「ハレたね企画」インタビューVol.1「和菓子てるる堂」佐々木あすかさん
ハレタかみしほろ(以下、ハレタ)では、町民の皆さんの趣味や特技を活かしたチャレンジを応援する「ハレたね企画」を実施しています。
中でも人気が高いのが、町民の手づくりおやつを提供する「ハレタ手づくりおやつカフェ」。
今回はこのイベントに和菓子を出品し、またそれ以外でもチャリティーカフェにチャレンジする「和菓子てるる堂」の佐々木あすかさんを紹介します。
和菓子てるる堂
佐々木 あすかさん
|ささき・あすか|東京都出身。2016年に家族とともに上士幌町に移住。和菓子が好きで、子育てをしながら本格的に和菓子づくりを勉強。「ハレタ手づくりおやつカフェ」などのイベントに出品している。また「チャリティーカフェ&お話し会」を開催するなど「ハレたね企画」にチャレンジしている。2児の母。
講座で学び、ハレたね企画にチャレンジ!
――「ハレたね企画」にチャレンジしようと思ったきっかけを教えてください。
ハレタのイベントに参加したときに、スタッフの方から声をかけられたんです。抹茶を楽しめるイベントで、そこで出されていた和菓子が私の知っている銘柄だったんですよね。
それで「どうして知っているんですか?」と聞かれて、実は和菓子に興味があって勉強していますと話したら、「いつか出品してくれるとうれしい」と言われて、それが最初のきっかけでした。
――すぐにやってみようと思ったのですか?
いえ、そのときは第二子の出産を控えていた時期でしたので、実際にチャレンジしたのは出産後です。
もともと趣味で和菓子はつくっていたのですが、やってみようと思えるまでには時間がかかりました。
でもせっかく声をかけていただいたので、やるならしっかりやりたいと思って、出産して育休に入ったタイミングで通信教育講座を受講しました。半年間で和菓子を学べるコースがあったんです。
――趣味から一歩進んで学ばれたのですね。すごいですね。
趣味でやっていただけなので、誰かに提供するには自信がなかったこともあります。これも良い機会ととらえて、学ぶなら今しかない! と思いました。
インタビューに応える佐々木さん
――和菓子はもともと好きだったのですか?
子どものころはそうでもなかったのですが、大人になってから、あるときお饅頭を食べたらおいしいなって思って(笑)。実はバターがちょっと苦手で、それで和菓子に惹かれていったのかもしれません。
――和菓子づくりはいつごろから?
上士幌町に来てからです。
出産や育休で、家で過ごす時間が増えたこともあって、やってみようかなと。あと十勝は和菓子屋さんが少ないなと思っていたので、それも自分でつくってみようと思ったきっかけですね。
あんこを炊いて、自分の好きな甘さにしてつくったのが始まりでした。
不安と緊張の中、 初出品でどら焼き100個完売‼
――初めての出品はいつですか?
2021年11月に開催した鈴木書店さん(※)のブックカフェです。
どら焼きを100個提供しました。
※ハレたね企画チャレンジャー。詳細は以下のリンクからご覧ください。
――100個! 実際につくるのは大変ですよね?
すごく大変でした。あんこを炊いて皮を焼いて包んで……確か2日かけてつくりました。あんこを炊く日と皮を作って包む日とに分けて……
とにかく疲れた記憶しかありません(笑)。
――丁寧に準備されたのですね。当日は接客もしたのですか?
やりました。これも初体験で、本当に売れるのかな? 食べていただけるのかな? と、不安と緊張でいっぱいでした。
スタッフさんは「絶対に売れる!」と言ってくれていたんですけど、やっぱりずっと半信半疑で。でも皆さんが買ってくださって、完売したんです。信じられないくらいうれしかったです。
――それはうれしいですね。
食べてくださった皆さんが「おいしい」と言ってくださったことで、達成感も感じました。
どら焼き製作中
――ちなみに、なぜどら焼きにしたのですか?
通信教育講座でもつくったことと、誰もが知っていて馴染みのあるお菓子なので、最初につくるにはよいかなと思いました。
――ほかに大変だったことはありますか?
価格設定ですね。
売れる自信がなかったので、買っていただけるなら1個100円でいいと思っていたんです。でもそれでは駄目とハレタのスタッフさんに怒られまして。材料原価もそうですが、イベントの人件費やお菓子をつくる施設の使用経費なども含めてきちんと利益が出るように設定してくださいと。
最終的にはスタッフさんと相談して決めましたが、最後まで厳しかったです(笑)。
夏はあんみつ、秋はカボチャあんのどら焼き
――それからは定期的に出品していったのですか?
そうですね。2022年1月が2回目で、このときはぜんざいを提供しました。そのあともヨモギ団子や水ようかん、6月には水無月を出したり、秋にカボチャあんこのどら焼きをつくるなど、季節によっても変えて、新しいものにもチャレンジしてきました。
夏越(なごし)の祓(はらえ)として残り半年の無病息災を祈願して6月に食べる水無月(みなづき)
――提供する和菓子はどのように決めているのですか?
基本的には自分が食べたいと思うものをつくっているんです。例えば夏ならあんみつが食べたいな、とか。それで試作をして「いやこれは難しすぎる…!」と、現実を知ることもあります(笑)。
でもかたちになるとレシピが増えていくので、それは自分にとってもうれしいですね。
――新しいことに挑戦されている姿勢は素晴らしいです。
ありがとうございます。
でも新しいものに挑戦するたびに難しさを感じています。
提供できるレベルにすることもそうですが、販売するとなると個数も必要になります。毎回必ず試作はするのですけど、事前に3回は試作しています。販売個数や、つくってから提供するまでの時間も考えたりするので、いろいろとバランスを探るのが難しいですね。
――難しいと言いながら、その難しさを楽しんでいらっしゃる様子がありますよ。
そうですか(笑)。
――向上心がありますよね。
単純に和菓子が好きなんでしょうね。
例えば、全国を見ればいろいろな和菓子がありますよね。でも食べてみたいけど買いに行けないしな、じゃあ自分でつくってみるか、みたいな。
あとは毎回のように買ってくださる方もいらっしゃって、うれしい気持ちがありますし、「おいしかった」という言葉は継続するモチベーションにもなっていると思います。
チャリティーイベントも開催
――もう一つ聞きたいのが、チャリティーカフェについてです。これはどんなきっかけで始まったのですか?
もともとは、おやつカフェの利益を犬猫の保護団体に寄付していたんです。そうしていたら、自分でチャリティーのイベントをやってみてもいいかなと思いはじめて。そんなときにたまたま、動物病院の方もイベントを考えているということをハレタのスタッフさんから聞いて。
じゃあ一緒に何かやってみようというところから始まりました。
――どんなイベントなのですか?
動物病院の方が犬猫の飼育や介護など、毎回テーマを設けてお話し会をされるんです。
私はその時間内でカフェを開いて和菓子とドリンクを提供しています。イベントには募金箱を設置していて、カフェの利益と募金していただいた分をまとめて団体に寄付しています。
これまでに6回開催しました。
チャリティーイベントのチラシも佐々木さんがつくったのだそう
――犬猫の保護にも興味があるのですか?
はい、自宅でも犬猫を飼っているので何かできればと思って。東京から一緒に連れてきた雌のフレンチ・ブルドッグもいて、「和菓子てるる堂」は彼女の名前「てるる」からとっているんです。
――このイベントは今後も継続的にチャレンジしていくのですか?
ひとまず6回でひと区切りにはなったんですけど、私としてはこのイベントに限らず、お菓子の販売利益はこれからも寄付していこうと思っているので、もしかしたらかたちを変えて何かするかもしれないです。とはいえ、まだ何も決めてはいないのですが。
不安はあっても、まずはやってみよう!
――ところで、和菓子の魅力って何でしょう?
一つは季節感ですかね。コンビニで売っている和菓子スイーツをみても、季節を感じますよね。洋菓子でも季節を意識したものがありますが、和菓子はそれがより分かりやすいと思います。
あと、例えばあんこをとっても、豆を変えるとあんこの味が変わりますし、炊き方を変えてもできたものに違いが出ます。
そういうところもおもしろいと思います。
――これからチャレンジしたいことはありますか?
いつか自分で菓子製造業許可資格を取って、出品の機会や場を増やしていきたいと思っています。
ただ、費用面など検討しなければならないこともたくさんあるので、長い目で考えていきたいと思います。
――最後に、自分も何かやってみたいと思っている町民の皆さんに一言いただけますか。
私が何か言うのもおこがましいのですが、まずはやってみるのがよいと思います。やることで気づくことや得るものはたくさんあります。
私も最初は不安しかありませんでしたが、ハレタのスタッフさんがちゃんと助けてくれますよ!
インタビュー中、何度も笑顔がこぼれていました
「最初は不安しかなかった」と言いながらも、毎回新しいことにチャレンジしている佐々木さん。その向上心と学ぶ姿勢には頭が下がる思いです。
そのお話しから「和菓子が好き」という思いとともに、「多くの皆さんに喜んでほしい」という気持ちが伝わってきました。最近は道の駅や帯広市のイベントにも挑戦し、活動の幅が広がっているそうです。
「和菓子てるる堂」は、インスタグラムで情報を発信しています。気になった方はぜひ、フォローをお願いします!
\ 和菓子てるる堂 /
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【お問い合わせ先】
㈱生涯活躍のまちかみしほろ(ハレタかみしほろ内)
TEL:01564-7-7630
E-mail:info@kamishihoro-town.com
担当:渥美(あつみ)
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。