上士幌町で落ちている枯れ葉を使って草木染にチャレンジ!
皆さんは、草木染(くさきぞめ)をしたことがありますか?草木染の歴史を調べてみると、縄文時代にはすでに草木染をしていた形跡があったなど、とても伝統的な染物らしいです。そこで今回は、町民の方に教えていただきながら、上士幌町のものを使って初めての草木染にチャレンジしてみました。
WRITER
田中 亮 (たなか りょう)
JICA訓練生。1982年生まれ。茨城県出身。自然が好きで、土や水の分析をしてきました。自然豊かな上士幌町に「個性」を感じています。もっともっとこの町の「個性」を発掘していきたいです。
上士幌町での草木染との出会い
JICA訓練生として、5カ月間上士幌町に滞在している中で多くの上士幌町民の方に出会ってきました。その出会った方の中でなんと、草木染をしている方がおり、興味を持ちました。「草木染を教えてほしい!」思い立ったら即行動です。早速、お願いをして日取りを決めて当日を迎えました。
草木染体験
体験場所に到着すると、目の前にはものの見事な草木染が飾ってあります。
草木染とは、野生の草花や枯れ落ちた葉などを集めて布を染める染め物のことをいうのですが、こちらは上士幌町役場の花壇で咲いていたマリーゴールドで染めたのだそうです。見ごろを終えた花をいただき、1枚の布からカーテンを作ったそう。おしゃれな雑貨屋さんで売っていそうな模様だったので、自分にもこんな作品が作れるのだろうかと、期待に胸をふくらませながら体験がスタートしました。
準備編
準備するもの
布、輪ゴム、ミョウバン、錆びた鉄くぎ、落ち葉、玉ねぎの皮、黒光大豆
布はコットンリネンという生地を使います。耐久性と吸水性に優れ、風通しがよく、肌触りもよい特徴が草木染に向いているそうです。大きい布を用意し、ほどよい大きさにカットします。そして、染める際の隠し味的な要素として、ミョウバンや錆びた鉄釘を入れます。発色をよくしたり、色素を繊維に定着させて色落ちを防ぐ効果があるそう。これを「媒染(ばいせん)」と呼ぶそうです。錆びた釘にもそんな役割があるんですね。
そして、ただ染めるだけではなく、せっかくなので「模様付け」にもチャレンジすることに。輪ゴムを使って模様をつけることができるそうです。輪ゴムを使うときのコツは、「きつく縛ること」。なぜなら緩いと色が染み出て、きれいなコントラストにならないからです。模様付けには割りばしや、タコ糸、ビー玉を使います。どんな模様がでるかはできてからのお楽しみです!
輪ゴムを布に縛っていきます。
全体だとこんな感じになります。
落ち葉編
ここからは染める植物ごとに紹介を進めていきます。まずは落ち葉!落ち葉でもできるという情報を得られたので、上士幌町内の落ち葉を集めてチャレンジしました。
落ち葉であれば、役目を終えた葉ばかりなので、拾って活用することにとても意義深いものを感じます。
さっそく、落ち葉から色素を取り出す準備にとりかかります。ホームセンターなどに売られている玉ねぎ用のネットに落ち葉を詰め込みます。
鍋に水を加え、中火でぐつぐつ煮出していきます。
30分後、落ち葉を取り除き、布を投入し、15分ほど染み込ませます。
その後に錆びた鉄釘を投入してさらに15分漬け込むと・・・
なんと、水玉模様が浮かび上がってきました!!この淡い感じがなんとも言えないですよね。
玉ねぎの皮編
続いて、玉ねぎの皮を使います。こちらも普通は捨てるものですよね。そんな捨てるものが活用できるなんて一石二鳥です。
ちなみに上士幌町で買った玉ねぎを使用していますよ!
玉ねぎの皮に水を加えて煮出していきます。
色が染み出たら、玉ねぎの皮を取り除いて布を入れ、30分ほど煮ます。媒染には、釘とミョウバンをそれぞれ使ってみました。
キレイに仕上げをすると・・・
斜めのラインが入った模様の完成です。玉ねぎは落ち葉に比べて色が濃いですね。ちなみに、どちらも玉ねぎの皮を煮だした液に付けた布です。上側が錆びた鉄釘、下側がミョウバンを使って媒染しました。媒染に使うものを変えただけでこんなにも色が変わるんです!
光黒大豆編
最後は光黒(ひかりくろ)大豆を使用しました。使用するのは、上士幌町で栽培されている黒豆で名前の通り、表面に光沢があるのが特徴です。煮豆や豆腐、お菓子作りに活用されています。いい黒に染め上がりそうですね。
方法は落ち葉、玉ねぎの皮と同じです。
これにはびっくり!煮出した液は黒色でしたが、布に染めると紫色に変わりました。色の変わり具合を見るのも草木染の醍醐味です。
綺麗な紫色。うれしくて、思わず片足も上がってしまいました。
染めた布は軽く水洗いをして干します。
こちらが今回チャレンジした草木染の作品です。時間もそんなにかからず、色の変わり具合をみたり模様をつけたりと、とても楽しかったです。使う材料と媒染の組み合わせでさまざまな色が出せますので、皆さんも身の回りのものを使ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。