35年間、上士幌町で愛され続ける喫茶店『フォーシーズン』~夫婦で支え合う~

私、西村が上士幌に滞在していた3ヶ月の間、通い詰めていたお気に入りのお店「フォーシーズン」。35年間、愛され続ける理由に迫るべく、お店に立ち続けるご夫婦にお話を伺って来ました。普段、お店ではなかなか聞けない仲良しご夫婦の心の内、お店をやっていての想いなど、心温まるお話がたくさん聞けました。

WRITER
西村 奈々子
大阪出身。父が上士幌に移住。大学卒業まで、父が愛した上士幌に来ている大学生。私もこの町を愛したい。好きな場所は、フォーシーズンのカウンター席。
フォーシーズンの歴史・由来
フォーシーズンは上士幌育ちの髙橋恵子さんが35年前に始めたお店。お店に一緒に立ちウェイターをするのは、関西出身の旦那さまの一夫さん。早速いつもようにカウンターに座ると、一夫さんとのたわいもない会話が始まりました。

今日は、改まってなんですけど、お店のこととご夫婦の話をたくさん聞かせてもらいたくてきました。

話せることならなんなりと聞いてちょうだい。

フォーシーズンは恵子さんが35年前、25歳の時にこのお店を引き継いで始められたと伺いました。私の歳と変わらない時に、店を持つという決断をされたと思うと、すごいです。

本当、凄すぎるよなあ。

ここのフォーシーズンを始められたきっかけは何だったんですか?

昔、他の喫茶店で働いていたんだけど、この建物を売りたいという人がいて、それがきっかけで自分でやろうと思って、始めたんだよね。

それは上士幌にある他の喫茶店ですか?

そう、今はなくなっちゃったけどね。その喫茶店で4年くらい働いていたの。

自分の店を始めてみようって、思い切ったんですね。

貯金も何もなかったんだけど、失敗したらその借金払えばいい!って思ってやり始めたんだよね。

すごい勇気がありますね。かっこいい。

いや、今考えるとできないよね。若さだよね。

本当にすごいです。その時にこのお店を買って、ずっと続いているんですもんね。

そうだね。丸35年になるね。

フォーシーズンの名前の由来ってあるんですか?

フォーシーズンって四季って意味でしょう。1年中、流行るようにってつけてもらったの。

名前の通りですね!ところで気になることがあって、どうしてこんなにもたくさんのメニューが並んでいるんですか?

昔の喫茶店は本当になんでも出したんだよ。田舎の喫茶店はなんでもあるのが普通だから。

なんでもあって、美味しくて、お腹いっぱいになる!通わない理由がないんですよね。定食や大盛りを出してるのは昔からですか?

そうね。学生とか若い子が多かったから量を増やしたんやね。

今日、日替わりのチキンカツ定食いただいたんですけど、ご飯一合ありますよね(笑)

あるある。

毎日どれくらいお米炊いてるんですか?

大体二升(約3キロ)炊いてる。

二升!?10合で一升ですもんね。

そう。それでも足りなかったらまた追加で炊く感じやね。

ここに来られる人は、皆さん、大盛りを食べるんですか?

割とそう。一番すごかったのは、おかわりできますよって言うた途端に、ライス5杯食べられたことがある。それからは定食に限って「おかわり1杯までできます」に変えたんだよ(笑)

大盛りのサービスもやってますよね。

単品は大盛りは100円増でやってるよ。

でも、大盛りにしなくても多いですよね。

よその店に比べたら多いよ、全部(笑)

間違いないです。やっぱり定食が人気ですか?

全部人気だよ!

ですよね!!オムライスもすごい大きいし。

ちなみにお母さんが腱鞘炎になってしまったから、あの特別サイズの大きいオムライスは俺が作るんや。段取りだけは恵子さんにしてもらって、鍋を振るとこからは俺がやってる。

力を合わせて作る、素敵ですね。

片手でフライパン振ってるんだよ。4合の米入ってるから長いこと持ってたら手が震えてくるけど(笑)

何回見ても大きすぎますよね、、、

オムライス目当てに札幌や旭川からわざわざ食べにきてくれたりするもんね。

えー!それってどうやって見つけてるんでしょうね?

ネットかなんかで載ってるじゃないかな!フォーシーズンで多分出てくるんやろうと思うよ。

調べてみますね!わあ!お父さん紹介されてますよ!お父さんの写真とオムライス!

え?(笑)

記事になってますね!すごい!私もまた記事書いてお父さんもフォーシーズンも有名にしちゃいます(笑)

あはは(笑)頼むわ〜!こうやってお客さんがネットに載せてくれるから、みんな来てくれるんやわ。
いつ来ても、たくさんあるメニューの中から食べたいものを見つけられて、お腹いっぱいに食べられるのがフォーシーズンの魅力です!
一夫さんと恵子さんの出逢い

馴れ初めとか聞いてもいいですか?

俺がここで働き出したのは10年ほど前やね。

それまでは恵子さんが1人で切り盛りされてたんですか?

いや、それまではもう1人働いてもらっていたんだよ。それで俺が入って、追い出したような形やね(笑)

それはそれは(笑)2人は上士幌に来て、知り合ったんですか?

元々関西からこっちにきて、上士幌の企業で勤めてたんだわ。勤めていた時に、ここにお茶を飲みに来てて。それでなんとなーく、気になって…。

えー!それでどうなったんですか?

んで、ちょこっと付き合い出してな。

え、急展開!

店おって、何時やろなあ、12時近くまで1人でおったんや。

一緒にいたいからだ。

そうそう。それからまた会って、付き合い出したんやな。

それはこっちに来てすぐ?

いやいや、こっちに来たのが平成7年だから。25年前。

上士幌に来て、15年がたってから恵子さんに出会って、それから10年一緒にいるってことですね。

そうそう。

えー!素敵ですね。幾つになっても出逢えるっていいですね。

ほんと、いいよ。

だって、若いだけが楽しい時じゃないですもんね。

それは年齢関係なく。その年その年でいろんな楽しみ方があるから。

今は一緒に何してる時が楽しいですか?

店でこうして一緒に働いてる時やな。

そしたら毎日じゃないですか!

毎日やね。

えーほんと、いいですねえ。

毎日楽しいよ。

じゃあやれる限りは店続けられるんですか?

うん、やれる限りはね。

いいコンビですね本当に。料理もどれ頼んでも安定感ある美味しさですもんね。ハズレがない。

ありがとう。それたまにお客さんに言っていただいて嬉しいです。
お二人が喜びを感じる瞬間

お父さんにとってこのお仕事してて、何が一番の喜びですか?

やっぱりいろんな人と出会って、いろんな話聞けるのが楽しい。それが一番やね。

毎日ですもんね。飽きないんですか?

飽きない!!また、ここの店で出会いがあったり。何組かカップルができたりもしたんよ。

えー!素敵!恵子さんは、どうでしょう?喫茶店やっていく中での喜びとか、ずっと続けていく理由をお聞きしたいです。

やっぱり、昔来てくれたお客さんとかが来てくれたりするのが喜び。今年の夏も、こっちの牛屋さんで昔働いていた子がぽっと来てくれて、すごい嬉しかったんだよね。昔、すごい気球で賑わって忙しかった時期のお客さんも今でも来てくれる人もいたりして。「昔来てたんですよ。」とかって言って。

上士幌にはいろんなお店があるけど、ここにきたらガッツリなんでもお腹いっぱい食べられるから、最高ですよね。

お金がない時のフォーシーズンって言われとったんよ。牛屋さんで働いてる子たちがね、「やっぱりフォーシーズンだよな!お金のない時のフォーシーズン」って。

あはは(笑)牛屋さんの方たちもたくさんこられてたんですね。だって、安くでこれだけ食べれたら本当ありがたいですよね。

そうやな。

牛屋さんとか朝早くから力仕事したら、もうすっごい美味しく食べてくれそう。

そうそう、今でも牛屋さん来てくれるよ。いろんな人が来てくれるから嬉しいな。

本当に愛されてるお店なのが、通っていて伝わって来ます。

ありがたいことです。さあ、終わったから飲むか〜!

いやいやいや、今日飲んだらまた私へべれけになっちゃいます(笑)

また、いつでも食べにでも飲みにでもおいでや!

はい!本当いつもありがとうございます。

はーい!いつでも待ってるからな〜
楽しいのは「こうして一緒に働いていること」。生活と仕事が一緒になっていて、好きな人と毎日一緒にいることができる。なんて素敵なことなんだろうなとお2人の生活に憧れを抱いてしまいました。2人の関係性がこのフォーシーズンの雰囲気と味を作り出していることがお話を聞いていて改めて実感し、読んでいただいた皆さんにも私が通っていた理由をお分かりいただけたのではないかなと思います。私は上士幌町から少し離れてしまいますが、上士幌町にきたら、また必ずフォーシーズンにいく。それだけは決めています。
一夫さん、恵子さん、ありがとうございました。また行きます!