モ~ッとのもう!モーモーフェスが開催されました!
皆さんは、1日にどのくらい牛乳を飲みますか?
そして『酪農業』について、どのくらいの知識をもっていらっしゃいますか?
『牛乳消費拡大』というワードが全国的に聞かれるようになった昨今、上士幌町内でもあるきっかけから、1人の女性が、町内での牛乳消費拡大を推進したい、町の基幹産業である酪農業について広く知ってもらいたいという想いを持つようになりました。
町内で新聞販売店を営む吉田恵さんです。
そしてその想いから、イベント開催を企画し、令和5年10月22日ハレタかみしほろにて「モ~ッとのもう!モーモーフェス」を実施しました。
本記事では吉田さんの想いと、イベントの当日の様子について紹介していきます。
PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
WRITER
渥美 緑(あつみ みどり)
2022年1月より静岡県から上士幌町へ移住。地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。コミュニティづくりに携わる中で出会った上士幌の人・もの・ことを、言葉をとおして伝えていきます。
上士幌町にいるのに、意外と酪農のこと知らないな…
上士幌町は日本一広い公共牧場であるナイタイ高原牧場を有し、人口約5000人に対し、47,000頭以上の牛が飼養されています。
当然、基幹産業の1つである酪農業にも多くの方が従事されています。
とはいえ、仕事として酪農業に携わらない町民の方々が、日々の暮らしの中で酪農のことを知る機会はなかなかないのが実情です。
吉田さんが酪農家の方のお話を聞いたのも、本当に偶然だったそうです。
モ~ッとのもう!モーモーフェスを主催した吉田恵さん
「今年の春頃、もともとの知り合いの酪農家の方と雑談していた中で、『絞れば絞るほど赤字で..牛乳をもっと飲んで欲しいんだよね』というお話を聞いてとても驚きました。
大変だとは聞いていたけれど、そこまで大変だとは思っていなかったんです。
コロナの時には「牛乳消費」という言葉もたくさん聞いたし、イベントもやっていたように思います。
でも最近はそういったイベントも、頻度や規模として縮小しているイメージだったので、そもそもの牛乳を消費しなきゃいけない状態というのもおさまってきていて、酪農家の方たちの状況も回復してきているのかなと勝手に思い込んでいました。」
バター不足から講じた国の増頭対策の効果発現時期が、ちょうど新型コロナウィルス感染症で給食がなくなった時期と重なり、全国的にも牛乳消費拡大について話題になっていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類から5類に変更されるようになった頃から、牛乳消費についても大きく話題になることは減ったように感じます。
「そんなに大変なんだという衝撃とともに、町内に居ながら、酪農業について何も知らなかったんだな、ということに気づかされたんですよね。
そこから、ほかの酪農家さんのお話も聞いてみたい、できることがあるんだったら協力したいと思うようになりました。」
有言実行の吉田さん、そこから町内の酪農家のお宅を何軒か訪ね、実際にお話を伺いにいったそうです。
「お話を聞かせていただいた酪農家の皆さんは、やはり牛乳をもっと飲んでほしいという想いをお持ちでした。
話を聞いているうちに、私だけじゃなくて、町内のたくさんの皆さんに酪農業を応援してもらいたい、牛乳を飲んで欲しいという想いが強くなりました。
酪農家の方の中には、家庭での継続的な牛乳消費につながるような、意識向上イベントをやりたいと考えている方もいらして、でも酪農家の方は本業で忙しいから出来ないし…
それなら、まずは私がやろう!と思ったんです。それでまちづくり会社に相談に行きました。」
そこからモーモーフェスの開催に向けて、走り出した吉田さん。
アイディアが豊富で、たくさんのイベントコンテンツ案が議論されましたが、イベントの時だけで終わるものではなく、家庭での継続的な牛乳消費につながること、そして来てくれた方に酪農業のことを少しでも知ってもらうことをコンセプトに、屋内でできるコンテンツから実施することとなりました。
第1回モ~ッとのもう!モーモーフェス
そうして第1回目のイベント内容が、
・牛乳のアレンジドリンクを楽しめる「ミルク&スープバー」
・牛をテーマにしたミニ工作体験コーナー
・酪農業に関するパネル展示
・来場者へのアンケート実施
に決定されました。
開催にあたっては、JA上士幌や上士幌町役場農林課にも開催趣旨を説明に伺って協力をお願いし、牛乳や上士幌の特産品の寄付と開催へのアドバイスをいただきました。
JA上士幌より提供いただいた牛乳でミルク&スープバーを実施
ミルク&スープバーでは寄付いただいたゆであずきと牛乳を組み合わせたあずきミルクや、上士幌町産のかぼちゃを使用して作ったかぼちゃスープを販売しました。
ミルク&スープバーでは6種類のミルクレシピを提供
また、家庭での消費を促すため、ミルク&スープバーで提供したメニューについては、レシピも配布しました。
酪農業に関するパネル展示では、酪農家の一日の流れを紹介しました。
パネル展示の様子、手前の本は酪農家の方が自発的に持参してくださった
今後は知識を増やすだけでなく、酪農家の方の想い、酪農を頑張ってくださっている方へのメッセージが相互に交差するような仕組みも考えていきたいということです。
来場者の方へのアンケートでは、ミルク&スープバーで美味しかった飲み方や、自宅でよく作る牛乳を使った飲み物やスイーツのレシピ、今後モーモーフェスで味わいたいメニューなどの情報を収集したようです。
アンケートでも人気だったスープとドリンクのミルクレシピ、会場でも配布した
吉田さんは「思ったよりも本当にたくさんの方に来ていただいて、喜んでもらえたのが印象的でした。
工作も子どもだけでなく大人も楽しんでくれていたし、ミルクバーでは一杯飲んだ方がいつの間にか三杯目を飲んでいたりと、どんどんお代わりしてくれて…牛乳だけで飲むと消費量としてはそんなに多くないけれど、色んな飲み方、しかもお手軽にできる飲み方を提案することで牛乳を飲んでいただくきっかけになったのではないかなぁと思っています。
レシピを配ることによって、イベント時の瞬間的な消費だけじゃなく、家庭での消費も促せたかなと…」と笑顔でお話してくれました。
第1回目のイベントをとおして、皆で牛乳を飲んで酪農家の方々を応援しようという意識が芽生えたという手ごたえを感じられたようでした。
第2回の開催に向けて
モ~っとのもう!モーモーフェスは今後も開催を継続していきます。
「1回目は小さいことしか出来なかったけれど、色んな方に協力をいただいて考えていたことは実現できたし、良いきっかけづくりになったんじゃないかなと思っています。
気付けば、私自身も牛乳を買う頻度が増えたし、価格だけで牛乳を選ぶのではなく、できるだけ十勝の牛乳を選ぶようになったんです。
意図せず、私自身が変わるきっかけにもなりました。
私自身もそうなら、もしかしたら他にもそういった方もいるかもしれないし、やってみたいアイディアも色々あるので、イベントは今後も継続的に開催していきたいですね。」
1回目のチラシも吉田さんが原案を作成
どんな構想がありますか?とお尋ねしたところ、その場でもたくさんのアイディアがでてきました。
「酪農業についてもっと調べてパネルにしたいし、利きミルクとかも面白そうじゃないですか?
それと、1回目の開催について周知した時に、自分からレシピを教えてくれる方もいて、アンケートでも様々なミルクレシピを教えてもらいましたし、レシピの提供は引き続きやりたいと思っています。
あとは、牛との触れ合いの機会も提供したいですね、餌の実物をおいたりしてみたいと思っています。」
「それと、私の理想としては、酪農家の方も酪農業に携わらない方も、両方の皆さんがいらして、相互にコミュニケーションができるイベントになっていったらいいなと思っています。
私が聞いたり考えたりしたことだけを発信する場になるのではなく、酪農家の方が直接メッセージを発信したり、酪農業に携わらない町民の方が直接応援のメッセージを伝えられたりする場ですね。」
この笑顔と行動力に自然と人が集まってくる
ひとしきりのアイディアやモーモーフェスの今後についてをお話したあと、吉田さんがいつも想っていることを教えてくださいました。
「酪農業に関わらず、私の目標は地域の皆が地域のことを知り、それぞれができることで地域を盛り上げて、皆が住みよく楽しく暮らしていくことなんです。
なので、私自身もできることをちょっとずつやっていきたいなと思っています」
いつも利他的な行動力と明るく元気な笑い声で、周りを照らす吉田さん。吉田さんがスタートさせたモーモーフェスが、これからどんなふうに発展していくのか、今からとても楽しみです。
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