子どもたちの生きていく力を育む「ナッツクルクル団」(前編)ナッツクルクル団の1日〜のびのびと自由に~
上士幌小学校の向かい側、はげあん診療所のお隣りに佇む小さなお家が本日の目的地、クラフトキッチンです。玄関先には、紅葉した柏の葉が舞い散っています。子どもたちとお母さん方がもう集まってきていて、子どもたちは楽しそうに落ち葉の中を駆け回っています。
WRITER
西村 奈々子
大阪出身。父が上士幌に移住。大学卒業まで、父が愛した上士幌に来ている大学生。私もこの町を愛したい。好きな場所は、クラフトキッチンの2階のバルコニー。
今回は、クラフトキッチンにて齊藤肇さんが主催する「ナッツクルクル団 アートスタジオ」に訪問。肇さんは、ナッツクルクル団は子どもたちの生きる力を育むための活動だとおっしゃいます。持って生まれた力を、のびのびと自由に発揮する子どもたちに密着してきました。
この日のテーマは、「森の、たからもの」。
まずは絵本の読み聞かせ
肇:おはようございます!みんな、絵本読むからおいで〜!
(ざわざわざわ)
肇さんが子どもたちの方へ寄っていって、子どもたちは絵本が見えやすい場所に座っています。
肇さんはずっと場づくりを意識して進めていきます。どの子がどんな感情か、みんなの意識がどこへ向いているか、いろんなことを観察して場を整えていきます。
始まったらきちんと座って、読み聞かせを聞く子どもたち。
背中から集中して聞いているのが伝わってきます。
子どもたちに「今はどの木だろう〜?」などとたくさん話しかけながら、みんなの興味をぐんぐん引きつける肇さんの読み聞かせ。
肇さんが選んだ絵本は『木がずらり』『木の本』の2冊。
今回のワークショップのテーマ「森の、たからもの」に合わせた絵本です。
コロナのため、本当に久しぶりに開催されたナッツクルクル団。
すこーしずつ、子どもたちの緊張も溶けていきます。
子どもたち:私はこの葉っぱが好き!あ!これ見たことある!
元気にお話する子どもたちがギュギュッと集まってきました。
子どもたちと一緒にやっていく
続いて、肇さんがまず今日することを子どもたちと一緒にやっていきます。説明するのではなく、子どもたちを巻き込んで、材料を見せて、技術を見せて。「できるかな?」の不安や緊張はなくなっていきます。
それが終わると子どもたちから次々に「やってみたい!」の声が。
よし!みんなで、「やってみよう!」
森の、たからものを探しに行こう!
いよいよ外に出て、森の、たからもの探し!この日は、風が冷たかったけれどキラキラとお日さまが輝いていました。
クラフトキッチンの隣、はげあん診療所の安藤先生にお庭を使っていいよと言っていただいてみんなで探検。安藤先生のお庭は広くていろんな木や植物を見ることができます。
みんなはどんな素敵なたからものを見つけたでしょう!
子どもたち:見てみて、なんか赤いのあったよ。おっきい葉っぱ見つけた〜!袋いっぱいになっちゃった!
不思議なかたちの葉っぱ。丸っこい木の実。赤く膨らんだホオズキ。体よりおっきい葉っぱのついた枝。袋いっぱいに、袋から溢れ出しちゃうくらいに子どもたちはたからものを見つけてきました。
私もあまりに綺麗に紅葉している草木を見て、子どもたちと一緒にたくさんのたからものを見つけてきました(笑)。
自由に作ってみよう!
次は、みんなが一人ひとり集めてきた「森の、たからもの」を使って作品づくりです。
肇:どの材料を組み合わせてもいいよ〜!自分のカゴに好きな材料を取ってきてください!
全ては自由。
子どもたちはみんな思うままに材料をカゴに入れていきます。
どうしよっかなあ〜
ウキウキ!
なににしよう〜
ワクワク!
黙々と、真剣に材料を選ぶ子どもたちから、そんな感情が伝わってきました。
多種多様な材料がずらっと並んでいます↑
女の子:ちょっとこれ塗りたいから、押さえてて!
ななこ:はーい!わかった!
ぬりぬり
女の子:あ、手についちゃった〜(笑)。
ななこ:いいよいいよ(笑)。いいね〜!綺麗に塗れたね!
女の子:えへん!(ニコニコ)
こうして子どもたちが思いのままに作品を作っていく中で、大人の助けを必要とするときがあります。大人たちはそのときにはじめて子どものお助けマンになります!
集めてきたたからものが、素敵な作品になっていきます。
子どもたちはすごい集中力で作り進めていきます。
肇:この葉っぱここにつけたの?かわいい!この考え、私は思いつかなかったな〜。素敵すぎるよ〜!
肇さんは子どもたちの作品を見て回って、素敵なポイントを見つけては子どもたちに伝えます。子どもたちはそれを聞き、嬉しそうに作り続けます。
小さな画伯、自分の体より大きな柏の枝木を拾い集めてきました。「見て〜これにする!」と嬉しそうに見つけて、頑張って持ってきたたからもの。一生懸命になって色塗りしていきます。
こうして、自分より大きな作品を作り始められるのも、思うままに自由にやっているから。一人ひとりの自由な発想が、その子自身も周りの子も「あ、あんなこともしていいんだ!好きにやってみよう!」って、だんだん心が自由になっていくと肇さんはおっしゃいます。
肇:見てみて!光に当ててみるとすっごい綺麗だよ〜。
静かに黙々と作っていた子どもも、こうして肇さんと自分の作った作品を見ているときは、なんだか嬉しそうに見えました。
肇:おうち帰ったら、かわいく飾ってもらおうね!
子どもたち:見て〜できた!
そういうと、次々と作品を見せてくれる子どもたち。
どの作品も、みんな違って、みんな素敵。
(後編)では、齊藤肇さんにナッツクルクル団への思いをインタビューしています。ぜひそちらもご覧ください!