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「生まれ変わっても、また私の人生を生きたい」-野中小夏・マイミチストーリー

2021.10.25
MYMICHIストーリー上士幌体験

北海道・十勝の上士幌町で「遊ぶ・学ぶ・働く」を体験する1カ月間の滞在型プログラム、それが「MY MICHI プロジェクト」だ。2021年7月〜8月に第4期が開催され、全国から5人の若者が参加した。5人は何を思いこのプログラムに参加したのか。それぞれの「マイミチストーリー」がそこにある。


MY MICHI 4期生

野中 小夏(こなつ)

|のなか・こなつ|1999年生まれ、愛知県出身。大学では建築学を専攻。好奇心旺盛で、笑うこと、笑ってもらうことが大好き。「0円食堂」にチャレンジしたいと「MY MICHI プロジェクト」に参加。ニックネームは「こなつ」。


就職活動中に襲われた
不安の中で出会ったプログラム

「生まれ変わっても、また私として生きたい。そんな人生を送りたい」

それが、こなつのモットーだ。好奇心旺盛で、何事にもチャレンジしてきたこなつは、これまでにも興味を持ったことや自分がやりたいと思ったことは何でもやってきた。大学では都市計画やまちづくりを学び、卒業後は不動産関係の企業に進路が決まっている。

2020年秋、こなつの就職活動が始まった。大学で学んだことを活かし、不動産や建築関係の企業を中心に選考を重ねていた。志望した業界に進みたい。その気持ちで就職活動を進めていたが、なぜかワクワクできない自分がいた。

「MY MICHI プロジェクト」では、ダウンヒルサイクリングなどを体験できる

「社会人になったら、やりたいことができなくなるんじゃないだろうか?」

悔いのない人生を送りたいと、やりたいことをやってきたこなつ。社会人になる準備はできているつもりだったが、就職活動が進むにつれ、心の中にそんな不安を抱いていることに気づいた。

不安は連鎖する。思えば、周りの友人と比べて何か突出したものを持っているわけではない。自分の力で何かを成し遂げた経験もない。私には、いろいろなものが足りていない……。

こなつは、自分への自信を失いかけていた。「大学3年が終わる頃ですね。急にいろんな不安に襲われてしまって、押しつぶされそうでした」と、当時の心境を振り返る。

そんな状態の中で迎えた4月のある日、あるサイトで見つけたページがこなつの目に留まった。そこには「北海道・十勝の大自然で仲間と過ごす、1カ月間の体験プログラム」と書かれていた。

プログラムの一つ、ネイチャーガイドによる糠平の自然散策

それを見た瞬間、こなつの心はワクワクした。大学1年と2年の夏休みに、北海道の別海町でファームステイをしたことを思い出した。酪農体験や広大な自然、清々しい空気……それは非日常の空間だった。

「また、北海道に行きたい!」

そのときまだ就職活動中だったが、迷わず参加を申し込んだ。

「MY MICHI プロジェクト」に。

上士幌町でやりたいことは「0円食堂」

参加を申し込んで間もなく、まちづくり会社でこのプログラムを担当する西村剛とオンラインミーティングを行った。そこでプログラムの詳細を説明してもらうとともに、「上士幌町に来たらやってみたいことはある?」と聞かれたこなつは、迷わず「0円食堂をやりたいです!」と答えた。

「テレビで観たこの企画にすごく共感していたんです。農家さんが丹精を込めて作った作物でも、廃棄されてしまうものがある。仕方がないけれど、すごく悲しかった。この企画はそんな廃棄作物を活かそうとしていて、素晴らしいなと思いました。それで、いつか私もどこかの地域で0円食堂をやってみたいと思っていました」

「MY MICHI プロジェクト」は、上士幌町での自然体験や地域で先進的な活動をしている人たちと触れ合うプログラムのほか、参加者がそれぞれに自分自身のテーマを決めて、滞在期間中にそれを実施することになっている。こなつのテーマは「0円食堂」に決まった。

好奇心旺盛なこなつ。プログラム中、気になったものはどんどん記録していく

「生産者さんは、自分が育てた作物を消費者が口にするところは知らないと思うんです。だから私は生産者さんに、『美味しい』という生の声を届けたいと思っていました。それが廃棄食材であれば、なおさらに嬉しくて『ありがとう』って思ってくれるんじゃないかって。それを食料自給率の高い上士幌町でやれば、より意味のあるものになると思いました」と、こなつは話す。

7月、そんなイメージを持ってこなつは上士幌町を訪れた。だがプログラムが始まると、現実は甘くないことを知ることになる。

「廃棄野菜がない」理想と現実の狭間で

「8月は収穫の初期だから廃棄作物はほとんど出ませんよ」

プログラムが始まってすぐに、まずはJAに相談に行った。そこでこなつにとっては青天の霹靂とも言える言葉を担当者から告げられたのだ。

ジャガイモや豆類、ビート(甜菜)、トウモロコシなどの生産農家が多い上士幌町だが、一部の農家はトマトや玉ネギなどの野菜も生産している。だが規格外品が出たときは、肥料などに利活用されているケースが多いことを知った。

上士幌来町初日。表情には緊張感が

「でも、作物はたくさん採れますから。余り物なら出ますよ」

そう言われたが、こなつは納得できなかった。「私が求めているのは廃棄される作物。余り物とは違う……」。こなつの葛藤が始まった。

0円食堂の実施日は8月7日。1日1日と時間が過ぎていく。心躍る気持ちで上士幌に来たこなつだが、プログラムがスタートして1週間が過ぎたころには、その顔から笑顔が消えていた。

「最初は余り物を受け入れることができなくて。変なプライドがあって、そこは絶対に妥協したくないと思っていました。今思えば頑固でしたね(笑)」

それを変えてくれたのは、同じ4期に参加した仲間たちであり、上士幌で出会った町の人たちだった。

4期の仲間たち。左から、なわっちゃん(縄田柊二)、ひな(石井日奈子)、こなつ、あかりん(伊藤あかり)、りーたん(田中理紗子)

こなつは上士幌町での滞在中に町の人たちと積極的に関わりたいと「かあちゃんばあちゃんの野菜市」を訪ねていた。この野菜市は、毎週土曜日に農家のお母さんたちが採れたて野菜を販売しているコミュニティ市場だ。顔を重ねる中で、MY MICHI プロジェクトに参加した経緯や0円食堂をやりたい理由を伝えると、お母さんたちは「力を貸すよ。売れ残った野菜でよければ使って」と言ってくれていた。

「その言葉はすごく嬉しかったんです。私のように外から来た人間にも、皆さん優しく接してくれましたし。でも廃棄野菜へのこだわりと、提供してもらうことへの申し訳なさがあって、最初はお断りしようかとも考えていました」と、こなつは言う。

その間も食材の提供先を探し続け、JAで紹介された須田農場から廃棄野菜が出るとわかり、提供してもらえることになった。でも、それだけでは食材が足りない。本番まで残り1週間となった土曜日、こなつは再びかあちゃんばあちゃんの野菜市を訪れた。

かあちゃんばあちゃん野菜市の皆さんと

「すごく迷っていたんですけど、お母さんたちに食材が足りないことを素直に伝えました。そしたら『私たちの野菜、使って』って。『気持ちもわかるけど、0円食堂をやることに意義があるから』って。何より『こなつちゃんを応援したいから!』って……」

その気持ちに心を打たれたこなつは、野菜を提供してもらうことを受け入れる。そしてもう一人、スパイス専門店「クラフトキッチン」のオーナーである齋藤肇さんからも、料理のアクセントとなるスパイスを提供してもらえることになった。

結果、集めることができた食材は18種類となった。

自分でできないことは、誰かに頼っていい

食材集めと並行して進めていたのが0円食堂で提供するメニュー決めだ。これには、同じ4期生の仲間が協力してくれた。だが、ここでも最初は素直に助けてもらうことができなかった。

「みんな自分たちの企画で忙しいから、手伝ってもらうのは申し訳ない気持ちでいっぱいでした。自分で何もかもやらなきゃいけないと思っていた。でも、開催日もだんだん迫ってきていて、気持ちは焦っていくばかりでした」

「0円食堂」に向けてメンバーと打ち合わせ

そんな様子を見ていた、同じ4期生の一人であるりーたんから、あるときこなつはこう伝えられる。

「こなつ、何でそんなに何もかも自分でやろうとするの? 私たちもやりたくなかったら、やってないよ」

「えっ? って思いました。そうなんだって。私、みんなのことちゃんと見ていなかったって。それでみんなにも自分の気持ちを全部素直に伝えたんです」

そのこなつの気持ちを聞いたあかりんは、「申し訳ないと思わなくていいよ。頼ってもらえることが嬉しいから」と言った。

ひなは「私もこなつを手伝えて嬉しい。私がありがとうと言いたいよ」と話した。

こなつ自身も、自分の企画を進めながら、仲間の企画を手伝っていた。そのとき仲間は手伝ってくれている他のメンバーに対してずっと「ありがとう」と伝えていた。その言葉を聞いたこなつは嬉しく思っていた。思えば、こなつはいつも「手伝ってもらってごめんね」という気持ちだった。

試行錯誤を繰り返しながらメニューを決めていく

そうだ、みんなはいつも「ありがとう」と言ってくれた。誰も「ごめんね」とは言わなかった。「ありがとう」は、伝えられると嬉しい言葉だ。

「そのとき気づいたんです。自分でできないことは誰かに頼っていいってことに。それは相手の力を活かすことにもなるんだって」

仲間を頼り、力を借りて実現した0円食堂。こなつはこのイベントを「ヒンナヒンナ食堂」と名付けることにした。「ヒンナヒンナ」はアイヌ語で食に対する感謝を伝える言葉だ。

8月7日、ヒンナヒンナ食堂当日。参加した町の人たちからは、笑顔があふれていた。

参加してくれた町民の皆さんと

当日提供したメニューは8品

夢は一人では叶えられない

こなつは、この「MY MICHI プロジェクト」を振り返ってこう思う。

「この4期で参加できて本当によかった。私の夢がこの上士幌で叶いました。でもそれは一人では絶対にできなかったことです。夢は一人では叶えられない。たくさんの方たちに協力してもらって、初めて実現することができる。私の夢の実現を手伝ってくれた、まちづくり会社の皆さん、上士幌町の皆さん、そして同じ4期の仲間たちには、心から感謝しています。上士幌で過ごした1カ月は、忘れられないし、絶対に忘れたくない思い出になりました」

こなつは、0円食堂を成功させたことで、自信と強さを得た。「私だってやればできるんだ。一人じゃない。絶対に、協力してくれる人がいる」。今、心からそう思う。

最終日には、プログラムを振り返ってプレゼンを行った

生きるなら、日常をただ過ごすのではなく、自分で切り開いて、時には自分で非日常を作り出す。チャレンジしたいことがあれば、勇気を持って一歩を踏み出し、挑戦する。社会人になっても、その気持ちは決して忘れない。必要なのは「やりたい!」という情熱だ。

「生まれ変わっても、また私として生きたい。そんな人生を送りたい。そしてこれからも、自分のやりたいことを大切にして、その先にいる人たちを笑顔にしたい」

それが、私の人生。それが私の「マイミチ」。

こなつは、これからも野中小夏として生きていく。


TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。

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