にもインタビューしてみると
最初は1時間くらいのインタビューって長いなと思っていたそうですが、実際にインタビューをしてみるともっと聞きたいという気持ちが大きくなり、逆に時間が短く感じたそうです。
届いた名刺を見て「(名刺を作ることが)自分でもできるんだ!!」と思うことができ、初めての体験だったのですごくいい経験ができたと話してくれました。
名刺づくりに参加した中高生たちは、大人とじっくり話し合うという貴重な体験をすることができたこのワークショップで、とてもすばらしい経験を得たと思います。
このようなすばらしい経験ができる【まなびの広場】は、ぜひ来年の夏も開催していただき、まだ参加したことのない中高生に体験してもらいたいですね!!
第43回糠平湖氷上タイムトライアルが開催されました
1月23日(日)に第43回糠平湖氷上タイムトライアルが2年ぶりに開催。
当日は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため関係者以外の方は湖上に入れず、無観客で行われました。
写真:土門史幸
会場に赴くと2年ぶりということもあり、参加するドライバーたちの熱気が伝わってきます。
9クラス86名の方が熱線を繰り広げ、白熱したレースが繰り広げられました。
今年は残念ながら無観客で開催されましたが、上士幌町の盛り上がる冬のイベントの一つなので来年は、有観客で開催できるよう新型コロナウイルスが収束してほしいですね。
【まなびの広場】レゴブロッックを使って2021年を振り返る
上士幌町の生涯学習センターわっかで「まなびの広場2021冬」が、2021年12月25日〜29日、2022年1月6日〜8日までの計8日間で開催されました。その中のワークショップ「大学生/社会人と2021年を振り返ろう!」を取材しました。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
「大学生/社会人と2021年を振り返ろう!」はレゴブロック(以下レゴ)を使って、2021年の自分に起きた出来事を表現をするワークショップで、参加者には全く同じレゴのパーツが配られ、各々の思いを組み立てていきます。
※本ワークショップは、LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドと教材を活用したワークショップです。
全員に同じレゴブロックが配られる
レゴを作るにあたり大切なポイントがあります。
それは【手を動かし続ける】ことです。
大切なポイントを説明するまなびの広場スタッフ
普段「何をつくるかを考えてから、手を動かすこと」にあまりにも慣れ過ぎているので、その「順序」を壊すことが目的です。
お題にそってレゴをランダムに組み合わせ、その色や形を眺めると自分が何を作っているのかに気づく。
そうしたらまた別のブロックをつけ加えたり、または減らしたりしながら考えずに手を動かし続けることで、新しい解釈を発見することができます。
黙々と作業する学生たち
そうやって作り上げた作品にストーリーを与え、グループで共有し気になった部分を質問することでコミュニケーションを図ります。
話すことが苦手でも、レゴを自分に見立てて話すことで円滑にコミニュケーションをとることができます。
作ったレゴをグループ内で発表する
最後に2021年を振り返り、自身に起こった出来事をレゴで表現します。
作るレゴは一人ひとり形が違い、ブロック一つひとつに意味があり、レゴの話を聞くことでその人の人生を知ることができます。
最後は全員で振り返りの発表を聞く
タイトルをつけて完成
実際にワークショップを体験した参加者は、「同じグループの人たちに今年1年の話を聞いてもらったことで自分のなかでも整理することができ、とても有意義な時間を過ごせた」「レゴで1年を振り返るとは?と思っていたが、自分で作って発表したり、他の参加者の作品を見ることで、とても楽しく振り返ることができたのでまた参加したい」と言っていました。
実際に企業でも行われているようで、レゴを使うことで初めて話す相手でもその人を深く知ることができ、距離感を縮めるには最適なツールだと思います。
参加した学生たちは貴重な体験ができたのではないでしょうか。
ぬかびら源泉郷にスノーバイクパークがOPEN!
ぬかびら源泉郷の温泉公園内にファットバイクで楽しむスノーバイクパークがOPENしました。
期間は1/15〜2/27までの土日祝日の10:00〜15:00です。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
ファットバイクは子どもから大人まで乗れるように大・中・小の3種類あり、各2台ずつ用意されています。
小さい子ども用のファットバイクは身長120cm以上が必要となっているのでご注意ください。
左から大・中・小のファットバイク
また、ヘルメットの貸し出しをしているので、手ぶらでファットバイクの体験をすることができます。
貸し出し用のヘルメット
コースは足湯コースと森林コースがあり、足湯コースは上りもありますがほとんどが平坦なコースとなっていて、森林コースはアップダウンが激しいコースとなっています。
各コースの案内板
どちらも初心者向けのコースとなっていますが、森林コースの方が多少難易度があるようです。
実際に走行してみるとオープン前に大雪が降った影響でコースはふかふかの雪となっていて、タイヤがとられやすいので前に進むのが大変でした。
足湯コースを走る
森林コースはアップダウンが激しく、雪が積もっているので滑りやすい
後日、水を撒きながら、コースを固めて走りやすくするそうですが、雪のあるコースを体験するのは雪の降ったあとの短い期間だけなので貴重な体験かもしれません。
今後はコース横に雪山を作り、ソリ滑りもできるようになるそうで、2台まで無料で貸し出しを行う予定です。
貸し出し用のソリ
また担当者は、氷上ラリーのコースを使って中級者以上のコースも作りたいと言っていたのでそちらも楽しみですね!
スノーバイクパークはファミリーで楽しめるので、ぜひワカサギ釣りやスキーの帰りに寄ってみてください。
糠平湖でアイスバブルとワカサギ釣りが解禁されました
2022年1月6日よりワカサギ釣りが解禁されています。
初日から複数のテントが設営されワカサギ釣りを楽しむ姿が見られました。
今年からワカサギ釣りの道具は、道の駅かみしほろでもお買い求めできるようになりました。
ぜひ、道の駅にもお立ち寄りください。
写真:土門史幸
また、それに伴いアイスバブルも見ごろを迎えています。
氷上に現れるアイスバブルを撮影しようと、こちらも大勢の方で賑わっています。
ただ、先週降った大雪で湖面には雪が40cm超えの積もったのでアイスバブルを見るためにはスコップで雪をかく必要がありそうです。
湖畔にはアイスバブルカフェもオープンし、冷えた体を温かい飲み物や食べ物で癒してくれます。
アイスバブルカフェの詳しい情報は下記URLよりご覧ください。
アイスバブルカフェ:https://kamishihoro.info/tp_detail.php?id=656
タウシュベツ川橋梁は1月8日現在で見ることはできませんでした。
見頃は2月中旬ごろになりそうです。
糠平湖を訪れる際は、十分に防寒対策をしガス穴にお気をつけて楽しんでください。
コチラの記事も読まれています。併せてご覧下さい。
上士幌町にマミー助産院が開院!
以前上士幌ホロロジーでも取り上げた助産師の渡辺雅美さんが、2021年10月25日にマミー助産院を開院したのでお話を伺いに行ってきました。
上士幌ホロロジーで取り上げた以前の記事はコチラから
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
マミー助産院を開院するまでに大変だったこと
かみしほろ起業塾を受講したあと、開院するまでに大変だったことをお聞きしました。
場所がない
開院したマミー助産院
開口一番に出てきたのは「場所探し」
とにかく上士幌には土地や空き店舗が少なく、場所がなかなか見つからなかったことだと言います。
そもそも渡辺さんは、店舗を構える予定ではなく訪問とオンラインで助産師としての仕事をする予定でした。
しかし、HOTステーションなどママたちと関わりを増やしていく中で助産院という場所が必要だと感じたそうです。
訪問とオンラインだけでは、どうしても本当に助産師がいるのかどうかわからないけど、町の中に助産院があるとそこには必ず助産師がいるという安心感がある。
そうするとママたちや地域の人たちが自分を頼って訪れてくれる。
それはきっと自分自身にとっても大切な場所になると気づき施設を構えることを決意。
HOTステーションでママと交流する渡辺さん
また、ママには選択肢があることも重要だと言います。
体調が悪いなど外に出る気力がない時は訪問が選べる。
誰かと喋りに行きたい、外に出て気分転換した時は施設が選べる。
悪天候や距離がある場合はオンラインで繋がることができる。
どの方法を選んでも助産師と繋がることができるのが大事だそう。
実際に助産院を開院したあとは、「ママたちや地域の人たちが気軽に遊びにきてくれるので、助産院を構えることはすごく大変だったけど建ててよかった」と言っていました。
メニュー作り
メールでやりとりをする渡辺さん
渡辺さんは、助産院のメニュー開発も一苦労。
通常はケア1回ごとに料金が発生するそうですが、マミー助産院の場合は回数チケット制を採用。
チケット制は、他の助産院にはあまりないサービスなので料金設定に苦労したそうです。
回数チケット制を採用した大きな理由は、ママと継続的に会うことができることだと言います。
チケットがあるから次も相談やケアをしてもらおうと思ってもらえること。
渡辺さん自身が継続的にママと関わりを持ちたいということです。
継続的に会うことで、ママや赤ちゃんがどんな状況なのか分かりサポートがしやすくなるそうです。
ですが、ママの中には助産師が病院にしかいない、地域にいることを知らない人もいる。
助産師とLINEで相談できたり、気軽に繋がれることも知らない。
これは助産師の周知も足りていないからだそうです。
渡辺さんは、病院を退院してからも助産師の継続サポートを受けれるということをもっと広まって欲しいと願っていて、上士幌だけじゃなく他の地域で働いている助産師のところへ全国のママたちが気軽に行けるようになるといいなと思いSNSで情報を発信する活動もしています。
助産師と個人が簡単に繋がれることが広まれば、個人の生活も豊かになると思うのでそういった場所がもっと増えて欲しいですね!
開業してから心境の変化はあった?
助産院に来院したママの子どもとスキンシップ
「楽しい!!」
満面の笑みを浮かべながらそうおっしゃる渡辺さん。
総合病院に勤めていたときになかなかできなかったパーソナルな付き合いができている。
妊娠中から卒乳、それ以降も子どもの様子を見せにきてくれて一緒に育児について考えることができるようになって本当に楽しいとおっしゃっていました。
助産院を開院してからは、町内のいたるところで「町の助産師さんだね」と声をかけてもらえることが増えた渡辺さん。
今までHOTステーションで出会ったママたち以外にも新聞やSNSを見たママからメールで相談を受けることも増えたそう。
「全く会ったことがない人が来てくれる」
自分の知らないところで自分を知ってくれる人がたくさんいることが嬉しいと話してくれました。
町内でまだ全く出会ってない方が助産院を認知し、会いにきてくれることは渡辺さんの発信の賜物だなと感じます。
上士幌町以外での反応は?
HOTステーションで子どもをあやす
「足寄と士幌からの反応が多い」
北十勝には助産院がなかったため、音更町・帯広市・芽室町まで行くママが多かったが、上士幌町に助産院ができたことで、足寄町や士幌町に住んでいるママから連絡が増えたそうです。
マミー助産院を訪れた上士幌町外のママから「上士幌にはHOTステーションがあり身近に助産師を感じることができるけど、足寄や士幌にはそういった環境がないから気軽に助産師と繋がることができる場所ができてすごくありがたいと言ってくれた」とすごく嬉しそうに話してくれました。
今後の展望
マミー助産院に訪れるママたち
今後は、韓国で産後の肥立ちをよくするために使われている「ヨモギ蒸し」、ママが子どもにどんなふうに命の始まりや身体を大事にするのかを伝える「性教育の講座」を行なっていく予定。
今は相談や母乳のケアがほとんどだけど、それ以外でもママたちがもっと気軽に助産院にこれるようになって欲しいということで、すでに準備を始めているそうです。
そして、ハードルはすごく高いけど出産も取り扱えるようになりたいと話してくれました。
いろんな問題点があるので今すぐにとはならないようですが、いつかマミー助産院から産声が聞こえるようになるのが今から楽しみですね!
幸せな家族は増えた?
ママたちの笑顔が増えるマミー助産院
以前の記事にあるように「幸せな家族を増やすこと」と目標を立てていた渡辺さん。
助産院を開院してから幸せな家族が増えたか聞いてみると「増えた!!」と即答し、「ママが笑顔だったら家族はみんな幸せ」と語ってくれました。
ですが、パパと話をする機会がなかなかないみたいなので「パパの会」を開きたいと言っていたので、育児に困っていることがあっても、困っていることがなくてもぜひ一度、パパもマミー助産院に行ってみてください。
渡辺さんが優しく迎え入れてくれますよ!
\ 親子にとことん寄り添う /
道の駅かみしほろでクリスマスドローンショーが開催されています
12月16日から12月25日の10日間、「カミシホロホテルpresentsクリスマスドローンショー2021in上士幌」が道の駅かみしほろにて開催中です。
写真:土門史幸
LEDのついた300機のドローンが光と音楽とともに冬の夜空を彩るさまは、観客を感動と驚きに導きます。
ドローンショーは1日2回公演を行っており、第1部(18:30~)は3Dデザインショー、第2部(19:30~)はこの季節にふさわしいクリスマスショーで構成されています。
第1部と第2部の合間には、十勝在住の音楽家「とかちフレーズミュージック」によるクリスマスコンサートも行われ、ドローンショーに花を咲かせます。
第2部の最後にはサプライズもあり、迫力のあるショーに観客からは歓声が上がっていました。
また、日替わりで出店も立ち並んでいるので日によって様々な料理を楽しむこともできます。
天候等により、ドローンショーは中止になることもあるためイベント開催の可否は公式Twitterでご確認ください。
■場所:道の駅かみしほろ
■時間:18時開場~20時閉場
■観覧方法:屋外観覧エリアは無料・予約不要。道の駅かみしほろ館内の有料観覧席は要予約。
上士幌町ではドローンによる配送サービスの実証実験や、夜間の遭難救助など、ドローン活用に意欲的に取り組んできました。
ドローンを含む次世代高度技術を活用したスマートで、サステナブルな社会を世界に先駆けて実現するための取組を行っています。
上士幌高校生涯スポーツ交流授業が行われました
上士幌高校の選択科目である生涯スポーツの交流授業が上士幌中学校で行われました。
今回行われたスポーツは「キンボール」です。
キンボールスポーツは4人一組となり3チームに分かれて直径122cmの大きなボールを落とさないようにラリーを続けるスポーツです。
詳しい説明はキンボールスポーツ連盟のHPをご覧ください。
写真:土門史幸
交流授業では、高校生たちが中学生にキンボールのプレイ方法などをレクチャーします。
ルールや競技内容をレクチャーしたら、高校生と中学生、先生が混ざったチームを作り、キンボールを行います。
最初は戸惑いながらキンボールを体験していた中学生たちも、回数を重ねるたびに笑顔を覗かせながら白熱した試合を展開していました。
スポーツを通じ、共遊することで高校生にも中学生にもさまざまな発見があったのではないでしょうか。
まちづくり会社で中学生が職業体験!
上士幌中学校の授業の一環で行われた職業体験学習。
学生たちが上士幌町の各事業所で仕事を体験するという授業で、まちづくり会社にも中学生が一名、体験学習に来てくれました。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
訪れてくれたのは伊東海里さん。
まちづくり会社がどのような仕事をしているのか分からなかったのでドキドキしながら来てくれました。
職業体験学習で訪れてくれた伊東海里さん
まずは、まちづくり会社がどういう仕事をしているのか業務内容の説明を受けます。
会社の説明を聞く海里さん
海里さんはまちづくり会社について、具体的にどのようなことをしているのかあまり知らなかったけど、説明を聞いてかなり大変そうな仕事だけど楽しそうだなと感じてくれたようです。
館内を案内中
次にクリスマスツリーの飾り付けをしてもらいました。
ハレタに来てくれた町民の方に楽しんでもらうのにクリスマスツリーの設営も大切な仕事の一つです。
まちづくり会社のメンバーとツリーの設営
真剣にツリーの飾り付けをする海里さん
ツリーを設営・装飾をした海里さんは飾りの配置を考えることがとても楽しかったと話してくれました。
配置を考え楽しんで設営したクリスマスツリー
その後は、社会人になるとプレゼンの発表や資料作成で使うこともあるということでパワーポイントの使い方を学んでもらいました。
パワーポイントの使い方をレクチャーしてもらう
パワーポイントで作ったのは、海里さんが所属している部活紹介の資料。
海里さんは、部活のことが頭でわかっていても言葉にすることの難しさやレイアウトを考えることに苦戦していました。
アドバイスを受けながら資料を作成
そして使い方を学ぶだけではなく、作った資料を使って3分で発表もしてもらいました。
学校のクラスで発表をすることはあっても、その他で発表する機会がないのでとても緊張している様子。
リハーサルをして本番に挑みます。
緊張しながらリハーサルを行う
本番ではまちづくり会社の3名の方を前に発表しました。
作った資料を使って発表をする様子
とても緊張したと言っていましたが、堂々とプレゼンをする海里さん。
時間内にわかりやすく、丁寧な説明に発表を聞いたまちづくり会社のメンバーも感心していました。
発表後は質疑応答をして職業体験学習は終わりです。
質問を受けるまちづくり会社の2人
職業体験学習を終えた海里さんは、まちづくり会社で体験したことを今後の生活に活かしたいと意気込んでいたので、うまく活用してもらえると嬉しいです!
設営したツリーをバックに記念写真
最後に職業体験学習の担当をしたまちづくり会社の担当者からは、
「1日という短い時間でしたが一生懸命、お仕事の一部に取り組んでいただきました。その中でも知らない人達の前で自分のことを発表するという難しい課題にもチャレンジしてもらい、資料作りや発表のコツを伝授すると、短時間でそれらをしっかり活かしたプレゼンをしてくれて改めて【若者の可能性】を感じる事ができる良い機会になった」と話してくれました。
まちづくり会社ではその他にも沢山の事業を行っているのでいつでも職業体験を募集しています。詳しくは生涯活躍のまちかみしほろまでお問合せください。
\ 可能性を広げる体験を/
土門史幸写真展 -空のある風景- 【 残す写真より飾る写真 】
2021年10月24日(日)ハレタかみしほろで、土門史幸写真展 -空のある風景- が開催されました。
今年(2021年)の6月から”地域おこし協力隊”として、上士幌町民の写真や風景を撮影されている土門史幸(どもん ふみゆき)さん。北海道苫小牧市出身で上士幌町へ来る以前から、苫小牧市や札幌市を中心にフリーランスのフォトグラファー、ビデオグラファ―として活動されていました。
今回、北海道各地で撮影された美しい風景の写真を様々な形で展示すると聞き、おじゃましてお話を伺ってきました。
WRITER
宮部 純香
上士幌町で生まれ、高校まで上士幌で過ごした編集サポートメンバー。小さい頃からお世話になった上士幌を新しい視点で見てみたいと取材を進めています。
なぜ上士幌へ
コロナ禍で仕事が減って、変わらなきゃと思ってたときに、地域活性化に興味を持っていることを知っていた妻が上士幌町の”地域おこし協力隊”の募集を見つけてくれて、すぐに応募して受かりました(笑)。
今までの仕事では出張することが多く、北海道内いろいろな地域を周っていましたという土門さん。
あるとき、スポットとして町は紹介されるけど、その道中の紹介をされることが全くない。道中にも美しい風景があるのにそれがすごくもったいないことに気づいたそうです。
写真でそういうところを紹介して活気づけたい。写真という活動を通して地域活性化に興味を持っている今の自分の考え方にマッチしている。
そんな時に見つけた地域おこし協力隊は、今までやってきた仕事が活かせる場だと思いました。
きっかけは父のカメラ
土門さんは、カメラを趣味から始めて社会人になってから街のスナップ写真や風景写真をコンパクトデジタルカメラで撮影していました。
そしてカメラを本格的に始めたのは、2009年くらいから。
お父さんが一眼レフカメラを持っていて、それを借りて撮ったことがきっかけだったそう。
そのうち自分の一眼レフカメラが欲しくなって購入しました。カメラを始めた頃の写真を見返すと、パッとしないなって思いますね(笑)。
その時々によって写真の好みも変わっていて、だんだん昔にさかのぼっていくと、今とは全然違う表現の仕方していて、見返すとなんか違うなって思い今風に仕上げを変えてみることもあるそうです。
最初は札幌の街並みや道南の風景を撮っていました。人物を撮ることはほとんど無かったです。
今は仕事で撮ったりはするけど、それでもあんまり撮らないですね。ポートレート撮影はモデルさんがいればやりたいな思っているので、モデルさん募集中です(笑)。
得意なジャンルは風景写真の土門さん。
最近は人物撮影もしたいと思っているそうなので、我こそは!という方はぜひ手を挙げてください(笑)
写真展 ”空のある風景” を開催!
今まで写真展をやったことが無くて、自分の写真を見てもらう機会がほしいなと考えていました。
この町には、ここハレタのように写真展などをするには丁度良いスペースがあったこととなにより周りの後押しがあったので、思い切ってやってみようと思いました。
今の時代、写真を印刷する人って少ないですよね。僕も印刷することは多くないけど、印刷をして写真を見るって楽しいし、ケータイとか画面で見るのとは違って飾って置いておくとまた雰囲気が変わってくる。
それと作品には、タイトルがつきものだと思いますがあえてつけていません。タイトルがあるとそれに引っ張られてしまうので、見に来てくれた人にどういう写真なのかなっていうのを想像してもらいたくてつけませんでした。
今回の写真展では、写真、キャンバス、パネルの3種類を用意。
これらを見ていろいろな楽しみ方を知ってもらいたいと話していました。
フォトグラファーとしての今後
一昨年(2019年)ぐらいから、自分の写真館をつくりたいと思い始めた土門さん。
コロナが始まる前までは、前に勤めていた会社や付き合いのある会社などから依頼が来て仕事をもらっていたので、特に自分で集客をしなくても仕事はあったんです。
でも、コロナになって、仕事がほぼゼロになってしまい「これはまずい!」と思って。今までは仕事を受ける側だったので、自分で集客できるシステムを作りたいと思いました。
いま土門さんが考えているのが、ガーデンが併設されたフォトスタジオをつくって風景と一緒に人を撮ること。
お客様がスタジオ内の壁の一部に自由に落書きをできるスペースを作り、完成した壁の前で写真を撮る。といった場をつくること、だそうです。
写真撮影やほかにもやっていた動画制作とかもそうですけど、お客さんの笑顔が見られるからやってきました。お客さんに写真や動画を渡すと、ものすごく喜んでくれるんです。そういう笑顔が見たくてずっと続けています。
写真展を終えて
今回いろいろな材質のものに写真を印刷してみて、自分でもキャンバスとかにすると良いなっていう発見もあったし、写真の表現力っていっぱいあるんだなって実感しました。
また、予想していたよりもたくさんの方が見に来てくれたので、嬉しかったし楽しかったです。次も開催してほしいという要望が多数あったので、もしまた写真展を開催する機会があれば、風景だけではなく動物など今回とは違ったテーマでやってみたいですね。
初めてだらけの写真展は無事に終了し、新たな目標ができた土門さん。
見に来てくれた方々からの心温まる言葉などが、自分の作品への自信に繋がったとおっしゃっていました。
第2弾となる写真展はいつ開催されるのでしょうか。次はどのような写真を見せていただけるのか、今から楽しみな私です。
さて、土門さんの今後はいかに!
フォトグラファーとしての今後の夢に期待です!!
土門さんの写真はSNSでも見ることができます。
こちらもぜひチェックしてみてください。
Instagram:https://www.instagram.com/icp.amotion/
Twitter:https://twitter.com/harunire00
まちジョブハレタお仕事紹介【上士幌町ふるさと学生応援梱包作業】
まちジョブハレタ(人材センター)にはさまざまなお仕事がありますが、どんなことをしているのかわからない方のために今回は「梱包作業」のお仕事をご紹介します。
写真:土門史幸
現在まちジョブハレタでは上士幌町ふるさと学生応援事業の梱包作業をしています。
上士幌町ふるさと学生応援事業は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け学費や生活費の捻出に苦慮している学生の皆さんに上士幌の特産品、食料品などの応援物資を送る事業のことです。
梱包作業は、まちづくり会社の2Fにあるコワーキングスペースで一箱ずつ丁寧に特産品などを詰めて梱包する簡単な作業です。
上士幌町ふるさと学生応援事業の梱包作業は12月で終了してしまいますが、まちジョブハレタでは老若男女問わず様々なお仕事をしています。
これから何かお仕事を始めてみたいな、興味があるなという方はまちづくり会社までご連絡ください。
どなたでも歓迎いたします!
お問い合わせ先
まちジョブハレタ(人材センター)担当:木原・岩部
TEL:01564-7-7630
カミシホロホテルのご紹介
2021年7月4日にオープンしたばかりのカミシホロホテルについて支配人の島田裕子さんにお話をお伺いしてきました。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
なぜホテルを上士幌に?
まずは、なぜ上士幌にホテルをオープンしたのかを聞いてみました。
カミシホロホテルの外観
ロゴは未来を表現したポリゴンと上士幌の牛がくつろいでいるところをイメージ
上士幌の周辺には、道の駅やナイタイ高原といった観光資源がたくさんあるので町中に宿泊施設を増やしたら上士幌に滞在してくれる観光客の方が増えるのではないかと思いホテルをオープンしたと話してくれました。
上士幌は観光資源が豊富なので滞在してくれる方が増えて町の活性化になって欲しいですね!
便利なホテル
カミシホロホテルのラウンジ
カミシホロホテルのコンセプトは便利なホテル。
ICT(Information and Communication Technology)を使うことによりホテルの滞在がよりスマートになるようなつくりになっています。
※ICTとは通信技術を活用したコミュニケーションを意味します。
顔認証でチェックイン
チェックインでは、宿泊客の顔を登録し顔認証をします。
顔認証をすることによって鍵を使わずに部屋に入ることができるようになります。
ホテルの受付 チェックイン時に顔を登録
ただし、マスクをつけていると上手く認証しないようなので顔認証をする場合はマスクを外すことで認証するようです。
一度宿泊をして顔認証を行ったことがある方は次回の宿泊時に部屋番号などの案内が登録したメールに届くので、素早くチェックインができます。
客室のドア横にあるタブレットを使って顔認証を行う
2回目以降、チェックインの時間が短縮できてすぐお部屋で休めるのはありがたいですね。
誰にも合わずに受け取る宅配ボックス
また、客室には宅配ボックスが設けてあります。
朝食やタオルなどのアメニティグッズをホテルのスタッフが運んでくれるのですが、この際にスタッフと宿泊者が接触することはありません。
宅配ボックスに何か物が入ると客室にあるランプが点灯するようになっているので、客室にいながら誰にも合わずに荷物を受け取ることができます。
宅配ボックスに何も入っていない状態
宅配ボックスに荷物が届くとランプが点灯
ホテルの事務所にも通知が届くようになっているので受け取られたかどうか分かるようになっています。
余計な接触を避けることができ、新型コロナウィルスの対策にもなっていて、対面で誰かに会うことがないので女性ひとりでも安心してホテルに滞在すことができます。
仕事に便利な広いテーブル
客室やラウンジにあるテーブルは通常のビジネスホテルと違って奥行きのあるテーブルになっています。
奥行きのある客室のテーブル
電源も備えているので充電をしながら作業することもできる
奥行きを広く取ることでパソコンでの作業や朝食などゆとりを持ってとることができるので、ホテルで作業が必要なビジネスを目的とした方にも快適に滞在してもらえるようになっています。
作業スペースにゆとりがあると心にもゆとりができるので落ち着いて仕事や朝食をとることができますね。
夏は庭で朝食をとることができハンモックでくつろぐこともできる(撮影時は秋)
ホテルの魅力
カミシホロホテルは家電に力を入れていて、館内や客室にはダイキンの空気清浄機やエアコンを導入していて、空気を清潔に保っています。
客室に備えているエアコン
館内や客室に備えている空気清浄機
客室にはダイソンのドライヤーやReFaのシャワーヘッドを備えていて、高級なドライヤーやシャワーヘッドを使用することができます。
3点ユニットバス
ReFaのシャワーヘッド
入浴剤もあるのでゆっくりとお風呂に入ることもできる
ダイソンのドライヤー
ラウンジには宿泊者であれば自由に使えるコーヒーメーカや電子レンジ、トースターがあるのでお部屋ではなくラウンジで朝食をとることもできます。
開放感のあるラウンジ
自由に使えるラウンジのコーヒーメーカーやトースター
廊下にはアートワークが飾ってあり、このアートワークは上士幌町の事業者から出た廃材を使用ています。
アートワークから町のことを知ってほしいということで廃材が出る過程をラウンジにあるでテレビで放映しているので、アートワークと映像をじっくり見て知識を深めるのもいいかもしれませんね!
羊毛で作られたアートワーク
高級車に乗って北海道を楽しむ
21年9月20日からカミシホロホテルの予約時にカーシェアプランが選べるようになっていて、それを選ぶとポルシェのタイカン4SかレクサスのUX300eのどちらかをレンタルすることができます。
左:タイカン4S 右:UX300e
「ちょっといい車に乗って北海道を満喫してもらえたら」と語る支配人の島田さん。
筆者もポルシェに乗らせていただいたのですが、静かなのにパワーもあってとても運転しやすかったです。
高級車に乗っているというだけでテンションも上がるし、ワクワクしながら運転しました。
なかなか乗る機会がない車なので、これを機に上士幌を起点としてレンタカーで北海道を巡ってみるのもいいかもしれませんね!
また、電動自転車が3台、電動キックボードが3台、VanMoofという次世代型電動自転車が3台あり、宿泊者であればどなたでも無料で使うことができるので、町内や郊外にお出かけするのに最適です。
無料でレンタルできるVanMoofの次世代型電動自転車
今後の展望
今後はサイクリングや冬の遊びなどアクティビティに力を入れた宿泊プランなどを作り、上士幌の魅力を存分に楽しめる提案をしていきたいと話す島田さん。
上士幌町や十勝の旅行を考えているなら観光の拠点として、カミシホロホテルに滞在するのもいいかもしれませんね!
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「妥協せず、自分が納得する生き方を」-縄田柊二・マイミチストーリー
北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。
MY MICHI 4期生
縄田 柊二(なわっちゃん)
|なわた・しゅうじ|2000年生まれ、山口県出身。大学を休学して「MY MICHI プロジェクト」に参加。幼少期に祖母と一緒にパンを作った経験から、オリジナルのパン作りをテーマに活動する。ニックネームは「なわっちゃん」。
大学休学中に出会った「MY MICHI プロジェクト」
「僕は、ちゃんとした社会人になれるのだろうか?」
大学3年の秋、就職活動が始まった。周りの友人たちはインターンシップへの参加や、OB・OG訪問、企業研究などをどんどん進めていく。そんな友人たちを横目にしながら、なわっちゃんは焦りを感じていた。
「みんなどんどん就職活動を進めていくのですが、僕は何だか周りとペースが合わなくて。やらなくちゃ、という気持ちがある一方で、このまま就活を進めることに納得感を持てない気持ちもありました。いろんな感情が交錯して、ちょっと疲れてしまったんです」
山口県出身のなわっちゃんは、高校卒業後は広島県内の大学に進学。大学生活は楽しかったが、その後の進路には不安を覚えていた。普通に考えれば就職だろう。でも、本当にそれでよいのだろうか?
菜園作りにもチャレンジ。「MY MICHI プロジェクト」は、いろいろな体験が用意されている
大学時代にアルバイトをしていた店で「この仕事に向いてないんじゃないの?」と言われたことがあった。作業のスピードがゆっくりしている。日々変わっていく商品をなかなか覚えることができない。仕事は一生懸命にしているが、ほかのスタッフと比べると劣って見られてしまうことがあった。
「自分は一体どんな仕事が向いているのだろう?」
「どこかに就職したとしても、仕事ができずにすぐに辞めてしまわないだろうか?」
心のどこかに、そんな気持ちを抱えていた。社会に出て働くイメージが持てず、社会人になれるのかという不安もあった。そんなモヤモヤした気持ちが整理できないままに就職活動を迎えたのだ。
町の人たちとBBQで交流。たくさんの人との触れ合いもプログラムの特徴
「このまま就職活動を続ける自信もなかったので、4年生になったタイミングで1年間休学することにしたんです。少し時間を作って、この先のことをゆっくり考えたかった。そんなときです、MY MICHI プロジェクトを見つけたのは」
「MY MICHI プロジェクト」はインターネットで見つけた。何となく、「面白そうだな」と思った。
高校生の頃に北海道に旅行に来たことを思い出した。休学しているのだから、この期間を使ってしかできないことをやってみたい。北海道に住むのも面白そうだ。そんな些細な気持ちから、プログラムへの応募を決めた。
「パン作るの、好きなんですよね」
応募してすぐにリモート面談があった。今回の「MY MICHI プロジェクト」では、参加者一人ひとりがテーマを決め、プログラム参加中にチャレンジする。それぞれが好きなことや、やりたいことをもとにテーマを決めていく。
「パン作るの、好きなんですよね」
思わず口に出た一言がきっかけだった。ここから話が進み、上士幌でパンを作ることがテーマとなった。しかも、作るだけでなく、そのパンを町の人たちに販売する。
「そんなことが自分にできるのだろうか?」という思いが頭をよぎったが、面談に参加したまちづくり会社のスタッフや同じ4期のメンバーが真剣に話を聞いてくれたことで、「やってみよう」という気持ちになることができた。
4期メンバーたちとは、いつも自然体でいられた。左から、りーたん(田中理紗子)、あかりん(伊藤あかり)、なわっちゃん、ひな(石井日奈子)、こなつ(野中小夏)
「子どもの頃、祖母と一緒にパンを作っていたんです。すごく楽しくて、一緒に作ったアンパンの味は、いまだに忘れられません。コロナ禍で大学もリモートでの授業が増え、下宿先のアパートで過ごす時間が多くなりました。そんなときに、ふと昔を思い出してパンを作ってみようと思ったんです。それがパン作りのきっかけですね」と、なわっちゃんは言う。
なわっちゃんの祖母はパンが好きな人だった。自宅に小さなパン工房を作り、地域の人たちと一緒にパンを作ったり、パン教室を開いていたこともある。小さい頃、近所に住んでいた祖母の家によく遊びに行っていた。いつも笑顔でニコニコしている優しい祖母だった。
どんなパンを作ろうかを考えたとき、最近、広島に揚げパンの専門店がオープンしたことを思い出した。「揚げパン、いいかもしれない」。メンバーともアイデアを詰めていき、マラサダを作ることに決めた。
上士幌神社の宮司さんに話を聞く。ほかでは聞けない貴重な話を聞けるのもプログラムならでは
最初の試作は大失敗。気持ちを切り替えて準備を進める
なわっちゃんのテーマは、ハレタかみしほろのチャレンジ企画として行うことになった。ハレタかみしほろでは、町の人たちの「やってみたいこと」を、実現・応援するためにカフェスペースを貸し出しているのだ。
当日は「マラサダカフェ」として、ドリンクもセットで販売することにした。開催日は7月30日。メンバーの活動テーマの中で最も早く本番を迎える。準備期間も短くなるので、メニューや販売個数は来町前に決めていった。砂糖をまぶしたプレーンのほか、ミルクチョコやホワイトチョコをアレンジしたものもメニューに加える。チラシも事前に用意した。
広島の自宅アパートで試作も始める。最初に作った生地はベチャベチャしていて、口に入れても全然おいしくなかった。
初めての試作品。最初はここから始まった。
「やると言ってしまったけれど、本当にできるのかな?」と、不安な気持ちになっていく。それでも真剣に応援してくれる仲間たちに応えたかった。「失敗して当たり前。思い切ってやってみよう」と気持ちを切り替えていった。
「やってみてはじめて、いろいろなことがわかりました。生地を発酵させる時間や油の温度などは細かく見ていかないとすぐに失敗する。当日は準備時間も限られているので、事前に仕込みをどこまでやるか、また販売するとなると衛生管理のことも考えないといけない。上士幌に来るまでの期間、ほとんど毎日試作を繰り返していました」と、なわっちゃんは振り返る。
手伝ってくれるまちづくり会社のスタッフや4期メンバーとも頻繁にミーティングを繰り返す。事前に何を用意しなければならないか。商品をどうやってお客様にお渡しするか。作るだけでなく、販売も考えたときに、決めなければならないことがこんなにもあるのかと思った。
プログラムが始まり来町してからも、連日準備が続いていた。スケジュールの合間を縫って試作や当日必要な備品の用意を進めていく。町の食品加工センターも使わせてもらえることになった。本番までの時間は約2週間。1日も無駄にすることはできなかった。
前日の仕込み。上士幌に来てからも、無我夢中で準備してきた
販売は当初デリバリー販売も検討していたが、衛生管理の許可が別途必要になるとわかり、ハレタかみしほろでのみの販売とした。こうしたことも、実際に動くことで一つずつ覚えていった。
7月30日が近付くにつれ緊張は増していったが、「大丈夫、きっと上手くいく」と信じて突き進んだ。4期の仲間たちやまちづくり会社のスタッフも応援してくれている。
「みんなは『絶対に完売するから大丈夫』と励ましてくれていましたが、僕はどうしても不安が拭い切れませんでした。お客さんが来てくれるかどうかも心配だったし、あまり馴染みのないパンを受け入れてくれるかどうかもわかりませんでした」
前日は緊張でうまく眠れなかった。「なるようになる。大丈夫」。そう言い聞かせているうちに眠りに落ちていた。
ウェルカムボードも用意して当日を迎える
「一体、何が起きたのだろう?」
「一体、何が起きたのだろう?」
1時間にも満たないその時間に起きたことを、うまく理解できずにいた。
当日も朝から思いもよらないトラブルが続いていた。生地が思うように発酵せず、大きくなっていないものあった。試作はシェアハウスのガスキッチンを使っていたが、ハレタかみしほろのキッチンはIH。IHでパンを揚げると予想もしなかった揚げムラが出た。事前にIHで揚げてみることを怠っていたのだ。
朝の準備も思った以上に時間がかかった。オープン時間の11時に間に合うように工程を組んだはずだったが、トラブルの対応に時間を取られた。それでも仲間たちの協力もあり、時間通りにオープンさせることができた。
オープンと同時にたくさんの人たちが店内に入ってきた。次々にパンを手に取り、購入していく。用意した150個のパンは、わずか50分で完売した。
「後で振り返ってみたのですが、当日のことはよく覚えていないんですよね(笑)。朝からずっと忙しかったことだけはわかっているんですけど。でも自分にとってすごく大きな達成感を得られたし、自信になりました」
たくさんの町の人たちが、なわっちゃんのマラサダを購入していった
その日の夜、夢を見た。「早く生地を作って!」と、あかりんが急かしてくる。まずい、早く作らなくちゃ……焦りながら生地を捏ねはじめたところで目が覚めた。「ああ、そうか。終わったんだ……」。
「今思えば、素人が北海道に来てパンを作って販売するなんて、無謀なことをしたとも思います(笑)。でも、まちづくり会社の皆さんや食品加工センターの皆さん、食材を用意してくれた皆さん、チラシを貼るのを許可してくれた店舗の方々、そして4期の仲間たち。本当にたくさんの方々から協力をいただけたことでチャレンジを終えることができました。上士幌では、日常では決して体験できない最高の時間を過ごすことができました」
「まちづくり会社の八下田洋子さんには本当にお世話になりました」となわっちゃん。八下田は、ハレタ企画担当としてサポートした
上士幌の人たちに触れて生き方を考える
「MY MICHI プロジェクト」での体験は、進路に悩んでいたなわっちゃんに、生き方を考える大きなきっかけも与えてくれた。
プログラムを通じて、たくさんの町の人たちとも触れ合った。上士幌で出会った多くの人たちは、自分の意思で仕事を選び、誇りを持って働いていた。自分で仕事を選んでいる人は覚悟が違う。周りに流されることなく、自分がやりたいことやり、仕事を楽しんでいる。
中でも印象に残っているのは、糠平でネイチャーガイドをしていた上村潤也さんの言葉だ。
糠平のネイチャーガイド・上村さんの言葉が耳に残っている
「上村さんは、以前はサラリーマンをしていて、東京から移住したとおっしゃっていました。糠平で自然ガイドの仕事に就いて、収入はサラリーマン時代の半分ほどになったそうですが、手元に残るお金は今の方が多いと言います。ここにすごく本質的な何かがある気がして、改めてこれからの生き方や働き方を考えてみようと思いました」
上士幌に来るまでは、休学期間が終われば大学に戻り、就職活動を再開してどこかの企業に入るだろうと思っていた。でも、それで10年後の自分が納得するのだろうか。やりたいことはやっていい。真剣に取り組めば、必ず応援してくれる人たちが現れる。もう少し時間をかけて、これからのことを真剣に考えていこう。
プログラム最終日のプレゼン。「上士幌の皆さんは本当に温かかった」と感謝を伝える
「僕も上士幌の皆さんのように、自分の好きなことや得意なことで自己表現ができるようになりたい。それが僕の『マイミチ』。妥協せずに、自分が納得できる生き方を追求していきます」
この先の人生でも、きっと悩むことはあるだろう。生き方に悩んだならば、上士幌での体験と、この土地で出会った人たちを思い出そう。
縄田柊二は、未来に向かって歩き始めた。
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
「大切にしたい生き方を、未来の私に約束する」-石井日奈子・マイミチストーリー
北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。
MY MICHI 4期生
石井 日奈子(ひな)
|いしい・ひなこ|1999年生まれ、東京都出身。大学ではメディアと社会の関わりについて学ぶ。旅行や漫画、歩くことが好き。地域活性化に興味があり「MY MICHI プロジェクト」に参加。ニックネームは「ひな」。
「今の自分は本当の自分じゃない」就職活動で抱いた心の葛藤
就職活動が始まった。
エントリーシートを提出し、試験を受け、面接へと進む。ひなは、いくつかの企業で面接を受けていくうちに、「面接を受けている今の自分は本当の自分じゃない」と感じるようになっていた。
好奇心が旺盛なひなは、一つのことに没頭するよりも、いろいろな経験をしてみたいと思うタイプだ。だが、面接でそれを伝えると物事を継続できない人間と捉えられてしまう。
リーダーシップがあり、主体性を持って行動でき、周囲を巻き込んで何かを成し遂げられる……企業が望むのはそんな人材だ。面接官に好印象を残すためにそんな人材を演じ、綺麗事ばかりを並べていく。やってもいないことをやったと嘘をついたこともある。面接官の前にいる自分は、偽った自分。ひなは、そんな自分が次第に嫌になっていた。
好奇心旺盛なひな。チャレンジできることは何でもやってみる
また、電車に乗れば疲れた顔のサラリーマンばかりが目に留まる。「私も社会に出たらこんな大人になってしまうのでは……それなら大人になんかなりたくない……」。そう思うと社会人になることが怖くて仕方がなかった。
友人たちは次々に進路を決めていく。だがひなは、どうしてみんな素直に就職の道を選ぶのかが疑問だった。進路を決めるのは、人生でとても大きく、大切な決断のはずだ。なぜそんな重要な決断を簡単に下せるのだろう?
プログラムでダウンヒルサイクリングを体験。十勝三股での一コマ
自分はまだ内定をもらえていない。面接で落とされる理由もわからない。物事をうまく進められない自分に苛立った。将来はどうなってしまうのだろう? そんな不安が心を苦しめた。
周りとのペースも合わず、就職活動に疲れてしまったひなは、何に対しても興味を抱けなくなっていた。何もしたくない無気力な状態が続いている。
そんなときだ。インターネットで「MY MICHI プロジェクト」を見つけたのは。
「地域の役に立ちたい」その思いでプログラムに参加
「『MY MICHI プロジェクト』を見つけたときにはビビッときました。応募は直感ですね(笑)。元々、地域活性化に興味がありましたし、就職活動でモヤモヤしていたので、その気持ちが解消されるかもしれないという期待もありました」
東京生まれのひなは、現在大学4年生。就職活動をしている中、インターンシップの応募サイトで「地域活性化」と検索して出てきた一つが「MY MICHI プロジェクト」だった。
「小さい頃から、茨城県に住んでいる祖母の家に遊びに行っていたのですが、昔は賑わっていた界隈が少しずつ寂れていく様子を見て、寂しさを感じていたんです。それで、活気ある地域をつくるにはどうすればいいのだろう? ということを考えるようになりました。それが地域への興味のきっかけです」と、ひなは話す。
ナイタイ高原牧場で。上士幌でしか見られない絶景に感動
そんなひなは、高校生のときには、石川県の農村でボランティア活動を経験し、農業などを手伝った。過疎化が進み、住む人も少ない地域であったが、都会にはない自然や空気がそこにはあった。
また大学時代にもフィリピンでボランティアを経験した。1カ月間ホームステイをして、植林活動や現地の学校を手伝った。ボランティア活動を通じて、人の役に立つ喜びも知ることができた。
そんな経験から、いろいろな地域を見てみたいと思うようになった。その土地、その地域のために何か役に立つことがしたい。ひなはいつからか、そんな思いを抱くようになっていた。
4期の仲間たちと。左から、ひな、なわっちゃん(縄田柊二)、りーたん(田中理紗子)、あかりん(伊藤あかり)、こなつ(野中小夏)
「十勝・上士幌という場所もポイントでした。実は中学生のときに、家族旅行で糠平に来たことがあるんです。それも思い出して、北海道で地域の役に立てることをしたいという気持ちになりました」と、ひなは振り返る。
こうして「MY MICHI プロジェクト」に参加したひなだが、思わぬ悩みと直面することになる。
「私はここに、何をしに来たのだろう?」
ひなは、元々は第3期で参加する予定だった。しかし、首都圏に緊急事態宣言が出ていたことで3期開催が中止になり、4期生として参加することとなったのだ。このとき、ほかの4期メンバーはすでに決定していて、ひなは後から加わったメンバーであった。
「3期を中止する連絡があって、その後で4期は開催するからそこになら一緒に参加できると案内がありました。参加を決めたのは開催2週間前で、ちょっと慌ただしかったんですけど、チャンスは逃したくないと思って決めたんです」
このとき、先に参加が決定していた4人は上士幌で活動するテーマを決めるために、何度かのリモートミーティングを繰り返していた。そこにひなも加わり、ひな自身のテーマを決めるための議論を重ねていった。だが、結果ひなだけはテーマを決めずに参加することとなる。
「深掘りしていく時間がなかったんですよね。子供の頃から本を読むことが好きだったので、上士幌での経験をストーリーに綴ったらどうかというアイデアもあったのですが、それだとそれを書くためにプログラムに参加していることになる気がして。本来私がしたかった体験ができなくなると思ったんです。それで主催のまちづくり会社の方にも相談して、私はテーマを持たずに参加することになりました」
急きょ4期に参加することとなったが「参加して本当によかった」と話す
そうして4期生として参加したひなだが、参加してすぐにちぐはぐな気持ちに陥ってしまう。それは、ペップトークというワークを行った後に抱いた心境だ。
「ペップトークは、お互いのことを話し合って気持ちを高めていくワークです。みんなはどんどん深い話をしていくのに、私はあまり自分のことを話せなかったんです。私は途中参加という意識がどこかにあって、なかなか心を開けなくて。それで不意に、『私はここに、何をしに来たのだろう……?』という気持ちになってしまって、落ち込んでしまったんです」
そんな気持ちになってしまったひなは、プログラムに参加していても、シェアハウスでも、疎外感を感じて過ごしていた。今では、それは自分がそう思い込んでいただけだったことを理解しているが、そのときは気づいていなかった。
仲間たちを理解し、お互いを支え合える関係に
「心の中ではみんなと仲良くなりたいとずっと思っていたのに、なかなか自分から踏み込めませんでした。でもそんな私に対して、みんなはすごく優しく接してくれて。それで少しずつ自分のことを開示できるようになりました」
プログラムで一緒に過ごす時間が増えると会話も増え、お互いのことを理解できるようになっていく。辛い過去を開示してくれるメンバーもいた。そうしているうちに、ひなも自分のことが伝えられるようになっていった。
こなつの食材探しで、一緒に農家さんを手伝う
こなつは、ひなが悩んでいる様子を察してか、よく話しかけてくれた。その優しさがうれしかった。あかりんは、話しているといつも安心感を感じて、心を許せる存在だった。りーたんは、初めは気が強そうに見えて、緊張しながら会話をしていた。でも他人の気持ちを誰よりも思いやれる人だった。なわっちゃんは、真面目そうに見えるが少し抜けているところもあり、それが可愛らしいと思った。
「ちょっと時間はかかりましたけど、仲間たちとも打ち解けられるようになってきて、少しずつ自分の中に変化を感じるようになりました。みんなそれぞれ個性があって、得意不得意を持っている。自分が苦手なことは、他の得意な誰かが埋めればいい。そうやってお互いを支え合うことができる関係になりました」
なわっちゃんの「マラサダカフェ」もスタッフとして参加
仲間たちと信頼関係を築いたひなは、自分だけテーマを持っていない分、ほかのメンバーのテーマを全力で応援した。みんなそれぞれに悩みながらも、やりたいことを実現させるために頑張っていた。そんな仲間たちを支えることは、ひな自身の喜びとなった。
なわっちゃんのマラサダカフェ、あかりんのヒーロー企画、こなつの0円食堂、仲間たちと喜びを共有した時間は、ひなにとってもかけがえのないものとなった。仲間たちに支えられて共に過ごした1カ月間は、一生忘れることのできない素晴らしい思い出となった。
あかりんのヒーロー企画でPOPづくり
「私も、上士幌の人たちのようになりたい」
ひなは「MY MICHI プロジェクト」を経験したことで、一つの道にとらわれない、いろいろな生き方があることを知った。
上士幌には「自分がこうありたい」「他人にこうしたい」と、自分の意志で行動している人たちがたくさんいた。自分のことだけを考えるのではなく、他人を思いやる気持ちを持った人たちに出会った。そんな町の人たちと触れ合っているうちに、自分もこんな大人になりたいと思うようになっていた。
上士幌での一つひとつの経験が、ひなにとってかけがえのないものとなった
「上士幌の皆さんは、『ひなちゃんはどう思う?』って、私の意見や考えを聞いてくれました。そして私の言葉にきちんと耳を傾けてくれた。それがすごく嬉しかった。本音で話すことを怖がる必要はないんだなって、受け止めてくれる人は必ずいるんだって思いました」
就職活動中は辛い記憶しかなく、社会に出ることや将来への不安で押しつぶされそうになっていた。でも、この上士幌での体験を得て、生き方は自分で決められることを知った。自分の未来を悲観することなく、楽しみに思えるようにもなっていた。
自分の生き方を縛り付けていたのは、ほかでもない、自分自身だった。
プログラム最終日。仲間たちと、上士幌の皆さんに心から「ありがとう」
ひなは、9月から大学を1年間休学することに決めた。この時間を使って、自分自身の心の声をしっかり聞いていこうと思う。自分が本当に好きと胸を張って言えるもの、のめり込めるものを見つけたいと思う。
上士幌で出会った人たちは、自分だけの好きなものを持っていた。世の中の評価や価値観ではなく、自分自身の価値観で動いていた。他人のためにも、損得ではなくやりたいという気持ちで動いていた。
「私も、上士幌の人たちのようになりたい。上士幌への感謝は、この先絶対に忘れません。お世話になったすべての皆さんに、ありがとうを伝えます」
上士幌で得たかけがえのない大切なものを、これからも忘れることなく生きていく。それを未来の自分に約束したい。それが石井日奈子の「マイミチ」だ。
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
「生まれ変わっても、また私の人生を生きたい」-野中小夏・マイミチストーリー
北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。
MY MICHI 4期生
野中 小夏(こなつ)
|のなか・こなつ|1999年生まれ、愛知県出身。大学では建築学を専攻。好奇心旺盛で、笑うこと、笑ってもらうことが大好き。「0円食堂」にチャレンジしたいと「MY MICHI プロジェクト」に参加。ニックネームは「こなつ」。
就職活動中に襲われた
不安の中で出会ったプログラム
「生まれ変わっても、また私として生きたい。そんな人生を送りたい」
それが、こなつのモットーだ。好奇心旺盛で、何事にもチャレンジしてきたこなつは、これまでにも興味を持ったことや自分がやりたいと思ったことは何でもやってきた。大学では都市計画やまちづくりを学び、卒業後は不動産関係の企業に進路が決まっている。
2020年秋、こなつの就職活動が始まった。大学で学んだことを活かし、不動産や建築関係の企業を中心に選考を重ねていた。志望した業界に進みたい。その気持ちで就職活動を進めていたが、なぜかワクワクできない自分がいた。
「MY MICHI プロジェクト」では、ダウンヒルサイクリングなどを体験できる
「社会人になったら、やりたいことができなくなるんじゃないだろうか?」
悔いのない人生を送りたいと、やりたいことをやってきたこなつ。社会人になる準備はできているつもりだったが、就職活動が進むにつれ、心の中にそんな不安を抱いていることに気づいた。
不安は連鎖する。思えば、周りの友人と比べて何か突出したものを持っているわけではない。自分の力で何かを成し遂げた経験もない。私には、いろいろなものが足りていない……。
こなつは、自分への自信を失いかけていた。「大学3年が終わる頃ですね。急にいろんな不安に襲われてしまって、押しつぶされそうでした」と、当時の心境を振り返る。
そんな状態の中で迎えた4月のある日、あるサイトで見つけたページがこなつの目に留まった。そこには「北海道・十勝の大自然で仲間と過ごす、1カ月間の体験プログラム」と書かれていた。
プログラムの一つ、ネイチャーガイドによる糠平の自然散策
それを見た瞬間、こなつの心はワクワクした。大学1年と2年の夏休みに、北海道の別海町でファームステイをしたことを思い出した。酪農体験や広大な自然、清々しい空気……それは非日常の空間だった。
「また、北海道に行きたい!」
そのときまだ就職活動中だったが、迷わず参加を申し込んだ。
「MY MICHI プロジェクト」に。
上士幌町でやりたいことは「0円食堂」
参加を申し込んで間もなく、まちづくり会社でこのプログラムを担当する西村剛とオンラインミーティングを行った。そこでプログラムの詳細を説明してもらうとともに、「上士幌町に来たらやってみたいことはある?」と聞かれたこなつは、迷わず「0円食堂をやりたいです!」と答えた。
「テレビで観たこの企画にすごく共感していたんです。農家さんが丹精を込めて作った作物でも、廃棄されてしまうものがある。仕方がないけれど、すごく悲しかった。この企画はそんな廃棄作物を活かそうとしていて、素晴らしいなと思いました。それで、いつか私もどこかの地域で0円食堂をやってみたいと思っていました」
「MY MICHI プロジェクト」は、上士幌町での自然体験や地域で先進的な活動をしている人たちと触れ合うプログラムのほか、参加者がそれぞれに自分自身のテーマを決めて、滞在期間中にそれを実施することになっている。こなつのテーマは「0円食堂」に決まった。
好奇心旺盛なこなつ。プログラム中、気になったものはどんどん記録していく
「生産者さんは、自分が育てた作物を消費者が口にするところは知らないと思うんです。だから私は生産者さんに、『美味しい』という生の声を届けたいと思っていました。それが廃棄食材であれば、なおさらに嬉しくて『ありがとう』って思ってくれるんじゃないかって。それを食料自給率の高い上士幌町でやれば、より意味のあるものになると思いました」と、こなつは話す。
7月、そんなイメージを持ってこなつは上士幌町を訪れた。だがプログラムが始まると、現実は甘くないことを知ることになる。
「廃棄野菜がない」理想と現実の狭間で
「8月は収穫の初期だから廃棄作物はほとんど出ませんよ」
プログラムが始まってすぐに、まずはJAに相談に行った。そこでこなつにとっては青天の霹靂とも言える言葉を担当者から告げられたのだ。
ジャガイモや豆類、ビート(甜菜)、トウモロコシなどの生産農家が多い上士幌町だが、一部の農家はトマトや玉ネギなどの野菜も生産している。だが規格外品が出たときは、肥料などに利活用されているケースが多いことを知った。
上士幌来町初日。表情には緊張感が
「でも、作物はたくさん採れますから。余り物なら出ますよ」
そう言われたが、こなつは納得できなかった。「私が求めているのは廃棄される作物。余り物とは違う……」。こなつの葛藤が始まった。
0円食堂の実施日は8月7日。1日1日と時間が過ぎていく。心躍る気持ちで上士幌に来たこなつだが、プログラムがスタートして1週間が過ぎたころには、その顔から笑顔が消えていた。
「最初は余り物を受け入れることができなくて。変なプライドがあって、そこは絶対に妥協したくないと思っていました。今思えば頑固でしたね(笑)」
それを変えてくれたのは、同じ4期に参加した仲間たちであり、上士幌で出会った町の人たちだった。
4期の仲間たち。左から、なわっちゃん(縄田柊二)、ひな(石井日奈子)、こなつ、あかりん(伊藤あかり)、りーたん(田中理紗子)
こなつは上士幌町での滞在中に町の人たちと積極的に関わりたいと「かあちゃんばあちゃんの野菜市」を訪ねていた。この野菜市は、毎週土曜日に農家のお母さんたちが採れたて野菜を販売しているコミュニティ市場だ。顔を重ねる中で、MY MICHI プロジェクトに参加した経緯や0円食堂をやりたい理由を伝えると、お母さんたちは「力を貸すよ。売れ残った野菜でよければ使って」と言ってくれていた。
「その言葉はすごく嬉しかったんです。私のように外から来た人間にも、皆さん優しく接してくれましたし。でも廃棄野菜へのこだわりと、提供してもらうことへの申し訳なさがあって、最初はお断りしようかとも考えていました」と、こなつは言う。
その間も食材の提供先を探し続け、JAで紹介された須田農場から廃棄野菜が出るとわかり、提供してもらえることになった。でも、それだけでは食材が足りない。本番まで残り1週間となった土曜日、こなつは再びかあちゃんばあちゃんの野菜市を訪れた。
かあちゃんばあちゃん野菜市の皆さんと
「すごく迷っていたんですけど、お母さんたちに食材が足りないことを素直に伝えました。そしたら『私たちの野菜、使って』って。『気持ちもわかるけど、0円食堂をやることに意義があるから』って。何より『こなつちゃんを応援したいから!』って……」
その気持ちに心を打たれたこなつは、野菜を提供してもらうことを受け入れる。そしてもう一人、スパイス専門店「クラフトキッチン」のオーナーである齋藤肇さんからも、料理のアクセントとなるスパイスを提供してもらえることになった。
結果、集めることができた食材は18種類となった。
自分でできないことは、誰かに頼っていい
食材集めと並行して進めていたのが0円食堂で提供するメニュー決めだ。これには、同じ4期生の仲間が協力してくれた。だが、ここでも最初は素直に助けてもらうことができなかった。
「みんな自分たちの企画で忙しいから、手伝ってもらうのは申し訳ない気持ちでいっぱいでした。自分で何もかもやらなきゃいけないと思っていた。でも、開催日もだんだん迫ってきていて、気持ちは焦っていくばかりでした」
「0円食堂」に向けてメンバーと打ち合わせ
そんな様子を見ていた、同じ4期生の一人であるりーたんから、あるときこなつはこう伝えられる。
「こなつ、何でそんなに何もかも自分でやろうとするの? 私たちもやりたくなかったら、やってないよ」
「えっ? って思いました。そうなんだって。私、みんなのことちゃんと見ていなかったって。それでみんなにも自分の気持ちを全部素直に伝えたんです」
そのこなつの気持ちを聞いたあかりんは、「申し訳ないと思わなくていいよ。頼ってもらえることが嬉しいから」と言った。
ひなは「私もこなつを手伝えて嬉しい。私がありがとうと言いたいよ」と話した。
こなつ自身も、自分の企画を進めながら、仲間の企画を手伝っていた。そのとき仲間は手伝ってくれている他のメンバーに対してずっと「ありがとう」と伝えていた。その言葉を聞いたこなつは嬉しく思っていた。思えば、こなつはいつも「手伝ってもらってごめんね」という気持ちだった。
試行錯誤を繰り返しながらメニューを決めていく
そうだ、みんなはいつも「ありがとう」と言ってくれた。誰も「ごめんね」とは言わなかった。「ありがとう」は、伝えられると嬉しい言葉だ。
「そのとき気づいたんです。自分でできないことは誰かに頼っていいってことに。それは相手の力を活かすことにもなるんだって」
仲間を頼り、力を借りて実現した0円食堂。こなつはこのイベントを「ヒンナヒンナ食堂」と名付けることにした。「ヒンナヒンナ」はアイヌ語で食に対する感謝を伝える言葉だ。
8月7日、ヒンナヒンナ食堂当日。参加した町の人たちからは、笑顔があふれていた。
参加してくれた町民の皆さんと
当日提供したメニューは8品
夢は一人では叶えられない
こなつは、この「MY MICHI プロジェクト」を振り返ってこう思う。
「この4期で参加できて本当によかった。私の夢がこの上士幌で叶いました。でもそれは一人では絶対にできなかったことです。夢は一人では叶えられない。たくさんの方たちに協力してもらって、初めて実現することができる。私の夢の実現を手伝ってくれた、まちづくり会社の皆さん、上士幌町の皆さん、そして同じ4期の仲間たちには、心から感謝しています。上士幌で過ごした1カ月は、忘れられないし、絶対に忘れたくない思い出になりました」
こなつは、0円食堂を成功させたことで、自信と強さを得た。「私だってやればできるんだ。一人じゃない。絶対に、協力してくれる人がいる」。今、心からそう思う。
最終日には、プログラムを振り返ってプレゼンを行った
生きるなら、日常をただ過ごすのではなく、自分で切り開いて、時には自分で非日常を作り出す。チャレンジしたいことがあれば、勇気を持って一歩を踏み出し、挑戦する。社会人になっても、その気持ちは決して忘れない。必要なのは「やりたい!」という情熱だ。
「生まれ変わっても、また私として生きたい。そんな人生を送りたい。そしてこれからも、自分のやりたいことを大切にして、その先にいる人たちを笑顔にしたい」
それが、私の人生。それが私の「マイミチ」。
こなつは、これからも野中小夏として生きていく。
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
「幼い頃の自分を迎えに行く」-田中理紗子・マイミチストーリー
北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。
MY MICHI 4期生
田中 理紗子(りーたん)
|たなか・りさこ|1994年生まれ、神奈川県出身。「自分自身と向き合うこと」をテーマに「MY MICHI プロジェクト」に参加。プログラム参加中は、自身を見つめ直すためのマイドキュメンタリー映画の制作に着手。ニックネームは「りーたん」。
「自分らしく生きる」この言葉が胸を打つ
目の前が真っ暗になった。
完全に疲れ切っていた。何をしていても、勝手に涙だけが溢れてくる。
「このままでは、本当に壊れてしまう……」
彼女は、暗闇の中にいた。大きな影に、自分自身がどんどん飲み込まれてしまっていくのを感じていた。
「MY MICHI プロジェクト」は、一つひとつのプログラムがかけがえのない体験に
神奈川県川崎市に生まれた彼女は、幼少の頃に関西に転居し、学生時代まで過ごした。大阪の大学を卒業したあとは大手ECサイトを運営する企業に入社、出店店舗へのコンサルティング業務に従事する。その後プログラミングスクールに転職し、セールスの仕事を行ってきた。
いずれの仕事もやりがいはあったが、忙しすぎた。成果を上げたい一心で打ち込んできたが、頑張れば頑張るほどに仕事の量は多くなる。残業時間も増え、心身が疲れていくのを感じていた。だがどんなに疲れていても、仕事になればその姿を見せることはできない。
「残業が多いのは、仕事ができていないから。もっと頑張って効率良く仕事ができるようにならないと」。そう思い、さらに自分の体に鞭を打つ。仕事をしているときは笑顔で前向きな自分を演じているが、本当の自分は疲労とストレスでボロボロだった。
あるとき、目の前が真っ暗になるのを感じた。完全に疲れ切ってしまい、涙が溢れてくる。
「もう、疲れた。休みたい。このままでは本当に壊れてしまう……」
そんなある日、たまたま見ていたインターネットであるプログラムを見つけた。そのプログラムには「自分らしく生きる」という言葉が綴られていた。
そのキーワードが胸を打った。
「MY MICHI プロジェクト」は、自分らしい生き方を見つけていくプログラム
今までの私は、自分らしく生きていたのだろうか? 幼い頃からの記憶がフラッシュバックした。私はいつも、自分の気持ちを素直に伝えられずにいた。わがままを言わずに、自分が我慢をすればいろいろなことが上手くいくと思っていた。そんな記憶を思い出すと、また涙が頬を濡らしていた。
「今、自分とちゃんと向き合わないと、本当に私は駄目になってしまう」
彼女――りーたんは、「MY MICHI プロジェクト」への参加を決めた。
自分が我慢すればいい。そう思って生きてきた
申し込んでから参加までの間、プログラムを主催するまちづくり会社のスタッフとリモートでの面談を繰り返した。今回の「MY MICHI プロジェクト」では、参加者一人ひとりが上士幌でやりたいことをテーマに掲げ、プログラム中にチャレンジする。何度かの面談を進める中で、りーたんは幼い頃からの話を伝えていた。
「小学校3年生のときに、両親が離婚しました。その何年か前から家の中で両親が口論になることがよくあって、家は私にとって安心できる環境ではなかったんです。両親が怒っているのは、私が生まれてきたからなのかな? とか、私は生まれてこなければよかったのかな? と考えたこともありました」
両親に甘えることができず、ずっと寂しさを抱えていた。だが、いつからかその寂しさも、自分の中に閉じ込めるようになっていた。
あるとき、友だちが楽しそうに両親と手をつないで一緒に歩いている姿を見て羨ましさを感じた。「いいな。私もパパとママと一緒に手をつないで歩きたい……」。そんな気持ちさえも、誰にも伝えることができなかった。
糠平の大自然に触れて、彼女は何を思ったのか
自分が我慢すればいい。そうすれば、周りのみんなは笑顔でいられる。幼い頃からずっとそう思って生きてきた。学校に行けば友だちの前では笑顔を絶やさない。でも、それは笑顔の仮面を被っているだけだ。本当はそんな自分が嫌だった。
「小さい頃からずっと自分の気持ちに嘘をついてきました。感情を出すこともなくなって、笑っていても、その場を取り繕うために笑っていたこともあります。そうやって感情を置き去りにしてきたことで、いつからか自分の気持ちがわからなくなっていました。自分が何をしたいのか、何が本当の感情なのかもよくわからなくなっていたんです」
「あなたは、幸せにならないといけない」
「あなたは、幸せにならないといけない」
面談で自分の境遇を伝えたとき、まちづくり会社の西村から思いもかけない言葉をかけられた。その言葉に、思わず涙が溢れた。
「自分と向き合うということは、小さい頃の自分を迎えに行くことだよ。りーたん、無理しなくていいから、ゆっくりゆっくりやっていこう」
そう言われて、気持ちが楽になった。自分を受け入れることができず、ずっと我慢して生きてきた。そんな自分が嫌だったが、それさえも否定していた。その気持ちを全て伝えた上で、そんな自分に本気で向き合ってくれた。それが本当に嬉しかった。
糠平湖畔で。都会にはないゆっくりとした時間を過ごす
事前のチームミーティングでは4期メンバーとオンラインで顔を合わせることになった。それぞれが上士幌でのテーマを決めるとき「自分と向き合うために、りーたんが主役の映画を作るのはどう?」というアイデアが出た。それはいいかもしれないと思った。
これまで必死に生きてきた自分を誇らしく思うと同時に、大切なものを置き忘れてきた。上士幌町で自分と正直に向き合う姿をストーリーにすることで、この映画がこれからの人生のお守りになると感じた。
「小さい頃から孤独で、寂しくて、誰に対しても本音を話すことができませんでした。だからこそ、この町での体験や気持ちの変化をしっかりと記録しておきたいと思いました。同時に、私と同じように生きづらさを感じている人に対してもエールを送れるような作品にできたらと思いました」と、りーたんは話す。
プログラムで十勝しんむら牧場を訪問。放牧酪農について説明を受ける
少しずつ、素直な自分を表現できるように
7月、「MY MICHI プロジェクト」がスタートした。プログラム参加中、りーたんは自分自身に約束事を課していた。
「自分自身ときちんと向き合うこと。自分を大切にすること。無理はしないこと」。疲れたり、しんどいときは素直にメンバーにも伝えて、休む。何より、自分を労って大切にする。これを自分自身に約束した。
プログラム初日、上士幌町に到着直後
来町してすぐに大きな出来事があった。プログラムの初回で、4期メンバーにまちづくり会社のスタッフも交えて「ペップトーク」というワークを行った。ペックトークとは、相手を励ましポジティブな感情を与えるワークだ。ここでももう一度、自分の過去と向き合い、記憶を紡いでいく。その場にいた全員が、一つひとつの言葉に真摯に耳を傾けてくれた。
「りーたん、よくここまで頑張ってきたね」
「生まれてきてくれてありがとう」
ワークを終えたとき、まちづくり会社のスタッフにぎゅっと抱きしめられた。その瞬間、今までに流したことがないほどの大粒の涙が出た。それは、自分がずっと求めていた言葉だった。りーたんは抱きしめられながら、温かいぬくもりと太陽のような愛を感じていた。同時に、今の自分が幼少の頃の自分を抱きしめているような、そんな感覚を覚えていた。
「振り返ると、私にとってすごく大きな転機となった出来事でした。自分自身を受け入れることができた最初の一歩だったように思います」と、りーたんは振り返る。
本音を伝えられる仲間たちにも出会えた。手前から、りーたん、あかりん(伊藤あかり)、ひな(石井日奈子)こなつ(野中小夏)、なわっちゃん(縄田柊二)
それからはプログラムを体験しながらずっとカメラを回し続けた。サイクリングやネイチャートレッキングなどの自然体験、新しい酪農にチャレンジし続ける十勝しんむら牧場の話、町の人たちとのBBQや交流会……上士幌町は刺激的で魅力的な町だった。
仲間たちのテーマも積極的に手伝った。0円食堂に取り組むこなつ、マラサダカフェに挑戦するなわっちゃん、子どもたちのヒーロー企画を進めるあかりん。メンバーのテーマを真剣に応援した。
滞在中は4期メンバーともたくさん話をした。疲れた様子が見えたときには「りーたん、大丈夫? 話を聞くよ」と、声をかけてくれた。みんなには、本当に思っていることを素直に伝えた。仲間たちには、嘘偽りのない自分を伝えたかった。
仲間たちも、りーたんを受け入れてくれた。メンバーと過ごすことで、自分は何を考えているのか、何をしたいと思っているのか、少しずつ気持ちを表現できるようになっていった。
自分を受け入れてくれる人がいる。それが何より嬉しかった
自分を受け入れなければ、他人を受け入れることはできない
来町して1カ月が経とうとしていた。プロジェクトの最終日には、上士幌町民に向けての活動報告会がある。りーたんのテーマである映画も、そこで上映する予定でギリギリまで編集作業を進めていた。だが、映画の上映は後日に延期することとなった。
「映画を作ることでみんなに認められたいと思っていて、最終日までに完成させなくちゃいけないと無理をしていたんです。最初にプロジェクトに参加したときに、無理をしないと自分に約束していたのに忘れてしまっていて。それで無理をしないことにしたんです」
たくさん泣いて、たくさん笑った。そうして、少しずつ自分を取り戻していった
りーたんは、「MY MICHI プロジェクト」終了後も、延長して町に滞在することを決めた。無理をせずに最後の編集作業を進めて、数日後、映画は完成する。
8月23日、これまでお世話になった町の人たちを招待して、ささやかな映画上映会が行われた。映画のタイトルは『小さな私』。
「今までよく頑張ったね。あなたは何も悪くないよ。これからも、よろしくね」
自分と向き合うということは、小さい頃の自分を迎えに行くこと。幼い頃の自分にそっと差し出したその手を、小さな手が握り返していた。
このプロジェクトを振り返って、りーたんは言う。
「私がこの上士幌で学んだこと、それは『自分を受け入れることができなければ、他人を受け入れることはできない』ということです。私はこの町で、たくさんの出会いと体験を通して、自分を受け入れられるようになりました。それは何よりも、町の皆さんが私を受け入れてくれたからです」
上映会は4期の仲間たちも見守ってくれた
外から来た自分に対しても、町の人たちは「よく来たね」と声をかけてくれた。プログラムが終わったら町を離れるとわかっていても、「いつでも帰っておいで」と言ってくれた。町の人たちからのそんな言葉が、本当に心地よかった。
町の人たちには、心から感謝している。上士幌は、りーたんにとって、たくさんの愛に触れた場所になり、本当に大切な場所になった。そして彼女は決断する。「私の『マイミチ』の続きは、上士幌町から始まる」と。
「秋に移住します。実はプログラム参加中から、移住を視野に入れるようになりました。大好きな上士幌町を拠点に、これから何ができるかを考え、やりたいことをゆっくりと考えていきたいです」
田中理紗子の「マイミチ」は、上士幌町で続いていく。
田中理紗子マイドキュメンタリー『小さな私』
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
「自分の気持ちに、正直に生きる」-伊藤あかり・マイミチストーリー
北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。
MY MICHI 4期生
伊藤 あかり(あかりん)
|いとう・あかり|1997年生まれ、千葉県出身。自分自身を見つめ直したいと「MY MICHI プロジェクト」に参加し、子どもたちが町の困りごとを解決する「まちの小さなヒーロー」を企画。ニックネームは「あかりん」。
疲れ切っていたときに差し込んだ一筋の光
「私は一体、何のために働いているんだろう……」
あかりんは、疲れていた。専門学校を卒業後、千葉県内の小児科病院で医療事務の仕事に従事していた。職場の人間関係も良好で、新卒で入職してから2年が経ったころには、任される仕事も増えて、充実した日々を過ごしていた。
しかし、3年目になると業務量はますます多くなっていく。平日は忙しく時間が流れていき、休日は体を休めるために部屋で寝ているだけ。いつしか働くことの意義がわからなくなっていた。2020年の年末には体調を崩してしまい、休職しなければならないほどに追い込まれていた。
なぜこうなるまでに働かなければならなかったのか。休職中、ずっと考えていたが、答えは出なかった。
旧国鉄士幌線・幌加駅跡を散策
年が明けて職場に復帰したが、忙しい毎日は変わらなかった。余裕がなく、小さなことにもイライラしてしまう。そんな自分が嫌で仕方なかった。
「このままでは本当にダメになってしまう。何とかしないと……」。精神的にも追い詰められていたあかりんは、ある日、インターネットであるプログラムを見つけた。「自分らしく生きる」「自分自身を見つめ直す」。その言葉が、一筋の光としてあかりんの心を照らした。
「このプログラムなら、自分自身と向き合えるかもしれない」
直感的にそう思ったあかりんは、応募のボタンを押していた。それが「MY MICHI プロジェクト」だった。
上士幌は熱気球が盛ん。プログラムでは熱気球搭乗も体験
「あかりんは、どう思う?」
「MY MICHI プロジェクト」に申し込んだあかりんは、他の参加メンバーと一緒にリモートで事前ミーティングを繰り返していた。その場では、上士幌町で活動するための自身のテーマを決めたり、プログラムの意見交換などを行っていた。
あかりんは、そこで思わぬ壁にぶつかることになる。
「自分の意見をうまく伝えることができなかったんです。これまで、仕事でも意見を求められる機会は少なかったし、自分の考えを伝えても聞いてもらえることも少なかった。いつしか意見を言わない方が楽になっていたんですよね」と、あかりんは話す。
「あかりんは、どう思う?」
ミーティングでは何度も意見を求められた。でも、うまく伝えることができない。その歯痒さをずっと感じていた。
「自分の意見を言うことに恥ずかしさもありましたし、他のメンバーへの劣等感もありましたね。みんな、やりたいことがいっぱいあって、アイデアもたくさん持っていた。私はなかなかテーマも決まらなくて、気後れもしていました。今だから言えますが、参加しても意味がないんじゃないかとも思い始めていました」
町の人たちとも触れ合う
あかりんは、ギリギリまで参加を悩んでいた。社会人の彼女は「MY MICHI プロジェクト」参加のため、職場に退職の意思を伝えていた。でも、これまで通り仕事を続けていた方がよいのではないか? 何度もそう考えた。
「もう、行きたくない……参加を取り止めよう……」
あかりんは、プログラムを主催するまちづくり会社のスタッフに相談した。すると、こんな言葉が返ってきた。
「あかりんは、経験がないだけ。経験なんていくらでも積めるから、今回をその機会にすればいい。何も持たずに来たらいいよ」
この言葉で、胸が軽くなった。行きたい。みんなに会いたい。あかりんは、上士幌へのチケットを手配した。
小さな自分でも誰かの役に立つ
上士幌でのあかりんのテーマは「まちの小さなヒーロー」に決まった。町の困りごとを小学生の子どもたちが解決するという企画だ。
子どもが好きというあかりんは、社会人になるときの進路を保育士か医療事務で考えていた。選んだのは医療事務だったが、勤務先の行院では院内学級も手伝っていた。
プログラム初日のあかりん。表情には緊張感が
「上士幌町での活動テーマを決めるときに、自分に何ができるだろう? ということをずっと考えていました。ミーティングでみんなとブレストを重ねていく中で、『子どものころ、何になりたかった?』という話題になって、そのときまちづくり会社の方が『自分はヒーローになりたかった』と言ったのを聞いて、これだ! って思ったんです」
子どもについて考えるとき、あかりんは自分の幼少時代を思い出す。それは、地域の人たちに優しく接してもらった記憶だ。外で一緒に遊んでもらったり、親に怒られて家に帰りづらかったときに、うちにいればいいよと家に上げてもらったこともある。
あかりんは、地域の人たちが優しく見守ってくれていたことに安心感を抱いていた。子どもにとって、安心安全な環境で育っていることを実感できるのはすごく良いことだと、自身の経験を通して信じている。
子どもたちと一緒に汗を流した
「子どもたちに、地域とつながっていることを感じてもらいたんです。それに、小さいころに誰かの役に立つ経験をすることは、すごく大きな財産になると思う。その経験が子どもたちの可能性を伸ばしていく気がするんです」と、あかりんは言う。
来町前にヒーロー企画のチラシを作成し、まちづくり会社を通じて小学校に配布していた。どれくらいの子どもたちが参加してくれるだろう。胸をワクワクさせながら、上士幌町へと旅立った。
意地を張っていた自分を受け入れてくれた仲間たち
7月14日、「MY MICHI プロジェクト」がスタートした。最初の1週間はサイクリングやネイチャートレッキングなどのプログラムを中心に日々が過ぎていく。都会で体験できないプログラムはどれも新鮮で刺激的だった。だがその一方で、ヒーロー企画への参加者は全く集まらなかった。
なぜ参加者が集まらないのだろう……? あかりんに余裕がなくなっていく。合わせて、仲間たちと過ごすシェアハウスの生活にもストレスを感じ始めていた。
「一人になれる時間がなかったことや、参加者が集まらない焦り、他のメンバーの企画が進んでいることなど、いろんなことが重なって、それがすごく辛かった。仲間たちがキラキラして見えて、企画が進まない自分に引け目を感じてしまった。みんなが一緒に夕食を取っているときに、私だけ部屋にこもっていたこともありました」
シェアハウスでのミーティング。メンバーにもたくさんアイデアをもらった
メンバーと比べてしまう自分が嫌だった。何をしてよいかわからなくなり、何も行動できない自分を恥ずかしいと思っていた。それを変えてくれたのは、ほかでもない、同じ4期の仲間たちだ。
「みんなも心配してくれたのか、あるとき、ゆっくり話をしたんですよね。そこで自分の気持ちを素直に伝えました。みんなちゃんと私の話を聞いてくれて、私を受け入れてくれた。それがすごく嬉しかった。どこかで私自身が意地を張っていたんですよね。それに気づいたとき、気持ちがスッと楽になりました」と、あかりんは振り返る。
「私たちにもできることは手伝うから、どんどん任せて」
仲間たちもそう言ってくれた。その言葉が何より嬉しかった。意地を張らずに、素直に甘えようと決めた。現状を確認し、やらなければならないことを一つずつ整理していった。
かけがえのない仲間たち。左から、こなつ(野中小夏)、なわっちゃん(縄田柊二)、ひな(石井日奈子)、りーたん(田中理紗子)、あかりん
ヒーロー企画を実現するには、町の人たちの困りごとも知らなければならない。メンバーにも手伝ってもらいながら、1軒1軒地道に町内を回った。参加者を集めるために、まちづくり会社スタッフを通じて、小学生を持つ親御さんを紹介してもらい、会いに行った。直接会って説明すると、「良い取り組みですね。それなら子どもを参加させたい」と言ってくれた。
結果、4件の困りごとが集まった。家具のペンキ塗り、敷地の雑草取り、庭の苔取り、店舗の窓拭き。子どもたちは14名が参加することとなった。
参加した子どもたちは、みんな真剣に取り組んでいた
自分を好きになれたことが一番の変化
「楽しかった! またやりたい!」
ヒーロー企画に参加した子どもたちから、一様にそんな声が上がった。保護者の方からも「こういう機会をもっとつくってほしい」「終わって子どもが『すごく楽しかった』と話してくれたので、本当に楽しかったんだと思いました」という感想が聞かれた。この日、上士幌に、14名の小さなヒーローが誕生した。
あかりん自身も、子どもたちと一緒に過ごした時間が心地よかった。ある子は「私、このチームで参加できてよかった!」と言ってくれた。何よりも嬉しい言葉だった。
ヒーロー企画に参加した子どもたち
「私はやっぱり子どもが好きだ」
プロジェクトを終えて、あかりんは改めてそう思った。
あかりんは、手伝ってくれた仲間たちにも素直に「ありがとう」と言葉を伝えた。私を受け入れてくれてありがとう。一緒に悩んでくれてありがとう。力を貸してくれてありがとう。気持ちを素直に伝えられるようになったことは、あかりんの大きな成長だった。
「自分という存在を受け入れられるようになったこと、それが私自身のもっとも大きな変化です。上士幌での経験を経て、自分を好きになることができました。仲間たちとの出会いはもちろん、上士幌の人たちとの出会いも大きかったです。温かくて優しい人たちが多くて、自分もそんな存在になりたいと思える人たちにたくさん出会いました」
上士幌ではたくさんの出会いがあり、多くのことを学んだ
あかりんは「MY MICHI プロジェクト」に参加したことで、素直に生きることの大切さを学んだという。
「上士幌に来るために仕事を辞めてきましたが、後悔はありません。私はこれから何でもできるし、何にでもなれると思うから。これからは、自分がやりたいと思ったことは何でも挑戦していきたいです。例えば、食や子どもに関わるための子ども食堂や、高齢者と子どもたちが関われるコミュニティづくりもいいかもしれない」
誰とも比べる必要はない。私は私。自分を信じて生きていけばいい。未来を見つめる伊藤あかりの目は、キラキラと輝いていた。
「自分の気持ちに正直に生きること。それが私のマイミチです」
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
みんぱくモリオカハウスかみしほろのご紹介
上士幌町にある民泊、「みんぱくモリオカハウスかみしほろ」さんにおじゃましてきました。
民泊とは、個人が戸建て住宅やマンションの部屋を全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することです。
「みんぱくモリオカハウスかみしほろ」はオーナーの森岡康さんと妻の庸子さんのお二人で経営されています。
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
なぜ上士幌町で民泊を?
上士幌町でなぜ民泊を始めたのか尋ねると、最初は民泊ではなく賃貸にしようか悩んでいたと話す庸子さん。
しかし、そのときに民泊のことを知り興味を持ったことがきっかけになったそうで、実際に本州や足寄の民泊や帯広の農泊を体験しやってみたい気持ちが出てきたこと、上士幌町には当時1件しか宿泊施設がなかったので町の役に立つのではと考えたそうです。
そして立地がいいこと、上士幌町のまちづくり会社に勤めるデザイナーが「プロデュースするよ」という背中を押す一言で民泊を経営することを決意。
また「上士幌町を目的地としてきてほしい、通過点ではなく道の駅やナイタイ高原、糠平など外交をゆっくり周ってもらいたいという思いもあった」と。
そこで空き家になる自宅近くの平屋住宅を取得し、民泊にリフォーム。
森岡さんは民泊の他に建設会社を長年経営されていますが、民泊のコンセプトはデザイナーにおまかせしたそうです。
「ここまで変わると思っていなかった」
業者という自分たちの立場だけではここまでのイメージがなく、デザイナーの思い切った発想に最初は戸惑ったけど他にないものができて良かったと話してくれました。
オシャレな民泊
モリオカハウスはとにかくオシャレで、非日常を感じられる空間になっています。
目印となる大きな「森」という看板が目立ちます。
モリオカハウスの外観はランドマークとなるようにかぼちゃをイメージ。
屋根はかぼちゃの皮の色、外壁はかぼちゃの実の色になっています。
そんなモリオカハウスの内装はとても素敵で建物に入った瞬間に「おぉー!」と思わず声が出てしまいました。
玄関は大きな荷物を持っていても十分なスペースがあり、バラのボードにはメッセージを書くことができるペンが用意されていて宿泊の感想など自由に記載することができます。
モリオカハウスは寝室が2室、ダイニングキッチン、リビング、お風呂、トイレ、洗面台を完備していて、冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機やテレビも設置。
広々としたリビングでは大人が数名でもゆっくりとくつろげます。
ダイニングキッチンでは近所のお店で食材を買ってきて自炊することもできます。
トイレとお風呂と洗面台。
WiFiも使用することができ、リビングの窓際にあるカウンターで外を眺めながら仕事などができるようになっているので、シェアオフィスとして使用しても構わないそうです。
その際にチェックインとチェックアウトの時間は決まっているが、もし前後で誰も使用していなければ時間をずらしてハウスを借りることもできます。
うみともり
寝室は「ウミノヘヤ」と「もりのへや」があります。
「ウミノヘヤ」は青を基調としていて、6畳の部屋にイカダをイメージしたキングサイズの畳ベッドが敷いてあるので、小さい子どもと一緒にゆっくりと過ごすことができます。
「もりのへや」は自然に囲まれた雰囲気になっていて、こちらは6畳の部屋にツインベッドが設置されています。
みんぱくモリオカハウスかみしほろ
宿泊プランは一棟プランのみになっていて、基本チェックイン時間 15:00〜、基本チェックアウト時間 11:00〜となっています。
総部屋数は2つで「もりのへや/ツインベッド」と「ウミノヘヤ/畳・布団」があります。
その他にリビングタイニング、バス、トイレがついています。
大人4名(小学生以下の子ども2名まで)利用可能で1泊15000円(税別)になっていて、オプションとしてプラス2000円(税別)で小学生以下の子ども1名まで追加で宿泊することでができます。
※宿泊料金、プラン等、予告なく変更する場合があるので、申込みのときにご確認ください。
食事は付いていませんが、調理器具がそろっているので自炊ができます。
また付近には、飲食店が多数あるのでそちらで食事を楽しむことができます。
\ 非日常を体験 /
モリオカハウスの今後について
将来的にはモリオカハウスの裏の畑で育てた作物を収穫してもらい宿泊者に調理してもらうことや、敷地内に東屋を建ててBBQができるスペースを作る構想があり、二人は「徐々に楽しみながらやっていきたい」と楽しそうに語っていました。
みんぱくモリオカハウスかみしほろは森岡夫妻にとって夢の場所。
これからの活動に期待したいですね!!