『健康ウォーキング』で体も心もポカポカに
10月上旬、雲ひとつない真っ青な空が広がり、肌寒さを感じはじめる秋晴れの朝。この日は『健康ウォーキング』という上士幌町で行われるイベントに参加をしました。初めて参加するイベントに少し緊張を覚えながらも、町で知り合った人たちとの再会ができる喜びを持って目が覚めました。
WRITER
中山 舞子
1992年生まれ。千葉県在住。青年海外協力隊としてインドに派遣予定。海外派遣の目途がたたない現在、上士幌町に5ヶ月間滞在中。外からの目線で上士幌の魅力を掘り下げて行きます!
イベントの日の朝
目が覚めて、出発の準備をし始めたのですが、晴天とウォーキング大会ということで、身体が温まることを想定し、気合いを入れて半袖で出発することに。しかし、、、上士幌の気温は10度台前半。快晴とはいえやはり寒い…。肌を摩りながら、集合場所の「生涯学習センターわっか」へ向かいます。
集合場所へ到着するとすでに町の多くの方が受付に続々と集まってきています。集合場所は大盛り上がりで町民同士、みんなそれぞれが話に花が咲いている様子。しかし、9:30から開始と聞いていたイベントは、約1時間も遅れてスタートしました。このゆるさがまた北海道らしくすきなところです。
『健康ウォーキング』は上士幌町の教育委員会が定期的に主催しているイベントで、町の職員さんたちがイベントを盛り上げてくれます。内容はその名の通り「ウォーキングをして健康になろう」というものです。そして上士幌には、歩くだけでさらに特典がある楽しい仕組みがあるそうで、それが町民のモチベーションにもつながっているとのこと。
詳しく聞くと、町が行っている健康ポイント事業の一環で活動量計の歩数が健康ポイントとして還元できる仕組みがあり、歩いて貯めたポイントで商品券と交換できたりするそうです。素敵な取り組みですね。本日のイベントでも多くの参加者が町から配布された活動量計を持参していました。
イベント開始
まずはしっかり準備運動。今回初めての参加者は私たちのみ。他の町民の皆さんは常連さんのようで、慣れた動きで体を温めていきます。
今回のルートはわっかから航空公園まで、約1.6kmの道のりです。航空公園までの道は真正面にナイタイ高原が臨める絶景ルート。まさに十勝晴れと言える快晴で、歩いているだけでも最高に気持ち良かったです。
歩いていると、さまざまな景色が見ることができます。本州では見ることがほとんどなかったバラ科の落葉高木であるナナカマドが紅葉で綺麗に色づいていました。
美味しそうだなーと見ていると「ナナカマドの実は渋くとても食べられるような代物ではないよ」と参加者の方が教えてくれました。それどころか、果実には毒性のある「シアン化合物」が含まれているため、無暗に食べるのは危険とのこと。ベリーが大好きな私は危うく口に入れるところでした・・・。教えてくださってありがとう!
健康ウォーキングで一番楽しかったのは参加者同士の交流でした。歩きながら私たちにもフランクに話しかけてくれます。
「JICAから来たの?」
私の話を聞いてすぐに興味を示してくれた80代くらいの笑顔の素敵なおじいちゃん。
「実は俺も昔青年海外協力隊、行きたかったんだよね。でも長男だから親に反対されて役場に就職したよ。もう既に退職して20年たったな」
健康ウォーキングには毎回参加しているといいます。
「管に繋がれて死ぬよりは元気に死にたいから」
「ピンピンころりですか?」
「ワッハッハハ!そんなところだな」
「息子には上士幌に残ってほしいと言ったことは一度もないけど、でも一人はこっちで暮らしているよ。俺は台湾とベトナムに旅行するのが今の目標なんだ」
かつて同じ志をもった人。長男としての役目を全うし、前を向いて足取り軽く進む様子からは上士幌という土地で生きてきたことへの後悔は全く感じられません。私も頑張らなくちゃ、そう背中を押された気がします。
上士幌出身の佐藤さんはこの町についてこう語ってくれました
「車でちょっと行けばなんでもそろうし、生活に不便はないよ」
「気球にはのった?私は大雪山に沈む夕日が上士幌の景色で一番好きなんだよね」
みんなそれぞれ歩みを進めながら、これまでの人生のこと、趣味のこと、上士幌町のことを語ってくれました。
皆さんの前向きで明るい表情からはここ上士幌町への愛情がひしひしと伝わってきます。
会話に花を咲かせながらふと目を横にやると、子どもたちがまちなか農園で大根堀り体験をしていました。幼稚園児の野菜収穫体験でも、立派な大根が次々に抜ける。それもここ上士幌町の魅力のひとつ。
町民の方とお話をしながら楽しく歩いていると、あっという間にゴール地点に到着。歩き始めに感じた寒さもすっかりどこかに行き、そよ風が気持ちよく汗を乾かします。参加者の皆さんはさすが、歩き慣れているようでまだまだ元気が有り余っている様子。私たちもちゃっかり記念品として東京オリンピックのバッチをいただきました。
イベントはここにて終了
ご褒美
帰り道にはご褒美と決めていたこれを!
上士幌の名物。ドリームドルチェのジェラート。来た道中に通りかかったときから、絶対に帰りに立ち寄ると決めていました。ウォーキング後に青空の下で食べるアイスクリーム、最高です。歩いたカロリーは全て飛んでいった気もしますが(笑)。
ドリームドルチェのジェラートは種類がありすぎて、何度も来て新しい味を試したくなります。
すっかり上士幌ならではのウォーキングを満喫してしまった私たち。健康ウォーキング、そこで出会ったのは上士幌という町に誇りをもつ心も体も健康な町民の方々。本当にこの町に来てよかったな、そう思えるひと時でした。