書店がない地域にも本を届けたい~「鈴木書店」鈴木 司さん~
「書店がない地域にも本を届けたい」。そんな思いから十勝管内で移動書店の活動を行っている鈴木司さん。「将来は地元の上士幌町に書店を開業したい」という志を持ちながら、活動を続けています。(制作:ホロロジー編集部)
鈴木書店
鈴木 司さん
|すずき・つかさ|1967年上士幌町生まれ。上士幌高等学校卒業後、10年間上士幌町役場に勤務した後、現在は帯広市内のクリニックに勤務。2017年より十勝管内で移動書店事業を開始、イベント出店などを行っている。2020年度より上士幌町「ハレタかみしほろ」にて出店を開始。将来は上士幌町内に書店を開業することを志している。
本に触れる機会を提供したい
「書店がない地域にも本を届けたい。本に触れる機会や購入できる場を提供したい」
帯広市内の精神科クリニックに勤務する鈴木司さんは、そんな思いから移動書店に挑戦し、活動を行っています。活動をはじめたのは2017年から。本業が休みの週末などを使い十勝管内のさまざまなイベントに出店し、自ら厳選した本を販売しています。
現在は帯広市内に住んでいますが、鈴木さんは上士幌町の出身です。かつては上士幌町にも書店があり、学生時代によく通っていたと鈴木さんは言います。
「学校帰りによく立ち寄っては雑誌や文庫本を購入していました。僕自身、それがきっかけで本が好きになった。書店がなくなると本に触れる機会が減ってしまう。すごくもったいないことだと思うんです」
リアルな場だからこそ出会いが生まれる
そんな自身の原体験もありチャレンジしている移動書店。これまで上士幌町内でもフリーマーケット「楽楽市」やハレタかみしほろ、クラフトキッチンなどでイベント出店を行い、出店回数は約30回を数えます。
「今はインターネット通販で書籍も簡単に購入することができます。購入履歴からはお勧めの本が紹介されてすごく便利ですが、一方で偶発的な出会いが少なくなっていると思います。リアルな書店に並ぶ書籍の中から表紙や背表紙を見て、直接手に取ることで、思いがけない一冊に出会うこともある。それが書籍の良さだと思うんです」
そう話す鈴木さんは、同時に「コミュニケーションの大切さ」も指摘します。
「リアルな場だからこその出会いや発見ってありますよね。お客様との会話から、嗜好がつかめたり人柄が見えてきたりすることもあります。じゃあこんな本に興味があるかなといってお勧めしたり、そんなやりとりが楽しいんです。自分がお勧めした本を購入いただいたときの喜びはひとしおですよ」
また鈴木さんは、移動書店の活動と並行して映画の自主上映活動も行っています。
「書籍が映像化されることはよくありますし、映画を観て原作に興味を持つこともありますよね。いろんなきっかけから本に興味をもってほしいんです。もっとも、僕がどちらも好きということが大きいのですが(笑)」
将来は上士幌町での開業を
そんな鈴木さんは「地元の上士幌町で書店を開業したい」という志を持っています。その実現に向けて事業開業について学ぶために「かみしほろ起業塾」にも参加しました。まずは移動書店を継続させながら、中長期的に開業に向けてのプランを描いています。
「いつか書店を開いたときには、本はもちろん映画も気軽に楽しめる空間にしたいですね。インターネットでは味わえない、お客様との交流の場をつくりたいと思っています」
鈴木さんの活動理念は「本との出会いで豊かな未来を」。
本は世界を広げてくれるだけでなく、時に人生の大切な指針を示してくれることもあります。それは誰でもない鈴木さん自身が知っていること。だから「本を届けたい」。鈴木さんの挑戦は続きます。
※鈴木さんの活動スケジュールは、下記のブログやSNSで告知しています。
鈴木書店ブログ:https://obijisyu.exblog.jp/
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