十人十色の餅の食べ方!?餅つきをしてみました!
2021年になりましたね。今年の干支は丑年です。昨年から上士幌町に滞在している私たちJICA訓練生も、今年はこの町で新年を迎えることに。牛さんがたくさんいる上士幌町で迎える新年は良い1年になる予感がします。そしてお正月にはお餅をついて食べたのですが、今回はさまざまな地域の人が集まったということもあり「そんな食べ方あるの?」という驚きが沢山ありました。
WRITER
瀬谷 友啓
JICA訓練生。栃木県出身。自然溢れる北の大地で景色を楽しみ、人と話し、美味しいものを食べる。さまざまな機会に触れて、町の魅力を感じて自分の言葉で伝えることができたらいいなと思っています。
お正月にお餅を食べる意味
皆さん、お正月といえば何を想像しますか?
町の方にお聞きすると、「お雑煮を食べて、家族で初詣に行っておみくじを引いて、親戚のお家にご挨拶に行ったらお年玉がもらえたりね。毎年、そんな感じかな」とおっしゃっていました。
僕のイメージは「こたつに入り、家族で一緒にお雑煮を食べる。初詣に行き、出店でお汁粉を食べる。家に飾っていた、鏡餅を食べる」。北海道の家庭はこたつがない家庭が多いそうで、こたつに憧れている方も多いのだとか。
とはいえ、どれもお正月らしいですし、お餅を食べるというのは共通点でした。
お正月に餅を食べるのは、平安時代に宮中で健康と長寿を祈願して行われた正月行事「歯固めの儀」に由来するらしいです。もともと餅は、ハレの日に神さまに捧げる神聖な食べ物でした。また、餅は長く延びて切れないことから、長寿を願う意味も含まれています。
そんなとき、上士幌生活でとてもお世話になっている高橋農場さんから餅つきにお誘いいただいたので、お伺いすることに。僕自身、子供の頃に町内会の行事以来だったので、10年ぶりの餅つきです。年始早々ご利益がありそう!
餅つきスタート
今回は事前に準備してくださっていて、到着したときには餅米を蒸している最中でした。ありがとうございます!
蒸し時間は35〜40分程度だそうで、既にもくもくと白い煙が上がっており、餅米のいい香りがします。もうこの時点で美味しい匂いが充満し、食べたときを想像して、幸せな気分になりました。
薪を絶やさずに、温度を一定に保つことが餅米を美味しく蒸すポイントとのこと。薪ストーブの上に何やら銀色の棒が見えます。
「こまい!!」
薪ストーブの上に網を置き、こまいが焼かれていました。
こまいは僕が北海道に来て、感動した食べ物の一つです。大好きな「こまい」が遠赤外線効果でさらに美味しく焼かれていたのです。早く食べたい。こまいはタラの仲間で、一般的には「氷下魚」という漢字が用いられます。氷が張った海の下にいるこまいを氷下待網漁で獲ることからその名が付いたと言われています。
高橋さんも「薪ストーブで焼いて食べてみたかった」と、僕と同じこまい好きとして、美味しいこまいの焼き方を探究するべく、薪ストーブの上に置いてみたのだそうです。
こまいを堪能していると、餅米を蒸し始めて30分が経過していました。美味しいものを食べていると時間が過ぎるのが早い。
40分が経ち、蒸し終わり、中身を確認します。
「ファ~、もくもく」餅米の甘い、いい香りが広がります。
食べてみると、餅米に芯がなくなり、良い感じの蒸し具合に仕上がっていました。そして熱いうちに臼に移します。これで餅をつく準備は完了です。
いざ、餅つきスタート!
臼に入れた餅米ははじめはつかずに、体重をかけて杵でぐいぐいと潰していきます。臼のまわりを回りながら均一に潰します。
徐々に餅に近づいていき、粘り気がでてきました。なかなか大変な作業です。
均一に餅米を潰すために、手水をつけて縁に出てきた餅米を内側に入れます。
餅米全体を丁寧に潰すことができたら、ここからはつく作業がはじまります。杵を使って餅をつくには「力を入れすぎず、振り上げた杵の重さを利用して、落とすようにつくのがポイント」だそうです。
えい!
よいしょ、よいしょ!
かけ声にあわせてリズムよく餅をついていきます。
よいしょ。
それぞれ休憩を挟み、交代しながら素早く進めていきます。
「良い感じでしょ?」と思わずドヤ顔をしたくなります。
餅米の粒感がなくなり、全体がなめらかになれば完成です!美味しそう!
いただきます!
つきたてのお餅をいざ、実食!食べやすい大きさに分けます。
はじめは髙橋さんが用意してくれていたお汁粉からいただきます。
「美味しい!!」
餅つきで疲れた体に甘くて美味しお汁粉が染みました。
王道の一つ、きなこです。個人的にはきなこが一番好きです。
大福も作りました。こちらのあんこは、前日に僕たちが上士幌町産の小豆で作りました。
「餅を伸ばして、あんこを入れて」完成しました!
あんこの甘さだけでなく、自分たちで作った大福はよりいっそう味に深みを感じました。
お餅には地域それぞれの食べ方がある
僕たちJICA訓練生はいろいろな地域から上士幌に来ていることもあり、餅つき当日を迎える前にどんな餅の食べ方をしているのかをお互いに披露していると、全然知らない食べ方が出てくる出てくる。ということで、当日にそれぞれの食材を持ち寄って、地域ならではのお餅の食べ方をしてみることに。
納豆
市販の納豆にタレを入れて混ぜて、のせるだけ。
納豆と聞けば、どこの地域の食べ方かおわかりの方も多いでしょう。そうです、茨城県の食べ方です。でも、東北や北海道でも主流みたいです。納豆の旨みと餅の甘さが相まって美味しいです。ご飯に納豆をかけて食べるより甘さが引き立ってクセになりそう!
北海道の人は納豆で食べることに違和感がない人も多かったのですが、関西人には少し違和感のある人もいるようでした。
とろろ昆布
とろろ昆布を乗せ、醤油をかけて食べます。
僕は大学時代に、昆布の消費量全国上位に入る富山県に住んでいて、そこでは、とろろ昆布をおにぎりや味噌汁などいろいろなものに入れて食べていました。餅にのせて食べても、もちろん美味しいのです。
生ハム
「餅に生ハム?」と思われる方もいると思いますが、これがおすすめです!
食べ方は、餅に生ハムを巻き、オリーブオイル、黒こしょうをかける。日本伝統のお餅に、もこみちばりにオリーブオイルをかけるなんて、文化への冒涜かと思いましたが、日本文化の良いところはなんでも取り入れてしまうところ、美味しければそれはお餅文化として成立しています。
こんな風に餅に巻いて
見た目もいい感じ。串屋さんで「モチベーコン」って食べたことないですか?それと同じ感じです!美味しい!
大根おろし
大根をすり下ろし、醤油を適量。さっぱりとして美味しいです。お口直しに挟むのに最高だなと感じた食べ方でした。
鮭
ここまで来たら、もうお餅と白米との違いがわからない。白米に乗せて食べるものは、お餅と一緒に食べても全て美味しいのかもしれません。鮭の食べ方は、塩鮭を使い、焼いて、餅にのせて食べる。やっぱり白米と同じです。
茨城県筑西市周辺の一部の家庭で食べられているそうで、餅と鮭のバランスが良く、鮭のほどよい塩加減が餅の旨さを引き立て、止まりません。
本来は鮭の身をほぐして食べるそうですが、待ちきれず、そのままのせて食べてしまいました。
なにはともあれ、とにかくお餅は美味しい!今回は二臼つき、さまざまなバリエーションで食べることができました。今年は年始早々、お腹いっぱいお餅を食べることができて幸せでした。今年は良い1年になる気がします。皆さんもいろいろな食べ方を試してみてください!