スマホロ通信第10号(2023年5月 発行)
スマホロ通信第10号では、デジタル推進員についての説明と
ホロロジーにスマホロ通信のバックナンバーが掲載されたことについて
紹介しています。
裏面では「GPS」について簡単な説明をしています。
「なりわいを創る前」の若者たちによるコミュニティスペースづくりへのチャレンジ
上士幌町では、起業や新規事業を検討している町民に向けた事業計画書作成セミナー「かみしほろ起業塾」を実施しています。
これまでに21人が受講し、5人の方が上士幌町で起業を実現されました。
一方、何かしてみたいけどまだ具体的な計画はない、自分にどんな可能性があるのか模索してみたい、という潜在的に起業に関心や興味を持つ人たちも数多く存在します。
まちづくり会社では、そんな「なりわいを創る前」の町民の方々に向けて、スキル、経験、知識を吸収できる場を提供する「開拓社プロジェクト」を、2022年度の秋から冬にかけ実施しました。
開拓社プロジェクト始動
開拓社プロジェクトに参加することになったのは、町内で活動する5人の地域おこし協力隊員でした。
プロジェクトの初回、自分たちにとって関心が高いテーマについて話し合った結果、「コミュニティスペース」づくりを行っていくこととなりました。
地域おこし協力隊として上士幌町に移住してきた時に感じた、「職場以外の人とのつながりをつくるきっかけがない」や「地域の中でやってみたいことが漠然とはあっても、相談先や進め方がわからない」という不安、「気軽に行ける場所や、目的がなくても立ち寄れる場所がない」という孤独な気持ちの記憶が、5人に共通してあったようです。
こうして、「コミュニティスペースplat(ぷらっと)」の企画が生まれることとなりました。
やりたいことの行先を方向づける、地図のような場所‐コミュニティスペースplat
そこから、コミュニティスペースのコンセプトや、来場者のコミュニケーションを促す方法、協力隊である5人だからこそできることは何か…
運営するコミュニティスペースのイメージを1つのものに近づけるため、開催までの3ヵ月間、多い時には週に2度のペースでミーティングが行われました。
イメージを共有しあう5人の協力隊、週に1度は顔をあわせていた
場づくりには、計画や準備に多くの時間がかかるということを、このプロジェクトの中で参加者たちは強く実感したようです。
その中で、スペースの名称を、地図を意味する「plat(ぷらっと)」とすること、コミュニケーションツールとして「plat hope(プラットホープ)」をつくること、カフェメニューとして自分たちの出身にかかわるものを出すこと、ボードゲームタイムを設定することが決まりました。
カフェメニューではご当地ドリンクを販売、この日は静岡県のお茶
また、町内外で活動する同世代の方や、スキルを持つ方にも自分たちで企画の趣旨を説明し、賛同を得たり、協力をしていただき、企画内容を具現化していきました。
開催フライヤーは関係人口である大学生にデザインをお願いし、町内へ配布した
あったらいいなを共有するボードplat hope(プラットホープ)
「plat hope(プラットホープ)」とは、上士幌でやってみたいなと思うことや、上士幌にあったらいいなと思うものを自由に書き込めるボードです。
plat hopeのデザインは、関係人口である20代の方にお願いし、初日のワークショップでは、そのデザインコンセプトについても語っていただきました。
「plat hopeは9つの大陸でできており、それぞれ、『ささえる』、『まわす』などのスキルを象徴するような意味を持っています。それぞれのスキルだけでは、もしかしたら、書き込んだhopeは叶わないかもしれない。
では9つあるスキルをどのように組み合わせたらいいのか。
組み合わせるといっても、9つのスキル全てを一人で習得するには相当な努力とセンスが必要です。
でもそれを、チームで行うことにすれば、互いのスキルを活かしあうことができます。
『自分は何をやりたい人なのか?、どんなことに困っているのか?』
発信することでチームができると思います。ですが、チームですすめるためには、発信だけでなく「対話」も必要になってきます。
『plat hope』の9つの大陸はあえて抽象的にしていますが、そういったスキルの活かし方や対話の重要性も含めて、hopeを書いている皆が考えるアイデアこそが、『plat hope』の大陸のライフラインになると思っています。」
来場者の方も、運営メンバーも、デザイナーの話に耳を傾けながら早速たくさんの「hope」を書き込みしました。
6回の開催が終わるころには、どの大陸もたくさんのhopeとアイディアで埋められました。
6回の開催を終えて書き込みがすすんだplat hope
開催日の様子
2回目以降の開催では、初対面同士も自然にコミュニケーションをとれるよう、ボードゲームが実施され、立場も年代も様々な来場者の方々が同じテーブルで和気あいあいと交流を楽しみました。
多世代交流が実現したplatでのボードゲーム
また、platの趣旨に賛同した協力隊の仲間が来場してコーヒーの提供をしてくれたり、町外の協力隊が開催に合わせて来町して飛び入りでゲームを実施するなど、来場者が場の運営に積極的に参加する場面も見られました。
最終日には、それまでの5回の開催中に来場された方たちと一緒に、「plathope」に書いた内容や想いについてシェアしあうワークショップが実施されました。
「まわす」の大陸に、「町内に高校生が働く場所をつくりたい」と書いてくれた方は、町内で仕事をつくることで需要に応え、町内での消費を促す、そしてその消費活動が、雇われた高校生に給与として支払われる、町内での経済を「まわす」だけでなく、その循環を次の世代にも「まわす」という想いを話されました。
また、同じ「つくる」の大陸に関連性のあるhopeを書いた方同士で「今度一緒に◎◎しようよ!」と意気投合する姿も見られました。
最初は「コミュニティスペース」という聞きなれない言葉の場で、どう過ごしたらよいのか戸惑う方も多かったようでしたが、6回の開催を終えた後の来場者アンケートでは、
「上士幌に来てから様々な集まりに参加してみたけれど、1番自分にしっくりきて、1番楽しい場所でした。」
「知っている人の知らない面を知る機会となりとても良かったです。自分にとって意義のある時間と場所になりました。」
「ほかの人と交流することで、自分の立ち位置やこれからどうしていきたいかも見えてきて、自分のことを知る機会にもなりました。」
「platでのコミュニケーションの中で様々な人の思いや考えに触れ、刺激を得られる場所でした。」
「連続で来ていますが、毎回違う方と交流ができるので楽しいです。日々をもっと楽しくしたいと考える仲間が町内にいることがわかり嬉しいです。」
などの感想が寄せられ、運営メンバーにとって手応えを実感できる結果となりました。
新しい出会いがある場所
自分自身について知ることが場所
これからに向けて刺激を得られる場所
起業まではいかないけれど、何かやってみようかなと思えた場所
こんな場所があったら自分自身や、自分と同じような人にとっても居心地の良い場所になるんじゃないか…
そんな5人の協力隊の想いから生まれたコミュニティスペース「plat」は、関わってくれた方それぞれにとっても、ぷらっと立ち寄ることのできる場所になったようです。
これからを開拓していく
5人の協力隊が手にしたものは様々です。
platの運営を経て、自分について改めて振り返ってみたいと思った人、自分の足りないスキルが見えた人、自分の向かいたい方向が居場所づくりではないと気がついた人。
この開拓社プロジェクトでの経験を土台に、それぞれが進んでいく方向を決めました。
5人にとってはplatの運営そのものが、今後の行先を方向づける、地図のような活動となったようです。
5人と同じようにこれからを開拓するすべての人が、自分の行く末をどう見つけどう進んでいくのか、「plat hope」がそれぞれの「生きる糧」になる瞬間が楽しみです。
これからを開拓する来場者。「plat hope」がそれぞれの「生きる糧」になる日も遠くない
まちづくり会社では今後も、「自分のこれから」を開拓しようとする若者に向け、場づくりだけでなく、自分の可能性をひろげるきっかけとなる事業を展開していきます。
スマホロ通信第9号(2023年4月 発行)
スマホロ通信第9号では、3月に実施したスマホロ特別イベントに関しての報告と「スマホロメモ」について紹介しています。
裏面では「アカウント」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第8号(2023年3月 発行)
スマホロ通信第8号では、窓口に実際来た時の相談の流れに関して紹介しています。
裏面では「スクリーンショット」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第7号(2023年2月 発行)
スマホロ通信第7号では、キャッシュレス決済について説明と解説をおこなっています。
裏面では「GB(ギガバイト)」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第6号(2023年1月 発行)
スマホロ通信第6号では、スマホの中身のメンテナンスについての解説を行っています。
裏面では「URL・QRコード」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第5号(2022年12月 発行)
スマホロ通信第5号では、スマホに通知が来る「アップデート」についての解説を行っています。
裏面では「アイコン」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第4号(2022年11月 発行)
スマホロ通信第4号では、10月に相談が多かった知らない人からLINEグループに入れられてしまった時の対処法についてを紹介しています。
裏面では「Bluetooth」に関する簡単な説明をしています。
スマホロ通信第3号(2022年10月 発行)
スマホロ通信第3号では、実際のスマホロ窓口の紹介と、これまであった主要な相談の紹介をしています。
裏面では「Wi-Fi」に関する簡単な説明と、スマホロ利用者の方がスマホのカメラで撮影した写真を掲載する「スマホロ写真館」を始めました。
今回は紅葉の写真を掲載しています。
スマホロ通信第2号(2022年9月 発行)
スマホロ通信第2号では、8月に相談が多かったクリーニングアプリや迷惑・詐欺メールについてを紹介しています。
裏面ではスマートフォンを使用する上で出てくる基本的な用語について紹介しています。
スマホロ通信第1号(2022年8月 発行)
記念すべきスマホロ通信第1号では、実際にスマホロを利用された方に聞いた感想を掲載しました。
裏面ではスマートフォンの基本的な操作の名称を紹介しています。
3年ぶりの開催!第39回上士幌ウインターバルーンミーティング
一面に広がる雪景色。連日の真冬日。
そんな上士幌町で2月11日と12日に「第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023」が開催され、取材をした2月11日も最低気温は氷点下11.4℃、最高気温も氷点下2.8℃ととても寒い日でした。
39回目となる今大会は、コロナ禍による中止を乗り越え3年ぶりに開催されたこともあり、会場のひとつである航空公園は、早朝から競技参加者たちの熱気であふれていました。
今回私は、全国の高校でも2つしかない北海道上士幌高等学校の熱気球部を取材することになりました。
第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023のイベント会場を取材した記事もあるのであわせてご覧ください。
>>第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023-イベント会場レポート-
また、ほかの熱気球に関する記事はこちらからご覧いただけます。
WRITER
関口 嘉子(せきぐち よしこ)
【ライター入門講座受講生】大阪生まれ大阪育ち。2009年に上士幌の農家と結婚し、この町に来ました。希少な豆を栽培し、「オリベの豆や」という屋号で商品を販売しています。
上士幌高校熱気球部
上士幌町は全国で初めて熱気球の大会が開催された町。
熱気球という非日常な体験が高校の部活動で味わえるとは、上士幌はなんてスケールが大きい町なのでしょう!
過去2年間の大会が中止になったため、上士幌ウインターバルーンミーティングは、3年生の部員にとっては最初で最後の冬の大会です。
現在熱気球部員は1年生4名、2年生4名、3年生4名の計12名。2月11日は3年生3名を含む7名が競技に参加しました。
さあ、フライトだ!
この日の競技は、各チームで離陸場所を決めてのスタートになりました。
熱気球部は上士幌高校の校庭からフライトをすることを決め、集合場所の町役場から高校まで車で移動。
現地に到着すると、そこからはてきぱきと準備が始まります。
道具を車から降ろし、バスケットにバーナーを取り付け、球皮を広げる。
雪が積もった真っ白な校庭に、大きくて色鮮やかな球皮が引き立ちます。
除雪していないエリアまで球皮を広げるため、膝の高さまで雪に埋もれる部員もいます。
「わあ!靴に雪が入ったー!」と、もうすでに笑顔で楽しそうです。
熱気球を飛ばすことだけではなく、準備作業も活動のうちです。自然発生的に役割が生まれ、顧問の先生と部員全員で効率よく進めていきます。
熱気球は決して一人では飛ばせないからこそチームワークが大切、ということがよくわかります。
色鮮やかな球皮
パイロット免許を持つ顧問の先生が念入りにバーナーチェックをした後、広げた球皮に大きな扇風機で空気を送ると、球皮は少しずつ大きくなり、柔らかく波打ちます。
その様子はまるで命を吹き込まれた巨大な生き物のようです。
バスケットに取り付けられたバーナーで温かい空気を送り込むと、球皮は一段と大きくなり、熱気球そのものが飛ぶ意思を持ち始めたかのようです。
それを制するように四角いバスケットを4人で支え、その間に搭乗メンバーが熱気球に乗り込みます。高校に到着してから、ここまでおよそ30分。
最後にゴーッゴーッとバーナーを燃やすと、熱気球は音もたてずふわりと地上を離れます。
空気を送り込まれ大きくなっていく気球
コロナ禍での部活動を経て
無事に離陸した気球を顧問の先生と部員たちが地上から見守ります。
3年間の部活動の話を聞かせてくれたのは、高校3年生の部員である男子生徒です。彼にとってウインターバルーンミーティングは、高校生活最初で最後の大会。
インタビュー冒頭、「緊張しています!」と素直な気持ちを聞かせてくれました。上士幌町出身で、お父さんも熱気球のパイロットだった影響で、子どもの頃から熱気球は身近な存在だったそうです。
「子どもの頃は熱気球に乗るのが怖かったです。でも今はすごく楽しい」最初にそう聞いたので、「入学してすぐ熱気球部に入部したわけではなかったんです」という言葉はとても意外でした。
入学直後は吹奏楽部に所属し、その後、熱気球部の顧問の先生に入部を勧められたということです。
熱気球部員は部活の掛け持ちをしていることが多く、彼も2年生の途中までは吹奏楽部との掛け持ちをしていました。
熱気球部に入部したものの、入学直後から始まったコロナ禍で毎年8月に開催される「北海道バルーンフェスティバル」と2月の「ウインターバルーンミーティング」は2年連続で中止となり、3年生になってようやく上士幌町の夏と冬の大会に出場することができました。
「夏の景色と冬の景色。どちらも綺麗なので、大会でフライトできて良かったです」
気球から見た夏の景色と冬の景色(写真:土門史幸)
長く続いたコロナ禍でも、熱気球部の活動はありました。
放課後のトレーニング。風のない早朝を狙ってのフライト。そして町内外の小学校を訪れて児童を対象に行う係留体験。
進級するにつれ、教えてもらう側から教える側になり、安全性に関することや熱気球部の伝統をつないでいく責任も増えていきました。
小学校での係留体験では、子どもたちの喜ぶ顔と「ありがとう」の言葉が励みになったそうです。
自分たちだけで完結するのではなく「人に喜んでもらえる」という実感は、他の部員たちにとっても大きなモチベーションになっているとのこと。
彼は続けて「熱気球に乗った子どもたちも、この楽しさを忘れないでほしい。そして気球と言えば上士幌町、と思い出してほしい」と言います。
「熱気球を通じて上士幌町のPRもしたいんです。熱気球から見るこのまちの、果てしなく続く畑の風景はとても雄大で素晴らしい。一人でも多くの人に熱気球を体験してほしいと思っています」
インタビューに応えてくれた男子生徒(写真:上士幌高校熱気球部)
彼は卒業後、本州の大学に進学。受験の面接では全国でも珍しい熱気球部の活動も評価されたそうです。
大学生活では熱気球に触れる回数は今よりも減ることが予想されますが、熱気球部で経験した熱気球の楽しさ、空からの雄大な景色の記憶、そしてチームワークの大切さを知ったことはこれからの彼の人生を鮮やかに彩るはずです。
まぶしい部員たちの姿
およそ1時間の飛行を終え、熱気球が雪原に着陸しました。
車で熱気球を追っていたメンバーもその雪原に集まり、全員で熱気球を片付けます。なるべく早く、丁寧に。
ここでも日頃のチームワークが生きてきます。
大きな球皮を折りたたむ部員、ガスボンベやバーナーを片付ける部員。
大きかった熱気球が、30分ほどで軽トラックの荷台に乗せられるほどコンパクトにまとまります。
小さく畳んだ球皮を布製のバッグに収納するとき、部員全員がバッグを囲むように立ち「せーのっ!」の掛け声でバッグを持ち上げます。すると球皮がバッグに収まりました。
映画のワンシーンのようなその光景が、とても眩しく映りました。
片付けも終わり、最後は顧問の先生の総括です。
「競技に関しては記録なしだったけど、安全に楽しく飛べたことは良かったね」と部員たちを労いました。
片付けもチームで
これからも続く「熱気球の町」へ
熱気球は自然を相手にする競技です。飛びたいとき、行きたい場所に確実に行けるわけではありません。
空の様子、風の状況を見極めて、そしてチームワークがあって初めて熱気球を飛ばすことができます。
取材日のように天気が思わしくない日でも、穏やかな雰囲気で作業を進める部員たちの姿を見て、彼らがこれまで熱気球の魅力を語り合い、その楽しさを共有していたことが想像できました。
熱気球を愛する仲間たちと過ごした時間は、部員ひとりひとりの心に大切な思い出として豊かに積み重なっているのではないでしょうか。
「熱気球部があるから上士幌高校に入学しました!」と語る1年生部員。熱気球のパイロット免許を取得すると決めた2年生部員。上士幌高校熱気球部は、とても元気で希望に溢れています。
4月にも、新入生が熱気球部の扉をノックすることでしょう。
3年生たちはこの春、高校を卒業します。そしてそれぞれの進路へ。
彼らがこの町に帰って来た時も上士幌町が熱気球の町であり続けられるよう、私ができることは何かな…帰りの車でそんなことを考えました。
畑に着陸した気球に集まる部員たち
第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023-イベント会場レポート-
第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023が、2月11日と12日の2日間で開催されました。
コロナ禍による2大会連続の開催中止を乗り越え、2020年以来3年ぶりとなった今大会。
競技会場は「航空公園」、イベント会場は「道の駅かみしほろ」と2つの会場を使用し、上士幌ウインターバルーンミーティング初の分散開催となりました。
残念ながら天候には恵まれませんでしたが、イベント会場「道の駅かみしほろ」では熱気球の体験搭乗が行われ、たくさんの人で賑わいを見せていました。
道の駅近くを飛ぶ熱気球に歓声も上がる
第39回上士幌ウインターバルーンミーティング2023の競技に参加した上士幌高校の熱気球部を取材した記事もあるのであわせてご覧ください。
>>3年ぶりの開催!第39回上士幌ウインターバルーンミーティング
また、ほかの熱気球に関する記事はこちらからご覧いただけます。
WRITER
宮﨑 ゆ子
【ライター入門講座受講生】生まれも育ちも上士幌の好奇心旺盛な主婦。三人の子育てを終え、夫の動物病院を手伝いながら夏は無農薬野菜の栽培を楽しんでいます。
PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
待つ時間さえ至福の時間
夏の大会も含めバルーンの大会で大人気なのが熱気球体験搭乗です。
今年はコロナウイルス感染症対策としてインターネットでの予約制となっていましたが、開催1週間前には200組以上のキャンセル待ちが出ていました。
遠くは九州からの予約もあり、人気の高さを物語っています。
搭乗予定時間に合わせて会場に来場した方々は、自分の順番を待つ間もワクワクしながら熱気球を眺めている様子でした。
果てしない空への想像を思いめぐらせる至福の時間
お子さん連れのご家族が笑顔で空を見上げる光景は微笑ましく、素敵な時間を共有させてもらえました。
親子での体験搭乗は温かい思い出となったのではないでしょうか。
熱気球搭乗への憧れ
熱気球に搭乗した方にお話を聞くと「一度乗ってみたかった。嬉しいです!」「思ったよりも(遠くまで)見えました。頭上でバーナーが轟々と燃えるのが見えるのも迫力がありました」と感動されていました。
町外から参加されている方も多く、札幌を朝4時に出発したと話す年配のご夫婦は、上士幌ウインターバルーンミーティングには、何度も足を運んでくださっており、ぬかびら源泉郷をはじめ町の観光地にも詳しく「熱気球の写真を撮影するのが趣味なんです。上士幌町大好きですよ」と話してくれました。
町外の方に自分の住む町が好きだと言ってもらえることが大変嬉しかったです。
鮮やかな模様の熱気球が上昇すると一斉にカメラのシャッターを切る音がする
雪や風の影響により一時中断する時間帯もありましたが、上士幌ウインターバルーンミーティングは多くの笑顔で溢れていて、あらためて夢のある素敵なイベントだなと感じました。
親子での体験搭乗は温かな思い出となったのではないでしょうか。
賑わいを見せる道の駅かみしほろ
イベント会場が道の駅に変わったことで、従来の会場では外で待つしかなかった体験搭乗も、施設内で暖をとりやすく車中で待つこともできるようになりました。
道の駅内も、小さな子ども連れの家族も多く見られたくさんの方に道の駅を楽しんでもらえたのではないでしょうか。
賑わいを見せる道の駅かみしほろ(写真提供:宮崎ゆ子)
外にある屋台も人気があり、行列が途切れることなく人が並んでいました。
ただ、上士幌町民の姿が少なかったことが残念です。もう少し町民にも参加してもらい町全体で盛り上がるといいなと思います。
上士幌に熱気球が舞い上がり50年
1974年、日本で初めて開催された熱気球の大会である
今夏、北海道バルーンフェスティバルは50年という大きな節目を迎えます。
東大雪の雄大な山並みを背景に全国から集まった色とりどりのバルーンが舞い上がる夢の景色を楽しみましょう。
第49回北海道バルーフェスティバルの様子
ハレタ手づくりおやつカフェ
ハレタかみしほろでは、町民の皆さんの趣味や特技を活かしたさまざまなチャレンジイベント「ハレたね企画」を実施しています。
その中でも、お菓子づくりを得意とする町民の方々のおやつを集めて定期的に開催する「ハレタ手づくりおやつカフェ」(以下、手づくりおやつカフェ)はとても人気の高いイベントです。
手作りおやつカフェでにぎわうハレタかみしほろ
>>インタビュー「ハレたね企画」好きや得意を活かしたコミュニティづくり
作り手さんデビューの場
「また食べたい」の声が喜びに!
上士幌町には、美味しいお菓子の作り手さんがたくさんいらっしゃいます。
2020年7月からスタートした手づくりおやつカフェはこれまで40回以上開催され、18名の町民の方々がお菓子の作り手さんとしてデビューされてきました。
作り手さんは、これまで家族のためだけにケーキを焼き続けてきたお母さんから、得意な手づくりお菓子をお友達に配ってきた方、社会人になってから趣味でお菓子作りを始めた男性など、さまざまです。
最初はほとんどの方が「自分が趣味で作っているお菓子を知らない人に販売するなんて…」としり込みされますが、勇気を出してチャレンジし、出品したお菓子を食べた町民の方々から「美味しかったよ」「また食べたい」という言葉が届くことにより、自分だけの趣味や特技が誰かの楽しみを生み出すことを実感され、それが喜びとなって次のチャレンジに続いていきます。
作り手さんによるお菓子(ポップアップケーキ)
作り手さんによるお菓子(焼きドーナツ)
お菓子の製作は町の食品加工センターで
手づくりおやつカフェに出品されるお菓子は、主に上士幌町の食品加工センターで製作されています。
使用する農産加工室には広い調理台が複数あり、ガススチームオーブンや電子オーブンに加えて、基本的な調理道具も揃っています。
作り手の皆さんからも「使いやすくお菓子づくりの幅が広がる」と喜ばれています。
大きなガスオーブンでケーキ作り
広い調理台でゆったり製作
おやつカフェから生まれるコミュニティ
手づくりおやつカフェに足を運ばれる町民の方々の世代は幅広く、皆さんそれぞれに笑顔でおやつを選ばれています。
「おやつカフェに来ると聞いたことのなかった名前のお菓子があるので楽しい」「いろいろな手づくりおやつを食べられるのが嬉しい」という声もいただいています。自然と町民の方同士の会話も生まれます。
また、来場されたお客さまと作り手さんが交流する姿も見られます。
作り手さんにとってはお客さまから直接かけられる応援の言葉が何よりのチカラになり、「レパートリーを増やしてもっと喜んでもらいたい」「次はもっと美味しいお菓子を作りたい」と向上心を持たれるようです。
来場されたお客さまに自らお菓子を提供
作り手さんへのチャレンジを生涯活躍のきっかけに
ハレたね企画では、これからも作り手さんの自己実現の場、町の方々のコミュニティの場として手づくりおやつカフェの開催を続けていきます。
さらにたくさんの町民の方々に作り手さんとしてチャレンジしていただき、広く町民の方々に美味しいおやつを提供していただきたいと思っています。
私たちは、手づくりおやつカフェが「生涯活躍のまちかみしほろ」を実現させるきっかけのひとつとなることを願っています。
【上士幌町】トマル、だからススメル「MYMICHIプロジェクト」2022年の軌跡
トマルことによって気がつくことがある。
だからこそ、ススムためにトマル。
MY MICHIプロジェクトはそんな”トマル”時間と新しい出会いを提供し、全国の若者に上士幌町を舞台に自分の可能性を発見してもらうプロジェクトです。
プロジェクト参加者は、上士幌町のシェアハウスで1カ月間の共同生活を送りながら「遊ぶ・学ぶ・働く」の3つのプログラムを体験し、新しい環境や人と出会います。
その出会いを通して自分と向き合い、自分の可能性に気がついたり、そして、それを言葉にして人に伝えたり…
上士幌町でのすべての経験が、自分のこれからの道(MY MICHI)につながっていきます。
トマル、だからススメル。
今回の記事は、2022年度のかみしほろMY MICHIプロジェクトについてレポートをします。
WRITER
高野安弥(たかのあみ)
2022年2月から上士幌で行われるMYMICHIプロジェクトに携わる。九州の大分県出身。人が自身の在り方に気づける社会、そして全ての人が「自分の人生を生きる」未来を作りたいと思い活動中。
PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
プロジェクトの背景
人や環境との出会いによって、人生が大きく変わることがあります。
冒頭にあるように、そんな「出会い」を若者に提供し、若者が上士幌町に来町することで町の人にも「出会い」が提供される、今までにない関係人口構築の仕組みがつくれたら…と発足したのが、本プロジェクトです。
MY MICHIプロジェクトを運営する㈱マイミチ代表取締役である西村剛氏自身が上士幌町に移住したことをきっかけに、自分らしく暮らすこと、働くこと、生きることに挑戦するに至った経験を活かして、一人ひとりに良い「出会い」を提供することを意識したプログラムを構築してきました。
※2022年度は㈱マイミチとまちづくり会社が連携して事業を推進しています
トマル、だからススメル 「MY MICHIプロジェクト」2022年度の参加者たち
2022年度は5月から11月にかけて4期のプロジェクトが実施され、総勢20名の参加者が上士幌町でそれぞれの1ヶ月を過ごしました。
参加者は、就職活動をきっかけに「これから自分が歩んでいく道についてもっとじっくり考えたい」と感じた大学生や、社会人としての生活を送る中で迷いや生きづらさを感じている若者が多かったそうです。
やりたいことを見つけたい
新しい土地に行きたい
今の自分を変えたい
スキルを活かして新しい何か挑戦したい
自分に何ができるのかを探したい
参加者の年代、人生のフェーズは様々ですが、共通しているのは、人生の転機に「自分自身が何者なのか?」「これからどう生きたいか?」ということについて、歩みをとめて、自分と向き合う時間がほしいと思い上士幌町にやって来たということです。
「遊ぶ」「学ぶ」「働く」プログラム
そんな参加者に、出会いとそこからの気づきのきっかけを提供するのが「遊ぶ・学ぶ・働く」の3つのプログラムです。
「遊ぶ」では、ネイチャートレイルやサイクリングなど、上士幌町の広大な自然を満喫する体験をします。
大自然の中で「遊ぶ」、心が開放される瞬間を感じる
「学ぶ」では、上士幌町に住む人たちから、地域での暮らし方やその中での取り組みについて話をうかがいます。
町の人の生き方や考え方に触れることで、自分の生き方を見つめ直すきっかけや新たな気づきを得るようです。
町の人の生き方に「学ぶ」
「働く」では、地域のちょっとした困りごとを解決するためのお手伝いをします。その中で地域住民との交流が多く生まれます。
人材センターの枝木処分で「働く」
上士幌という場所
プログラムを通して、参加者が得たものはたくさんあります。
町の産業である農業や畜産業に真摯に向き合う町の人の姿に「かっこいい!」と感銘を受け、自分たちが植え付けを体験した畑の収穫の時期にまた上士幌町に手伝いに帰ってきた若者たち。
働くプログラムで依頼者のお宅にお伺いして、窓ふきや草取りなどのお手伝いをしたあと、その方と話が弾みすぎてなかなか帰ってこない若者もいました。
シェアハウスで仲間たちと過ごした日々は「人生で一番楽しい時間だった」と涙しながら離町していく参加者の姿もありました。
それぞれの1カ月を経た後、「もう少し自分の可能性に挑戦したい」、「町のなりわいにもっと深く触れたい」、「まちづくりを学びたい」と上士幌町での滞在の延長を希望する参加者も少なくありませんでした。
参加者にとって上士幌町はたんなる観光地ではなく、自分自身を見つめ、新たな気づきを得た場所として、しっかり心に刻まれたようです。
▼心に刻まれたものが笑顔として表れる ー 滞在最終日近くの参加者たち ―
▲5期の参加メンバー
▲ 6期の参加メンバー
▲ 7期の参加メンバー
▲ 8期の参加メンバー
つながるMY MICHI
MY MICHI参加者との出会いは、町の人にとっても大きな実りをもたらしています。
プロジェクトにかかわってくださった町民の方々から、
「参加者は自らこの地に来ることを選択する勇気がある。一生懸命にプログラムに取り組む姿を見ることが自分たち自身の人生の刺激になっている」
と感想を頂戴しました。
参加者を受け入れる側の町民も、上士幌という場所の魅力を再発見したり、プロジェクトを通して町民同士の新たなつながりができたり…
参加者の心の成長が、町の人の心も動かしているようです。
笑顔が連鎖していく
出会いが循環する
自分を見つめなおすための”トマル”時間を経て、上士幌町での自然や町民の方々との優しい出会いで心が”ススム”方向に動き出した若者たち。
彼らにとっては、プロジェクトの終了がMY MICHIのはじまり。
その道をこれからどんな風にススムのか。
遠くからではありますが、見守っていきたいと思います。
2023年度のMY MICHIプロジェクトは4月下旬より開始する予定です。
これからもたくさんの道(MY MICHI)がこことつながり、上士幌町が出会いの循環の場となるよう、事業を推進していきたいと考えています。
生涯活躍のまちかみしほろ事業担当者の想い -インタビューまとめ記事-
まちづくり会社では町民のチャレンジの後押しをしたり、町民同士で困りごとを解決する仕組みを作ったりと、まちづくりに関するさまざまな事業を行っています。
そんな事業の各担当者に想いを聞いたインタビュー記事をまとめてみました。
ぜひご覧ください!
外部のサイトになりますが、まちづくり会社の取り組みとまちづくり会社で活動する地域おこし協力隊3名の記事があるのでこちらも併せてご覧ください。
>>町民の可能性のたねを育てる。(株)生涯活躍のまちかみしほろ
出典:くらしごと
出典:くらしごと
担当者インタビュー「ハレたね企画」好きや得意を活かしたコミュニティづくり
2020年にスタートした「ハレたね企画」は、ハレタかみしほろを活用した町民のチャレンジイベントを応援する企画です。「自分だけの趣味や特技が周りの人の喜びにつながることを体験してほしい」と話すのは、この事業を担当している八下田洋子さん。その八下田さんに事業への思いを聞きました。
「ハレたね企画」担当
八下田 洋子さん
東京都出身。2015年に家族で東京から上士幌町へ移住。2020年より(株)生涯活躍のまちかみしほろに勤務。入社当初より「ハレたね企画」を担当し、これまでに100以上のチャレンジイベントを企画・開催している。
まちの人たちの「可能性の種」を育てたい
――「ハレたね企画」はどんな事業か教えてください。
八下田:まちの人たちが、ハレタかみしほろ(以下、ハレタ)を使って自分の趣味や特技を活かしたチャレンジイベントを開催するお手伝いをしています。例えば、料理が得意な人なら手づくりのお菓子を販売したり、ランチを提供したり。ヨガやアロマなどの教室を開く方もいますし、写真展を開催した方もいます。
――なぜ「ハレたね企画」なのですか?
八下田:皆さんそれぞれが持っている「可能性の種」を育てたいんです。この事業には、自分だけの楽しみである「好きなこと」や「得意なこと」をほかの人たちに向けて表現することで、自己実現の第一歩を踏み出してほしいという思いがあります。それをハレタでやっていく事業なので、かけ合わせて「ハレたね企画」としました。
手づくりおやつカフェ
――事業を始めたきっかけは?
八下田:上士幌町には、多彩な趣味や特技を持っている方がたくさんいらっしゃって、しかもそのレベルがとても高いんです。だからこそ、それを自分や家族・友人といった限られた範囲の中だけで楽しむのはちょっと勿体無いなと感じて。ハレタが自分の趣味や特技をまちの人たちにも表現できる場になればコミュニティづくりにもつながると思ったんです。
――確かに、場所と人を組み合わせるとコミュニティが生まれますね。
八下田:これまでサービスを受ける側だった人たちが、この事業では提供する側に回ります。そこで自分だけの楽しみが他者の喜びや楽しみにつながるとわかったときに、その人は社会とつながれる。それが広がると、いろいろな世代やコミュニティともつながれるし、自分の新しい価値や役割に気づくこともあるんじゃないかと。それがこの企画の醍醐味だと思っています。
「好きの根っこ」を見極める
――実際に何かをやってみたい、チャレンジしたいという人は多いのですか?
八下田:今では紹介してもらったり、イベントにお客さんとして参加した人が自分もやってみたいと声を上げてもらうことも増えましたが、最初はそんな人がいるかどうかもわからないのでとにかく手探りでした。この事業で初めて企画した「手づくりおやつカフェ」は、実は私の友人たちにお菓子の出品をお願いしました。その後も、自分の友人や知人からこんなことが得意な人がいるよと聞いてはアポイントを取って突撃訪問です(笑)。それでとにかくこちらの思いを伝えて、出てもらっていたというのが実情でした。
町の作り手さんたちのお菓子
――最初はそんなスタートだったのですね。
八下田:まずは実績をつくらないと広がらないと思っていましたから必死でした。たくさん失敗もしましたよ(笑)。
――例えばどんな?
八下田:一番は結果を急ぎすぎたことですね。とにかくチャレンジしてほしくて、グイッと手を引きすぎて相手の方をすごく悩ませてしまったり、私にはやっぱり無理ですと言わせてしまったり……。私の仕事は伴走することなのに、逆に私が主導してしまっていたんです。
――早く実績をつくらなければという焦りもあった。
八下田:でもそうなると、その人のチャレンジではありませんよね。それに気がつかなかった。それからは「主役はあくまでチャレンジする人。私は黒子」という気持ちで、ご本人の意向やペースを確かめてチャレンジを支えることを意識するようになりました。
――ご本人の気持ちに寄り添うようになったと。
八下田:はい。でも一方で、早く舞台に上げた方が良いと思う方もいます。例えばランチイベントを開催したある方は、ずっとできないと言っていたのですが、同時に料理が大好きな理由もたくさん話してくれるんです。聞いたら、子どものころから家で料理をするとおばあちゃんが喜んでくれたという。それならおばあちゃんをイベントに呼んだら喜ばれるんじゃない?と言ったらすごく目が輝いて。「好きの根っこ」に触れると、本人も思いの強さを再自覚するんですよね。その瞬間にできない理由が消えて、ベクトルができるに振れる。その方も「やって良かった」「またやりたい」と言って、2回目3回目と開催しました。
――「好きの根っこ」。大切なキーワードですね。
八下田:そうですね。その方がなぜそれを好きなのか。そこはしっかりと見極めるようにしています。あとはタイミングも大事ですね。
「好きの根っこ」から生まれたチャイニーズ御膳
――タイミングもありますか。
八下田:あります。やってみたい気持ちはあるけれど、子どもがまだ小さいからもう少し待ちたいとか、今年は受験があるからとか。そういうときは待ちますね。初年度におやつカフェにチャレンジしてくれたあるお母さんが、今年2回目を開催してくれました。初回の評判が良くて「またやってほしい」という声もずっと届いていたのですが、小さなお子さんがいらっしゃるので、タイミングを待っていたんですよね。
――なるほど
八下田:久しぶりに開催したらお子さんがすごく喜んでくれて。お母さんのケーキは自分の家で食べられるんだけど、おやつカフェでその子はわざわざお金を出してケーキを買うんです。お母さんが誇らしいんですよね。
――それはうれしいですね。
八下田:お母さんもやって良かったと言ってくれて。たとえ時間がかかったとしても、ちょっとしたタイミングでピースがはまる瞬間があることもわかりました。
――待つことも大事、ということですね。
八下田:はい、そのとおりです。
町内牧場のベトナム人スタッフの皆さんがベトナム料理を披露
まちの人たちからの声がモチベーションに
――ところで、八下田さんご自身が事業をやっていて良かったと思うのはどんなときですか?
八下田:チャレンジした方が「やって良かった」「またやりたい」といってくれたときですね。イベントに来場した方からの「次はいつ?また楽しみにしているよ」といった声もすごくうれしいです。
――やはりそういう声がモチベーションになる。
八下田:そうですね。あと、私は人が好きなんです。東京に住んでいたころからいろいろと仕事をしてきましたが、派遣会社でコーディネーターをしたり、職業紹介の相談員も経験するなど、人と関わる仕事ばかりでした。私は誰かに誇れる資格を持っているわけではないし、大きなキャリアを積んだ人間でもないけれど、多様な仕事を経験したことがこの仕事をする上での大きな強みにもなっていると思います。
――キャリアを縦に積み上げていくのではなく、八下田さんは横に広げてきた。だからこそ誰とでもフラットに接することができるのですね。
八下田:はい、振り返るとそう思います。人に寄り添うのが私のスタイルで一番得意なことなので、相手と同じ目線で話ができて安心感を持ってもらえるのもそこかもしれません。
――お話を伺っていて、すごくわかる気がします。
八下田:でも今だから言えますが、気持ちが落ち込むことが続いて、会社をやめようか悩んだ時期もありました。
かあちゃんばあちゃん野菜市とハンドメイド雑貨の作り手さんのコラボ出店
――え?そうなのですか?
八下田:そこで踏み止まれた理由も、まちの人たちからの声なんです。かつて自分がチャレンジをしてみませんかと声をかけた人たちから「コロナ禍が落ち着いたらこんなことをやってみたい」「前は断ったけど、自分の状況が整ったのでチャレンジしてみたい」といった声をいくつかいただいて。私が蒔いてきた種が、少しずつ芽を出し始めているんだなと感じたんです。
――そうだったのですね。
八下田:「醸成」という言葉がありますよね。「醸して成る」と書くのだけど、この事業はまさにそれだなと思って。それでもう一度頑張ろう!と気持ちが前を向きました。
コミュニティづくりから、まちづくりへ
――事業も3年目になり、チャレンジしたい人も増えてきています。これからこの事業をどうしていきたいですか?
八下田:今年はチャレンジしたい人同士のコラボイベントが生まれました。この流れが加速していくといいなと思いますし、ここから新しいコミュニティが生まれて、新しい仕掛けが始まったらうれしいですね。まだまだいろいろな特技を持った人も多くいると思いますし、たくさんの人にチャレンジの一歩を踏み出してほしい。コミュニティが広がり続けていくことがハッピーなゴールだと考えていますから、まちのほかのコミュニティともつながっていきたいですね。
――多様な人たちがつながっていけば、まちももっと盛り上がりますよね。
八下田:はい。事業の本来の目的はコミュニティづくりなんです。そしてコミュニティづくりはまちづくりにつながると、この仕事を通じて気がつきました。それは私たちの会社が目指す「生涯活躍のまちづくり」でもある。私も息子がいますが、彼を含めてこのまちの子どもたちに「上士幌って結構イケてるじゃん」と思ってもらえるような、そんなまちづくりにつながるといいなと思います。この事業にはその可能性を感じています。
――この先どんなチャレンジが生まれるか、とても楽しみです。
八下田:そのためにも、ハレタがコミュニティづくりのきっかけの場になればいいと思いますし、いつでもチャレンジできる場所として開き続けていることが大事だと考えています。本当に結果が出るまではまだまだ時間はかかるでしょうが、急がずに続けていこうと思います。待つことも大事ですから(笑)。
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「チャレンジした人の、やって良かったという声が何よりうれしい」という八下田さん。その八下田さんを支える根っこは「人が好き」という思いに違いありません。
まちの人たちの「可能性のたね」が育つとともに、「ハレたね企画」も大きく成長していきます。これからどんな色とりどりの花が咲いてくるのか、それを一番楽しみにしているのは、きっと八下田さんなのだと思います。
TEXT:コジマノリユキ
2018年4月より上士幌町在住のライター。1976年生まれ、新潟県出身。普段は社内報の制作ディレクターとしてリモートワークをしています。写真も撮ります。マイブームはけん玉。モットーは「シンプルに生きる」。
復活!上士幌の豆腐屋さん~「まめけん」中村哲郎さんの起業ストーリー~
上士幌町は人口規模でいえば5000人程度の小さい町ですが、実は町内で起業をされた方や起業を目指す方が一定数いらっしゃいます。
今回から、上士幌町で行っている『かみしほろ起業塾』※を受講され起業された方や、その道の途中にいらっしゃる方など、なりわいを自分で創ることに挑戦している皆さんにインタビューを行い、不定期で紹介していきたいと思います。
※『かみしほろ起業塾』は起業を志す町民を対象に、創業計画書の作成を指導するセミナーです。
今回ご紹介するのは、上士幌町で豆腐屋「まめけん」を開業したBeans Labo.PWDの中村哲郎さんです。
WRITER
渥美 緑(あつみ みどり)
2022年1月より静岡県から上士幌町へ移住。地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。上士幌町で出会う人、ものは基本すべて“初めまして”です。その”初めまして”の瞬間を言葉にして発信できたらいいなと思います。
PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
中村さんは2017年に上士幌町へ移住され、2019年に『かみしほろ起業塾』を受講された後、商品開発を進め2022年の7月に豆腐屋「まめけん」を開業されました。
中村さんの起業に至るまでの経緯、起業にあたって悩まれたこと、現在の想いをお伺いし、最後に上士幌町で起業を志す方へのメッセージを頂戴しました。
Beans Labo.PWDの中村哲郎さん
中村さんが「豆腐屋さんの中村さん」になるまで
―それでは早速ですが、まず起業のきっかけについて教えてください。
はい。きっかけとしては単純に食べることが好きで、その中で特にお豆が好きということもあったのですが、起業に至るまでに色々なことを考えて、行動していました。
僕は普段からエコに興味をもっていて、その延長でおからの出ないエコな豆腐屋さんをやりたいと思ったことがそのうちの一つです。
少し脱線しますが、上士幌町には大学の時に熱気球の大会で初めて来町しました。その時から、退職したら将来はこういうところで暮らしたいなぁとずっと考えていたんですけど、それが叶って、この町に移住して、熱気球のインストラクターもやっています。
今、町議もやらせていただいているのですが、せっかく移住して住むなら、上士幌町をさらに良い町にしていくお手伝いをしたいと思って立候補したんです。
前職では全国色々なところを出張でまわっていたんですけど、他の地域に比べて、北海道は第一次産品がすごく豊かで、でもそれを活かした加工品があまりないという印象でした。
だから、町議に立候補する時に、六次産業化で北海道の産業を活発化させたいと思って、それを公約の一つにしました。
そして上士幌町には主な第一次産品として大豆がある。
大豆を使った加工品ならお豆腐だよなぁと思って。
実際、昔は上士幌町にも豆腐屋が4~5軒あったみたいなんですけどね。
それで冒頭に話したおからの出ない豆腐ともつながって、まずは自分で豆腐の商品開発をはじめたというわけです。
-熱気球のインストラクターであり、町議でもある中村さん。すでに複数のなりわいをお持ちの中で、なぜまた新たに起業されて、そしてなぜ豆腐屋さんなのだろうと思っていました。
中村さんの中ではそういった一つ一つのなりわいが全て繋がっていたんですね。
はい。色んなものが結びついて豆腐屋になろうと思った感じですね。
-移住前から起業を検討されていたというよりも、全てが繋がった中で起業に行き着いたという感じでしょうか。
移住する前から、うっすらと豆腐屋やりたいなっていうのはあったと思います。
おからの出ない豆腐の発想は、移住前に知り合った三重県にある豆腐屋さんから得たものだったんです。
移住前いよいよ定年が近づいた時に、これから何をしようかなと考え始めて、その豆腐屋さんのことを思い出して、連絡を再開したりはしてましたからね。
-そうすると、そういった想いを形にするのに、『かみしほろ起業塾』の存在が背中を押したという感じなのでしょうか。
もちろんもちろん!とっても大きかったです。
だって起業しよう!と思っても、起業にあたって何を準備すればいいかわからなかったですから。
一応資金は用意してたんです。ただ実際に、設備を準備するための見積りをとってみたら、高っ!!てなりましてね(笑)
その見積の金額が自分のやっていこうとしている事業と採算が合っているのか?というところを明確にしてもらったのが『かみしほろ起業塾』でした。
自分の想いをかけた商品をいくらで提供して、そしてそれが設備などの費用と見合っているのか、バランスをどのようにとって、どう成立させていくのかというところが明確になりました。それと事業着手金支援制度があるのも、ありがたかったです。
-確かに、起業しようという意志だけでは何から手をつけていいか全くわからないですよね。
納得できる豆腐をつくる
-中村さんが起業にあたってご苦労されたことや悩まれたことは、やはりそういった準備のところだったのでしょうか。
いや、それはやっぱり商品開発のところですね。
僕でいえば豆腐なんですけど。その豆腐が自分で納得のいく状態じゃないといけない。
でもどこが納得のいくラインなのかという線引きは全くわからないわけですよ。
おからの出ない豆腐も何度かつくりましたが、知り合いの方に試食していただいた結果、やはり最初は普通の豆腐をやることにしました。
普通の豆腐といっても、本当にやればやるほど奥が深い。何でもそうなんでしょうけど、質をどこまで高めるのかということは自分にとっては大きな課題でした。
特に自分としては、上士幌町ならではの商品をつくりたいという想いがあったので、この町の「ハヤヒカリ」という大豆を使って豆腐をつくることにしたんです。
ただ「ハヤヒカリ」は納豆や味噌には適しているんですけど、豆腐には向いていないと言われて最初すごく悩んで..
商品としての質をあげることに時間がかかりました。
上士幌産の大豆”ハヤヒカリ”を使った中村さんのお豆腐と厚揚げ
-どのくらいのお時間がかかりましたか。
1年以上かかりましたね。
当時周りの皆さんには「開業はまだなの?」ってかなり急かされたんですけど、いやいやまだまだ…って感じでした(笑)
商品開発には上士幌町の食品加工センターを使わせていただいてたんですけど、借りられるのは大きいお釜で、作る条件をちょっとずつ調整することが難しく、自分の家の鍋で微調整したりしてね。
普通に売られている豆腐との違いが感じられないようだとやっぱり価格の安さで商品を選ぶと思うんです。わざわざ僕の豆腐を買う意味がない。
だから個性を出すのに時間がかかりました。
-今では町民のファンが多いまめけんの豆腐が誕生するまで、生みの苦しみがあったんですね。
はい。それとおからの出ない豆腐の開発もあきらめていません。今のまま普通の豆腐を生産していくと本当におからの量がすごくて…。定期的におからを買ってくれる方もいらっしゃるんですけど、それでも余ります。
普通の家庭からおからが出たら生ごみになりますが、事業所が出すと産業廃棄物になってしまうんですよね。
廃棄するにもお金がかかるし、本当にもったいないんです。食べられるものなのに…
だからおからの出ない豆腐ってすごい価値があると思うんですよね。
-なるほど。
ここまで商品開発にかかわるご苦労について聞かせていただきましたが、それ以外に悩まれたことはありましたか。
たとえば、ご家族や周りの方の心配や反対とか…
そりゃありましたよ。サラリーマンしかやったことないのにそんなこと出来るわけないとか、頭の中で考えてできるものじゃないって言われたりね…(笑)
-それはどうやって乗り越えたというか、説得されたんですか
結局は自分の想いを押し通しました(笑)
上士幌町への移住についても、自分の中では決定事項だったのですが、妻との話し合いの中では、定年になったら東京以外のところに住みたいよねっていう感じだったんですよ…
なのでまずは札幌に行って、良し!だんだん近づいたぞ~って感じですすめていました。
それで次は都市部ではないところでってことで、色んなところで移住体験とかしてるうちに、今のこのお店の物件に出会い、妻に相談しないで購入しちゃいました。
そしてしばらく黙っていました(笑)
最終的には自分から報告して、その時には妻も「あ、そう」って言ってそれで終わりでした。
-(笑)きっとうすうす気づかれてたんでしょうね。
そうすると、場所探しというのも起業する際の一つの課題かと思うのですが、中村さんの場合はタイミング良くご縁があったという感じですね。
そうですね。
-上士幌町にもともと知り合いの方がいらしたりとか地縁はあったのですか。
特にありませんでした。
物件のお話は移住体験を申し込んでいた関係で、NPOかみしほろコンシェルジュの方からご紹介があってタイミング良く決めることができたんです。
元からの知り合いはいませんでしたが、上士幌バルーンクラブの方を頼らせていただいて、クラブにも入れて頂き知り合いが増えていきました。
-タイミングも運のうちかもしれないですね。
熱気球が中村さんを上士幌町へ連れてきたのかもしれません
まずは自分ができるところから動いていく
-上士幌町へ移住されて、着実に歩を進め起業を果たされた中村さんが、今、経営者として一番大切にされていることはありますか。
起業をする前とのお気持ちの変化もあわせてお聞かせください。
元々エコに興味があったとお話しましたが、それはこれからも考えていかなきゃいけないなと思っています。
今豆腐を販売するにあたっては、まず注文生産にしています。よく面倒くさいと言われますが、これは食品ロスを少しでも減らすためです。
それから豆腐は再利用可能なプラ容器に入れて販売し、次の購入時に前回の容器を持ってきてくれた方には容器代の割引を行っています。
リピーターのほとんどの方がこの仕組みに賛同してくださっています。
今後はお店に太陽光発電機を設置して、運搬車も電気自動車にしようと考えています。
-お店を経営していくのにあたって、まずはご自身でできるところからエコにつながる取組を取り入れていかれるということですね。
はい。それを見て、自分もと思う方がどのくらいいらっしゃるかは分かりませんが、少しでもエコに関する活動がひろがっていったらいいなと思っています。
-町を良くするために、まずは自分から動いていく。
もちろんそうです。六次産業化の話もそうですが、自分でやってみることで、問題点や課題も分かると思うんですよね。
自分は豆腐だけかもしれないけれど、共通するものは絶対あるはずだと思っています。
2022年度のかみしほろ起業塾にて、先輩起業家としてお話されている中村さん
-そういう課題を身をもって体感されている…。
そうですね。
それから、僕の場合は実際にお店を始めたことでさらにこれから先の構想がひろがりました。
豆腐って悲しい性(サガ)があって、豆腐だけで出来る単独の料理って冷ややっこしかないでしょう?豆腐は使った料理はたくさんありますが…
ということは、豆腐を作ることイコール素材の豆から料理の素材を作っている、ということなんですよ。素材は安いですよね。どんなに良いものをつくってもすごい値段をつけることはできない。
一丁千円の豆腐があってもこれ何に使うの?ってなると思う。
だから事業として確立していくなら、ひたすら生産量を増やさなきゃいけないのだけれど、本気でやるなら工場を建てるなど大がかりなことになってしまいます。
僕はそれ以外の方法で利益を出していけたらと思うんですよね。
例えば定食として提供することで付加価値をつけるということをやってみたいと思っているんです。上士幌は牛肉やじゃがいもなどおいしい特産品がたくさんあります。でもそういうものは食べ過ぎると罪悪感もあるじゃないですか。
なので、そういったものとは別の選択肢として、豆腐やジンギスカン、鹿肉などのヘルシーなものも提供出来たらいいなと思うんですよね。
それでツアーを組んだりしてね。
-実現したら最高です。
先ほどの課題のお話もそうですが、やってみることで見えてくるものもあるということでしょうか。
そう思いますね。そういう点でもかみしほろ起業塾ってすごく役に立つと思います。
起業を志す人の共通点を皆で共有できる場ですからね。
上士幌町で起業を志す方へ
-それでは、起業を志す方へのメッセージをお願いいたします。
起業というのは僕みたいに豆腐を作って売るっていう、単純な方法もあるかもしれないんですけど、今は色々なやり方の起業がありますよね。僕なんか全然思いつきもしないようなアイディアで事業をやっている方もたくさんいらっしゃる…。
でも豆腐に奥深さがあるように、やっぱり考えたことを事業として成立させるまでに難しいところってあると思うんですよ。
その一つ一つを解決してくれるのがこういう起業塾だったりすると思うんです。
事業として成立させるまでの全てにアイディアをもっている人ってあんまりいないと僕は思うんですね。
なのでそのあたりの情報は、提供してくれるところに頼ればいいと思うし、そういう頼れるものを町で提供してくれたらいいなと思っています。
起業する方はそういう面で、町やまちづくり会社を頼ってください、というのが僕のメッセージです。
-大事なメッセージだと思います。
時間も限られている中で全ての過程に自分の100%をかけるのは、やっぱり難しい。
だからこそ自分の想いのあるところ、中村さんで言えば豆腐としての質を高める商品開発のところ、そこに自分の力を出して、頼れるところは頼るという感じでしょうか。
そうそう。
例えば僕はクラウドファンディングって名称は知っているけれど、実際のやり方は分からない。でも資金調達の時にそのやり方を教えてくれたら、選択肢が増えるし、悩みや労力も減る。
1つ聞いたらピンとくる人もいるだろうしね。
だからかみしほろ起業塾はすごく役に立つのですが、今後は発展形として資金調達の方法や流通マーケティングについてのメニューなどが加わるといいなとも思います。
起業する方は、そういう支援を遠慮なく頼るというスタンスを取れたら、実現の可能性がもっともっとひろがるんじゃないかなと思いますね。
「お豆腐って本当大変なんだよね~」と楽しそうにお話される中村さん
自分の想いのある方向に道を拓いていく。
そこに力をかけて、頼れるところは頼る。
そんな姿勢でいたら、中村さんのように、楽しそうにこれからのことを語る起業家になれるのかもしれないと感じました。
中村さん、ありがとうございました。
▶かみしほろ起業塾についてはこちらから
・一人ひとりの思いをかたちに―「かみしほろ起業塾」
▶過去に上士幌町内の起業家を紹介した記事はこちらから
・大人も、子どもも「新しい自分が開く場所」をつくりたい〜齊藤 肇さん〜
・「優しさの拠点」となる助産院をつくりたい~渡辺 雅美さん~
【上士幌町】介護職員初任者研修受講者インタビュー
まちづくり会社では上士幌町からの委託事業として、町内における介護人材の確保や町内介護事業所に就労している職員のスキルアップなどの目的で「介護職員初任者研修」事業を行っています。
今回は社会福祉法人上士幌福寿協会のすずらん荘に勤務されながら介護職員初任者研修を受講された福田浩枝さんに、お話をお伺いしました。
介護職員初任者研修の詳細については過去の記事をご覧ください。
>>さまざまな業種で活かせる資格取得を―「介護職員初任者研修」
WRITER/PHOTOGRAPHER
土門 史幸
フリーカメラマン。2021年6月から上士幌町で地域おこし協力隊としてまちづくり会社で活動中。苫小牧市出身。写真や動画で地域の魅力を伝えたい。空・水中ドローンも扱えます。
− ご家族の介護経験がきっかけに
福田さんが最初に介護の仕事に興味を持つきっかけとなったのは、ご家族の介護を経験されたことでした。
そのときに介護のことをもっと勉強したい、介護を仕事にしたいと考えるようになったそうです。
その後、現在の職場である福祉施設で実際に働き始めたときに、家庭での介護と仕事しての介護の違いに戸惑うことがたくさんあり、スキルアップのために介護職員初任者研修を受講することを決心されました。
− 介護職員初任者研修を受講して
まずは、介護職員初任者研修を受講されて大変だったことをお聞きしました。
社会保障制度や高齢者福祉、介護保険制度や介護サービス、認知ケアや高齢者の病気についてなど初めて知ることばかりで覚えていくことが大変だったそうです。
介護職員初任者研修は入門的な研修なので、介護について経験や予備知識がなくても、介護全般について理解を深めることができます。
福田さんもこの研修で知らなかったことをたくさん学び、理解ができるようになったとお話しいていただきました。
− 研修で学んだことを活かす
次に介護職員初任者研修で得た知識を現在のお仕事にどう活かされているのかお聞きしました。
利用者に対する直接的な介助のほか、健康状態の特徴の把握やベットメイキングなどケアなどに具体的に活用できているとお話ししていただきました。
知識が増えたことで、利用者の方に対してゆっくりとお話をするなど落ち着いた対応をとることもできるようになったそうです。
福田さんの職場であるすずらん荘は特に身体機能が低下している方もいるので、学べたことはとても大きいとお話ししていただきました。
− 資格取得で変わった利用者との距離
介護職員初任者研修の最後には修了試験があり、試験に合格することで資格として扱われます。
福田さんには資格を取得したことで仕事に対する向き合い方がどう変わったのかお聞きしました。
資格を取得する前は自分のやり方に自信がないことも多かったけれど、研修を受けたことにより知識が身につき「こういうことだったんだ」と、自分自身でも納得しながら仕事ができるようになったそうです。
利用者の方の体調や気分の変化に気づきやすくなりコミュニケーションも活発にとれるようになったとお話ししていただきました。
言語でのコミュニケーションだけでなく失語症の利用者の方のケアにおいても、利用者の方が何を求めているのか徐々に理解できるようになってきたそうです。
また、資格を取得する前はほとんど日勤でお仕事されていたそうですが、資格取得後は夜勤も任されるようになりました。
福田さんご自身も研修を受講したことによりさまざまな対処法を学んだので安心して夜勤に入れるとお話ししていただきました。
− 感謝の言葉ひとつで頑張れる
介護の仕事をしていて、福田さんがどんなときにやりがいを感じられるかお伺いすると、やはり利用者の方から感謝されたときに一番やりがいを感じるとお話ししていただきました。
「ありがとう」という利用者の方の言葉が福田さんの原動力となり、介護の仕事をやっていて良かったと改めて感じるそうです。
− チームワークの大切さ
そんな福田さんでも仕事の中で辛さを感じることがあります。
そんなときは、一人で抱えているより職場内でコミュニケーションを取り、自分の想いを聞いてもらうようにしているそうです。
誰かに聞いてもらえる環境がないと気持ちが追い込まれてしまい仕事を続けることが難しくなってしまうので、すぐに共有できる環境が大事だとお話ししていただきました。
福田さんによると、今の職場である福寿協会はすごくまとまりがあり、介護職が初めてでも優しい先輩たちから指導を受けられるので頑張っていこうという気持ちになるそうです。
介護というとただ大変だというイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実際に取材をしてみたところ、利用者の方が自分の家でくつろいでいるようなあたたかい環境がありました。
それは勤務されている皆さんが利用者の皆さんと一生懸命コミュニケーションを図り、職場全体で信頼関係を気づいているからこそだと思います。
− 福田さんからのメッセージ
最後にこれから介護職員初任者研修の受講を考えている方や介護福祉に関する仕事をしたい方へのメッセージをお聞きしました。
「将来、高齢者は増加するので親の介護をする方が多くなると思います。介護職員初任者研修を受けることで、知識や技術が身につき役立ち自信になります。まずは介護職員初任者研修の合格を目指すことがとてもいいと思います」
上士幌町では年に1回介護職員初任者研修を行なっています。
研修は基礎的な内容となるので、身近な方のサポートに役立てたいという方や介護の仕事についてご興味のある方は受講を検討してみてはいかがでしょうか。
※上士幌町では令和2年度から新型コロナウィルス感染拡大防止に係る臨時的な取り扱いとして、自宅学習を中心としたカリキュラムとし、講義は最小限にとどめて実施しています。
(一部写真提供:上士幌福寿協会)
>>さまざまな業種で活かせる資格取得を―「介護職員初任者研修」
上士幌福寿協会
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生涯活躍のまちかみしほろ
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【ハレタかみしほろ】チャレンジショップのご紹介
チャレンジショップは、上士幌町民が趣味や特技を活かすことのできるスペースとなっており、ハンドメイドの商品を販売しています。
チャレンジショップのスペース
小物入れなどのポーチや手編みの靴下、Tシャツ、アクセサリーなどオリジナル商品が多数揃っています。
海の生き物をモチーフにしたアクセサリー
手作りポーチ
オリジナルデザインのTシャツ
あみぐるみやハンドメイドのエコバッグ
手編みの靴下
羊毛フェルトで作ったぬいぐるみ
着物をリメイクした小物入れ
ネイルやアクセサリーなど
町民バンドのCD
パワーストーン
布製の小物入れ
ハレタかみしほろでは現在出店希望の方を募集しております。手作りは好きだけど販売なんて・・・と思っている方。一歩踏み出して、新しいチャレンジをしてみてませんか?
きっと喜んでくれる誰かがいるはずです!
商品はチャレンジショップ内のボックスコーナー(1枠/33cm×33cm)に設置します。
出店を希望される方は、ぜひお問い合わせください。
(写真:土門史幸)
ハレタかみしほろについてはコチラをご覧ください。
お問合せ先
生涯活躍のまちかみしほろ(ハレタかみしほろ内)
連絡先 01564-7-7630
メール info@kamishihoro-town.com
LINE https://lin.ee/NFlKbt0
担当 小川・岡野(京)