“なりたい”を“なりわい”に変える場所「ハレタかみしほろ」~なりわい支援のご紹介~
まちづくり会社では、
上士幌町で何かをはじめたい…
起業に興味があるけれど何から手をつけたらいいか分からない…
上士幌町の資源を活用して何かできないか…
といった、上士幌町での起業や地域おこしに興味・関心のある方に向けたなりわい支援のプログラムを実施しています。
本記事では2024年度に取組んだなりわい支援についてご紹介します。
※関連記事
2024年度は
・十勝管内の起業家を招いてのパネルディスカッション
・コミュニュケーションデザイナーによるワークショップ
・ハレタかみしほろを活用したトライアルイベントの実施機会提供
・自己理解のためのワークショップ
・事業計画書を書き上げるセミナー、かみしほろ起業塾
を実施しました。
自分の可能性と地域の可能性の重なり合う世界を見出す【自分事と地域事】をコンセプトにパネルディスカッションでは、十勝管内で地域おこし協力隊を経て活躍している方をゲストにお招きしました。
ワークショップも同様のコンセプトで、自分事について言語化をすすめ、グループで共有し、客観的視点から再度自分事と地域事を検証するという内容で実施しました。

個別カウンセリングでは、自分の大事なこと、得意なこと、好きなことを意識化して自分軸で生きるきっかけづくりとして 名の方にカウンセリングを受けていただきました。
また、その延長として、カウンセリングのコーチによるビジョンを可視化するイベントも開催されました。

かみしほろ起業塾では、これまでのプログラムに参加した2組がセミナーを受講し、自分の思い描く事業を言語化及び数値化させました。

まちづくり会社では、来年度もなりわい支援を継続していく予定です。
2025年3月には、上士幌町でのなりわいづくり、地域おこしに興味のある方を誘致するイベント「北海道移住ドラフト会議」にも参加いたしました。

このような取組でできた縁を紡ぎながら、上士幌町での起業や地域おこしに興味・関心のある方が“なりたい”を“なりわい”に変えられるよう、引き続きさまざまなプログラムを実施していきます。
ツナグのリユース品が上士幌高校学生寮で活用されます!
上士幌町がSDGsの推進に向けて実施している事業の1つ、リユース&コミュニティ施設ツナグ。
ツナグにある、町民の方々から持ち込まれた食器が、令和7年度春に新設される北海道上士幌高等学校学生寮で活用されることとなりました!
11.2キロがリユース
学生寮の準備期間に、教育委員会の担当者である石王さん、中津さんがツナグを訪れ、寮で生活する学生が使用できそうな皿、グラスや調理器具など合計で11.2キロのリユース品を選定し、持ち帰られました。
お二人が「この土鍋で鍋パーティーをしたら学生も楽しいのでは…?」
「このグラスは使いやすい大きさだと思う」など、学生寮で生徒がどのように暮らしていくか、想いを馳せながら丁寧に選定している姿がとても印象的でした。

選定中のお二人
お二人からもお話を聞きました。
「上士幌町はSDGsの町であるし、リユースの推進についても積極的に協力していきたいですね。寮の運営がはじまったら、必要なものがより明確になると思うので、今回だけではなく、継続した活用も検討しています。
それと生徒が上士幌町に来たら、自身に必要なものをツナグでそろえてもらうのも良いんじゃないかな。自分自身も、家に使用していないものがあるので、プライベートでもツナグを活用したいなと感じました。」
必要な場所に必要なモノがつながっていく。循環型社会実現のための小さいけれど着実な一歩です。
十勝だからこそ揃いの食器がたくさんある?!
「並んでいるリユース品は町民の皆さんからの持ち込み品と聞いていましたが、揃いの茶碗の数が多くて驚いています。こんなにあるんですね!」

ツナグにあるお茶碗
確かに、運営スタッフも、想定を上回る食器の数やセットに、最初は驚きを隠せませんでした。多いものでは30枚のセットもありました。
しかも状態が綺麗なものが多い…!
持ち込みの受付をする中で、持ってきてくださった農家の方からお話を伺ったところ、昔は、自宅に大勢の人を招きいれる機会が多かったため、数多く食器をそろえる必要があったそうです。
中津さんにそのお話をお伝えしたところ「なるほど。農業が盛んな十勝だからこそのエピソードですよね。全国から来た生徒には、文化的な学びにもなるなと思うので、リユースの推進とともに伝えていきたいですね」とお話されていました。
たしかに、私たちが参考にさせていただいた他の地域の施設では、ここまでそろいの食器はなかったように記憶しています。
十勝、上士幌町ならではの暮らしが、リユースをきっかけに次の世代に語り継がれることになります。
上士幌高校学生寮
上士幌高校では、魅力ある高校づくりを推進するため、R6年度より全国から生徒を募集するための取り組みをはじめ、R7年度より学生寮の運営を行う予定となっています。

上士幌高校学生寮(外観)
今後、ツナグにある食器だけでなく、廃校となった学校の消耗品も活用していく案もあるそうです。

上士幌高校学生寮(個室)
今回選定したリユース品は、寮で提供される食事や、土日に生徒が自炊を行う際に使用される見込みです。

上士幌高校学生寮(リビング)
リユース品がツナグ未来
運営スタッフは、「お茶碗など家庭では一度必要数をそろえると事足りるので、なかなか持ち帰りがされず、もったいないなと思っていたところなので、上士幌高校の学生寮で使用いただけることとなり、嬉しいです。持ち込んでくださった方も『誰かの役に立てば嬉しい』とおっしゃられていましたので、良かったです」
「リユース品はどなたでもお持ち帰りいただけるし、そろいの食器や、中には未使用品もあります。事業を行っている方にも、食器などを新調する際には、その前にぜひ一度ツナグを覗いていただきたいですね」
と話していました。
最近は、近隣市町村からのお客様も増えており、リユース品を喜んで持ち帰ってくださっています。また、ツナグでの会話をきっかけに人と人とが新たに知り合う場面も何度かありました。

ご利用いただいている様子
モノを循環させ、もったいないの気持ちを次の方にツナグことで、人と人もツナグ場所。今回は上士幌高校とつながりました!
ツナグは、これからもリユース品を通して人と人をツナグ場づくりを続けていきます。
スマホロ通信第32号(2025年3月発行)
スマホロ通信32号ではバルーンアプリの「ポイントギフト」の機能を紹介しています。

裏面では「スマホ初級教室」開催のお知らせを掲載しています。

楽しい会話と笑顔が元気の秘訣! シニアコミュニティ「おまめの日」
「おはよう! 元気?」「この前、●●さんがね…」「昨日食べた●●がおいしくて…」と、楽しい会話が聞こえてきます。ハレタかみしほろでは、12月~3月の冬季に毎週1回、町のお母さんたちが集まる「おまめの日」を開催しています。今回は「おまめの日」をご紹介します。
「おまめの日」は、冬季間にシニア層が集うコミュニティ
「おまめの日」は、まちづくり会社(生涯活躍のまちかみしほろ)で2023年度から始まった事業です。
12月~3月の冬季間に週1回程度、70~80代のシニア層のお母さんたちがハレタかみしほろ(以下、ハレタ)に集まり、編み物や折り紙をして手を動かしながら会話を楽しんでいます。
きっかけは、「かあちゃんばあちゃん野菜市」を開催しているメンバー同士の会話から生まれました。
「かあちゃんばあちゃん野菜市」は、春~秋季に週1回、農家のお母さんを中心としたメンバーがハレタで開催している野菜市です。
新鮮な野菜が買えるだけでなく、野菜を購入する町の人たちとの交流もあって毎回大人気のイベントですが、収穫のない冬季はお休みとなります。
毎週顔を合わせていたメンバーも、冬の間は会う機会も少なかったといいます。
そんなあるとき、「冬の間もハレタに集まれたらいいね」という話になり、ハレタのスタッフに相談しました。
そこで検討が重ねられて、2023年度からの事業化につながったのです。

「おまめの日」は、冬季間のコミュニティの場
「かあちゃんばあちゃん野菜市の皆さんのお喋りの中には、野菜の扱いはもちろん、昔ながらの暮らしの知恵や上士幌町の文化など、有益なお話がたくさん詰まっています。野菜市の時期にはなかなか聞けないそんなお話を、冬の間であればじっくり聞かせていただけるとと思いました」と、ハレタのスタッフは言います。
「さらに、シニア層の町民の皆さんの冬季の過ごし方は、私たちも町の課題の一つと感じていました。雪が降ると家がこもりがちになる方も多いので、冬の間もコミュニケーションがとれる場を設けることは、健康維持や介護予防の面からも大切だと思いました。そこで、共助の仕組みづくりを進める生活支援体制整備事業、そして多世代間のコミュニティ醸成事業にもつながるものとして、冬季のシニア層の場づくりを事業化することにしたのです」
こうしてスタートした事業が「おまめの日」です。なぜ「おまめ」としたのでしょうか。
「『まめ』という言葉には、手間を惜しまずに物事に励むこと、体が丈夫で健康なこと、まじめであること、実用的で役に立つこと……といった意味があります。ハレタに集まるお母さんたちと接して、郷土料理のレシピを教えてもらったり、時には昔の上士幌町の暮らしぶりや知恵袋のような話を聞いたりするうちに、お母さんたちの様子が『まめ』という言葉の意味にマッチすると思いました」(ハレタスタッフ)
頭と手先を使う「折り紙」でフレイル予防に
2025年1月のある火曜日、この日もハレタに野菜市のメンバーたちが集まりました。「おはよう」「今日は寒いね」なにげない会話から、自然に会が始まります。
「おまめの日」は、ただ会話を楽しむ場ではなく、お互いの趣味や特技、学んだことをみんなで共有し、実践する場でもあります。2024年度は、毎回「折り紙」をやっているそうです。
「今日は手裏剣をつくるよ」
そう話すのは、石川福子さん。野菜市メンバーで中心役を務める石川さんは、折り紙の講師役も務めます。

色とりどりの「手裏剣」
「まずは折り紙を正方形にカットして、端を合わせて、折り目をつけて……そう、そう。そしたら広げて……いいじゃない!」
この日は野菜市メンバーのほか、ハレタのスタッフも参加していました。教える石川さんの声にも、徐々に熱がこもっていきます。
「最後はそこを折り込んで、少しずつ広げていって……」
「やった、できた~!!」
「上手、上手!」
「石川さんの教え方がうまいんですよ~」
折り紙ができあがると、みんな笑顔に。
参加者同士で会話も弾み、楽しい時間が流れていきます。
ところで、どうして折り紙なのでしょう。
石川さんに聞いてみました。

みんなで「折り紙」を楽しみます
「昨年(2023年度)は編み物をしていたんだけど、みんな真剣にやるでしょ。そうするとみんな手元に集中して黙々とやるのよね。それだと会話があまりないままに時間が終わっちゃうの(笑)。折り紙なら会話しながらできると思って。それに頭も手先も使うからフレイルの予防にもつながるかなと思ったの」
と、教えてくれた石川さん。もともと折り紙をやっていたのかも聞いてみると、
「最初は教えてくれる方がいたんだけど、毎回は参加できないみたいで、それなら私がみんなに教えようと思って勉強しているの。いまは便利よね。インターネットで調べればいろんな動画が出てきて教えてくれるもの。『おまめの日』の前に動画を見て次はこれを折ろうって決めて、自分でやってみているの。毎回予習してるのよ(笑)」
そう笑顔で話す石川さん。好奇心旺盛でチャレンジングなその姿勢に脱帽です。
若い世代とのコミュニケーションも
折り紙がひと段落すると、みんなで楽しいおしゃべりの時間に。それぞれにお互いを気にかけながら、近況を伝え合います。その時間にたまたまハレタに立ち寄った町の人が「おまめの日」の輪に加わることもあります。
参加者からは「移住してきて知り合いの少なかった自分にご近所さんを紹介してくれたり、相談にのってもらうことも多く、お母さんたちは心強い味方です」「とにかく参加していて楽しい。お母さんたちがいつも楽しいことに全力で取り組んでいる姿勢に刺激を受けます」といった声も聞こえています。
特に若い参加者には、ここでの会話の時間が暮らしの知恵やヒントを得る貴重な場になっているといいます。あるときはアリの撃退方法を教えてもらったこともあるそうです。
「夏になるとキッチンや庭にアリが出て困っていると言ったら、『アリの出るところにコショウをまくんだよ。効くよ!』って教えてもらいました。翌年の夏にアリが出たときに試したら、本当に効果があってびっくり! おかあさんの知恵袋ってすごいなと思いました」
20代の参加者は言います。
「『おまめの日』は心の拠り所のような存在です。普段の生活の中では関わりが持てないようなおばあちゃんたちとお話ができて、心が満たされるんです!これからもずっと続けてほしい」
また、お母さんたちも「みんなの顔を毎週見られることがうれしい」「ここに来るのが楽しみ。面倒と思ったことが一度もなくて、天気が悪くても来ているよ!」と「おまめの日」をとても楽しみにしている様子がうかがえました。

みんな「おまめの日」に集うのを楽しみにしています
楽しく集い、会話をして、特技や趣味を共有することでお互いを見守り合い、参加者同士の関係性が強くなることで、共助の関係性づくりにもつながります。
上士幌町に元気なシニア層が多いのは、こうした取り組みを通じて町のいろいろなところに町民の居場所があるからかもしれません。
「おまめの日」「かあちゃんばあちゃん野菜市」は、ハレタかみしほろで開催しています。ぜひ一度足を運んでみてください。