気持ちいいぞ! 薪割り体験!
「スパーンッ!」
薪が綺麗に割れるとそんな音が聞こえてきます。
そして残った手の感触はとても軽いです。
「バチーンッ!」
そんな衝撃音が全身に響き渡るときもあります。手はビリビリ。その薪割りは失敗です。斧の入る角度が真っ直ぐじゃないときによく起こります。角度を調整して再チャレンジ!私たちが上士幌町で参加した「MY MICHIプロジェクト」で行った薪割り体験をレポート!
WRITER
澤田 遼
MYMICHI2期生。愛知県出身。十勝晴れによって照らされる広大な山々とその麓に広がる自然豊かなこの上士幌の景色に心を奪われてしまいました。移住もありかなと考えるようになった今日この頃です。好きな言葉は「今日が1番若い」。
四戸家名物「無限薪割り」
この日は上士幌町認定保育園ほろんで保育士をされている四戸(しのへ)智昭さん(31歳)のお宅にお邪魔して薪割り体験をさせていただきました。
四戸さんのお宅に到着すると、そこには四戸さんと四戸さんの友人で上士幌町で農業をされている小林悠樹さん(31歳)がいらっしゃいました。
こちらが本日のメニュー。
四戸さんが今日のためにわざわざ作ってくださいました!
無限薪割り(笑)と思い、ふと四戸さんのお庭を見るとそこには細めの丸太からウエストくらい太い丸太までさまざまな丸太がゴロゴロ。
まずは四戸さんによるレクチャー!
斧を振り下ろす位置は慣れるまではこの辺りが良いそうです。あんまり手前だと万が一空振りしたときに斧が自分に当たる危険がありそれを防ぐためです。
そして四戸さんのお手本。
四戸さんにかかるとこんな太い丸太も
スパーンッ!
一発でこんなに簡単に割れてしまいます。かっこいい・・・!!
ここで少し斧の説明を。
斧は物によってマチマチではあるものの、重さは約2キロ前後。2リットルのペットボトルほどの重さですが、斧は刃がその重量のほとんどを占めるため、握りに近い側で持つほどずっしりとしたその重さを感じます。
最初は利き手を柄腹部分に、握りを逆の手で持ってそのまま下ろします。
エイッ!
なかなか四戸さんのようにはうまくいきません。
木の皮だけを切ってしまったり、表面に傷をつけまくり、魔界の模様みたいにしちゃったり・・・。なかなか上手くいかないなぁ。とか言いながら続けること10分ほど。段々続けていくうちに振り下ろした斧が丸太を貫通するようになってきました!
そうなったら次のステップです。
今利き手はずっと柄腹にありましたが、今度は柄腹にある利き手を上に持ち上げたときに握りの方にスライドさせます。
柄腹にある利き手を
振りかぶって
頂上に到達する頃に手をスライドさせて
一気に
振り下ろし体制に入り
あとは丸太に目掛けて振り下ろす!
スパーーンッ!! 気持ちいいー!!!!
割ってすぐの薪は多くの水分を含んでいるため、こうして乾かします。
床を作って空気の通り道を作り、屋根を被せて雨風を防ぎ。そして後は空いてる穴から風を通して干していきます!
乾くまでに大体1年以上かかるそうです。
心の声「1年か、そんなに寝かせておくんだ・・・」
そしてこの写真に写ってる棚分くらいが1年間で使う薪の量だそうです。すごいたくさん!!
薪割りは全身を使って行うため、体がぽかぽかになります。
めっちゃ暖かい!!と言いながら気温2℃の中、上着を脱ぎ決めポーズをとるジミー。
四戸さん宅にはこんな機械もありました。
これは焚き付け作り機です。薪は太いため直接火をつけてもなかなか着火しません。そこでまずは、火をつけるために焚き付けが必要になります。
使い方はとっても簡単! まずはハンマーで薪が自立できるまで叩きます。
きちんと立ったら後はたくさん叩くだけ!
簡単に割れました!
焚き付け用の木材は薪と混ざらないようにコンテナへ。
陽が傾き始めて、たくさん割った薪を乾燥棚に徐々にしまい始めた頃、四戸さんに薪ストーブを始めたきっかけを尋ねると、とても意外な答えが返ってきました。
いつから薪ストーブを使うようになったんですか?
4年前かな。
始めるきっかけは何かあったんですか?
昔から憧れがあったことと、薪の癒しっていうのがまずあるかな。あと仕事で保育について改めて考えていろいろ勉強する機会があって、その知識を家につなげたってところも大きいかな。
そんな機会があったんですね。
そうなんだよね。4、5年前に「ほろん」(上士幌町認定こども園)のすぐ北側に新しく「ほろんの森」っていう広場を作ることになったんだ。どういった場を作るのが良いだろうと思って、そのときにもう1回自分の中で保育について勉強し直したんだよね。都会に負けない、田舎だからできる教育プログラムや経験を積めるような場にできないかなって思って。そこで原体験とか野育とか今話題のSDGsとかを改めて勉強し直したんだよね。
そんなことがあったんですね。
うん。そうしたときにさ、子どもたちが今のこの世の中を生き抜くために一番必要なことって何だろうって思ったら、原点に立ち返って、自然を愛することだったり、資源を大切にするっていうことかなって思ったんだ。そういう思いがあって、ほろんの森には、井戸水を引いて水遊びができる場所や、「忍者小屋」という身長よりも高い石垣を登って遊べる場所や、グラウンドとは少し違う冒険的で継続的で主体的な遊びができるスペースを作ったんだ。それに加えてそこに焚き火のスペースも作ったんだよね。
え、子どもたちが焚き火!? 危なくないんですか?
もちろん大人が見ている前でね。火って暖かいしすごく便利なものだけど、一歩間違えたらすごく危ないでしょ。火に対する危機感とか危機管理能力も育てられたらいいなっていうのがあって。そんなことも伝えられる場所を提供できないかなって思ったんだ。
それが自宅にも活かされたということですか?
そうだね。それで自分の家を建てるときも、もちろん薪の温かさとか癒しもあるんだけど、自分の子供への教育的なところでも薪ストーブを取り入れてみようって思ったんだよね。
まさかそんなかっこいい動機だとは思いませんでした・・・。
ありがとう(笑)。薪が上手く割れた瞬間がたまらなく気持ちいいってのももちろんあるけどね(笑)!
そんな会話をしていると、四戸さんの同僚の鎌田健司さんが到着し、コーヒーの焙煎が始まりました。
Four Houses Coffee Base「自家焙煎」体験 Kama
鎌田さんは、コーヒーの焙煎が趣味だそう。「せっかくだからみんなにも体験してもらおうと思って」と、四戸さんが鎌田さんに声をかけてくださっていたのでした。
嬉しいです・・・! ということで、ここからはコーヒーの焙煎講座に!
さっき割ったばかりの薪・・・はまだ乾燥させないといけないので、前年に四戸さんが割った薪でコーヒー豆を焙煎することに。
ちなみに鎌田さんが自家焙煎を始めたきっかけは、コーヒーが大好きで焙煎豆をたくさん買うけど、毎回焙煎豆を購入するのは金銭的に辛い!! という理由からだそうで、今では生豆を購入し自ら焙煎を行うようになったそうです。これはかなりのコーヒー好きなのでは!?
これがコーヒーの生豆です。白い!!!
これを加熱していきます。
豆全体に熱を加えるために。そしてコーヒー豆の皮を熱で剥くために、熱して振って熱して振ってを繰り返していきます。
この焙煎によってあのコーヒーの香りや苦味、酸味が出てきます。浅めに焙煎すると酸味が多く、深めに焙煎すると苦味が多いといわれているそうです。
それにしても焚き火あったかいな〜!!
焙煎係の人は火のすぐそばに行けるのでちょっとした場所取り争奪戦に(笑)。
中にはフライパンそっちのけで自分の体を暖めはじめる人も・・・(笑)。
だんだんと色が茶色になってきました。うんうんコーヒーの香りもしてきたような!
さらに熱していくと・・・
だんだん黒くなってきたぞ!
熱した後3、4日経つと美味しいコーヒーになるそうで、その日を楽しみしにしながら持ち帰らせていただきました!
袋にはしっかり「回想珈琲 four houses coffee base」の文字が!
17時。最後にみんなで集合写真。
帰り際、「また薪割りしたくなったらいつでもおいで!」と四戸さんがおっしゃってくださいました。
そして仲良し3人組のお写真も撮らせていただきました(左から四戸さん、小林さん、鎌田さん)。
いい表情だなぁ。こうやって肩を組める仲間がいるって素敵だなぁ。そんなことを思いながら家路へと向かいました。
ありがとうございました!!