常に楽しく働いてもらえるように 〜ルピナの星代表にインタビュー・後編〜
町の人たちの生活を長きに渡って支えるルピナ。83歳になった星さんは社長に就任して40年になります。前編では、社長が今でも現役でいることの秘訣をお聞きすることができましたが、後編は、長く続くスタッフさんがたくさんいる理由や、独自の商品などを開発する理由などをお聞きしました。
WRITER
西村 奈々子
大阪出身。父が上士幌に移住。大学卒業まで、父が愛した上士幌に来ている大学生。私もこの町を愛したい。好きなことは上士幌の町を自転車で駆け抜けること。
温かな社長と従業員の関係性
ルピナの従業員の皆さんは、長く働いてらっしゃる方が多いと聞きました。
おかげさまでね、たくさんいますよ。長い人で、10年もいる人もいるし、5年以上も多いです。
居心地がいいとか働きやすいという理由でしょうか?
そうですね。皆さんそう言ってくれますね。
星さん自身、従業員の皆さんに対して、何か意識されてることはありますか?
やっぱり、コミュニケーションをお互いにうまく取っているのがいいのかなあって考えています。どうしても社長とは話しづらいとか、あるでしょう。でもそれがないように考えながらやっているね。
いいですね。
従業員もその気になって接してくれるし、冗談なんか言ったりしてね。そういう意味では、いいのかなと思ってるね。
どういうコミュニケーションを意識されているんですか?
仕事のことのほかにも、世間話とか。こっちから声をかけたりして、話してるよ。
なるほど。
仕事ってやっぱり、なんも話さなかったら楽しくないでしょう。
毎日同じ作業も多くなってきますものね。
そうそう。だからね、冗談言ったりなんかしてやるのが、みんなも楽しいんじゃないかと思ってる。そういう面ではね、前向きに話しかけたりしてるね。
従業員の方を褒められたりもするんですか?
そうですね。刺身が上手にできてたら、「いやあ、上手にできてるね」って。いろいろやる中でそういう風に言われると相手は喜ぶでしょう。嬉しいでしょう。
嬉しいですよね。失礼ながら、星さんの年代って、私自身の祖父くらいなんですけど、その世代の人たちのイメージって頑固な人が多くて、褒めずに、怒ってばっかりという印象が凄くあるんです。
はい。それはね、私も昔働いていてそういう風なこともありました。
それが逆に嫌だったから・・・
いやもうね、それじゃ従業員も育たないし、長く居ないんじゃないかなと思って。私自身は相当昔怒られましたよ。
それで、ご自身が社長に就任されるときには、そういうことがないようにと意識しておられたんですね。
そうですね。やっぱり褒めるなどのコニュニケーションを取っていかなと、怒ってばっかりいたら、育たないしついてこないですしね。
楽しくないですもんね。
そうそう、その通りなんだよね。失敗しても、それはそれでまた次できるようになればいいんだから、「ダメだよ」とかそういう風には言わない。「これはもう仕方ないよ」っていう風にやらないと。従業員に対してそうやって気をつかえないとついてこないですよ。
凄いなあ。めちゃめちゃ素敵です。働いてもらう人がいないと事業にならないですもんね。
うんうん。だから、常に楽しく働いてもらえるように考えないとね。
でもそういうお父さんの姿を見てるから息子さんもついていきたいと思うんでしょうね。きっと憧れなんですよ。
いやあ、ありがたいなあとは思ってます。おかげさまでそうやって、店舗全体のことは息子が見てくれるから。
(インタビュー前に)お話で聞いた経営の役割分担のイメージなんですけど、新しい事業をやって攻めておられるのが専務。店長が全体の総括を担っていて、雰囲気づくりを社長がされているのかなと。(店長も専務も息子さん)
うんうん、そうですね。やっぱりそうして、分担していかないとね。
素晴らしいバランスですよね。ルピナの建物自体も古き良きをずっと残されていて、残しながらも、トカトカ(パン屋さん)みたいな新しいものもつくっていくという。そうやって上士幌町の人に愛され続けてるんだなあって。
おかげさまでね、パン屋さんをやることによって会社全体も良くなっています。スーパーは帯広とかからもチラシがたくさん入ってくるので、町の人が週末帯広に行ってしまうんですよね。
その対策として、地元の人に向けて、なにか意識されていることはあるんですか?
特売は、毎日し続けてますからね。
本当に!いつも特売でびっくりします(笑)。
毎日やってるからね(笑)。
いつも特売だから、いいものを見つけたら買っちゃいますよね!
そうですね。
何かしらの目玉商品を毎日置いてるんですね。
本当に帯広から大手スーパーのチラシがどんどん入ってきますから。バルーンフェスティバルのときなんて、コンビニに人が凄い来たみたいです。
この規模の町だと、本当に人の流れが変わったらすぐにわかりそうですよね。
そうですね。だから5000人くらいの町でやっていくとなると、帯広に人が流れてしまうといなくなっちゃいますよ。
上士幌町でこうやって良い商品や、美味しい地元のお肉が買えるのは、魅力だし地元の人にこそ買ってほしいですよね。
わざわざ、ガソリンを使って帯広まで行っても。帯広も目玉の商品は安いですけど、定番の品は高かったりしますからね。
取り扱っている商品でこだわっているものはなんでしょう?
やはりうちは肉と惣菜とかかね。魚もそうですけど。やっぱり肉を一番メインにしていますね。惣菜も種類をたくさん用意して喜んでいただけるように考えています。
ルピナで買いたい、おすすめの商品
この間、取材で使って美味しくいただいた上士幌ポークを販売しておられるのは、ルピナさんだけですよね?
そうだね。
上士幌ポークの販路は?
全農さんが北居辺で飼育している豚なんですよ。
なるほど。上士幌ポークの特徴ってどんなところですか?
ほかの豚と比べると、全然臭みがないんですよ。豚丼などに調理してもすぐわかるから、帯広などからも買いに来られる方も多いんです。一般の店で上士幌ポークを販売してるのは、うちだけだと思います。あと、ふるさと納税で上士幌ポークとナイタイ和牛はかなり使われていますね。
北海道の内陸部なのに魚介が揃ってるとこも、町の人は嬉しいと思います!貝から魚まで種類が豊富ですよね。
ありがとう。それでもまだ少ないかなって、また開拓していかなならんなとは思うね。
そうやっていろんな場所から仕入れるとなると、それだけお仕事が増えて大変になるじゃないですか。それでも仕入れる理由ってなんでしょう。
やはり、お客様に良いものを提供したいという気持ちですね。なかなか難しいけど。
いやいや、いつもここに来ては欲しいもの見つけて、美味しくいただいています。
ありがとうございます。お客様の心理を読んでね、提供してあげないとダメだなあと思ってます。
何が良いかなあっていつも考えて、仕入れているんですね。
そうそう。
仕入れも同行されるんですか?
今は仕入れは全部ファックスで送ると、品物を揃えてもらって送られてくるんです。
なるほど。
大体、前日の午後3時から4時までに頼んだものが次の日の朝7時に届くようになってます。
知らなかったです。そういったお仕事もされているんですね。
そうですね。あと、若い人に任せたりしつつ。ある程度、頭は休めないとね(笑)。
はい、そうしてください。本当に働き者すぎます(笑)。
一つひとつ従業員に教えながらね。
心強いですね。
いやあ、その通りです。今の人たちはみんなすごく覚えるのが早いですからね、教えがたいもありますしね。なんせ厳しい世の中ですからね。
そうですね。移り変わる世の中ですもんね。そんな中でも続けていかれて欲しいです。
はい!これから頑張っていきます。
いつも食卓を支えていただいてます!
いつも町の人を、従業員を想い、熱心に働き続ける。そんな社長だからこそ、周りの人は心からついていきたい、一緒に働きたいと思うのだと感じました。社長の笑顔からは、優しく温かい人柄が滲み出ています。これからも、ルピナでその姿を見ていたい!ずっとお世話になりたいスーパーです。
星さん、本当にありがとうございました!