インタビュー「MY MICHI プロジェクト」が目指すもの
2020年度から新たにはじまった「MY MICHI プロジェクト」は、日本全国の若者たちと上士幌町をつなぐプロジェクト。若者たちが上士幌町に1カ月間滞在して共同生活を送りながら、人や自然、産業など、上士幌町の資源を活用したさまざまなプログラムを体験します。この事業を企画した西村剛さんに、プロジェクトへの思いを聞きました。(制作・ホロロジー編集部)
プロフィール・MYMICHIプロジェクト担当
西村 剛さん
大阪府出身。広告代理店を経営する傍らで、起業支援や被災地支援などにも関わる。2018年に上士幌町に移住、(株)生涯活躍のまちかみしほろに参画。「若者の可能性を広げたい」との思いから、「MY MICHI プロジェクト」を企画。
参加者に出会いを提供するプロジェクト
――「MY MICHI プロジェクト」とは、どのような事業なのでしょうか。
西村:一言でいえば、若者に「新しい出会い」を提供するプロジェクトです。僕は出会いとは偶発的なものだと思っているんです。でも、ある一つの出会いが人生を変えてしまうこともありますよね。それをプロジェクトとして用意したのが「MY MICHI プロジェクト」です。僕は「心の琴線に触れる」と表現していますが、琴線となる出会いをこの上士幌町で用意して、それを参加者に体験してもらうイメージです。
――なるほど。具体的にはどんなことを?
西村:参加者はこの上士幌町で1カ月間の共同生活を送りながら、町の資源を体験していきます。それは町に住む人だったり、自然だったり。例えば、三国峠からのサイクリングや糠平の大自然でのネイチャートレイル、広大な牧場の敷地内でのウォーキングなど、どれもこの上士幌でしかできない体験なんです。糠平や三股に行くとその自然のスケールに圧倒されますよ。それが都会の若者から見れば今までにない体験になる。「一生忘れられない体験」って素敵じゃないですか。それを日常から少し離れたこの上士幌町で体験してほしいんです。
――聞いているだけでワクワクしますね。
西村:町に住む人たちとの出会いもあります。上士幌町には、自分の好きなことを長く続けていたり楽しんでいる人が多いんです。例えば、50年以上も木彫りの熊を彫り続けている人がいる。その人は、ただ好きだから熊彫りを続けているんです。この上士幌で革新的な取り組みに挑戦する人たちや、この町に来たことで夢を叶えた人たちもいます。そんな町の人たちと接して生き方に触れていく。そんな体験を通して、参加者それぞれが「自分の道」に出会えてくれたらなと思います。
――なるほど、それで「MY MICHI(マイミチ=自分の道)」なんですね!
西村:良いネーミングでしょ(笑)。
実体験がプロジェクトを生むきっかけに
――お話を伺っていると、すごくたくさんの町の方たちが関わりますね。そしてそれがこのプロジェクトの要であるように思えます。
西村:この「MY MICHI プロジェクト」は、若者が単に上士幌町に来て過ごすだけのプログラムではありません。この町の人や自然といった資源が、どれほどの価値を持っているのかが試されるプログラムでもあると思っています。参加してくれた若者にこの町の資源がどれだけの刺激を与えられるかが知りたいんです。
――なるほど。
西村:それは自分が移住者としてこの上士幌町で生活をして、この町の資源に出会えたからこそ、自信が持てる部分でもあるんです。僕自身が上士幌町に来て町の人たちと出会い、町の自然や歴史を知り、体感することで多くの刺激を得ました。上士幌町には、本当に素晴らしい資源があると思ったからこそ、このプロジェクトを企画したんです。この町はとても大きな可能性を持っていますよ。
――ご自身の経験も、このプロジェクトを生むきっかけになっているのですね。
西村:はい。僕は大阪で広告代理店を経営していたのですが、あるとき無理をして体調を崩してしまったんです。それで会社をほかの人に任せて、少し休むことにしたんです。そんなときにご縁があって十勝と出会いました。それまで「回復できるのだろうか」とか「この先どうしよう」などと、自分の生き方とうまく向き合えないモヤモヤしていた気持ちがあったのですが、十勝に来てこの大地に住む人たちとの出会いや体験を通していろんな気持ちが整理されて、前を向けるようになった。この体験を、特に若い世代の子たちにも追体験してほしいと思ったんです。
――西村さんご自身が、この十勝で経験したことが原点になっているんですね。
西村:そうです。それから時を重ねて2018年に上士幌町へ移住し、「MY MICHI プロジェクト」に挑戦しています。
――十勝と出会い、上士幌町に移住したことで、今も自分の「MY MICHI」を歩み続けているんですね。
西村:カッコよく言えばそうですね(笑)。
生き方には選択肢があることに気づいてほしい
――参加対象を若い世代に絞っているのは、理由がありますか?
西村:今、20〜30代で「自分探し」をしている若者ってすごく多いと思うんです。特に都市部では「本当の自分てなんだろう?」とか「本当にこれが自分の望んだ生き方なんだろうか?」といって、モヤモヤした毎日を過ごしている若い子たちって、たくさんいるんだろうなと。でも僕は、モヤモヤした状態は決してネガティブなものではないと思っているんです。悩んだりモヤモヤしているのは、前に進みたいと思っているからなんですよ。
――はい、わかります。
西村:モヤモヤしていることで、自分と真剣に向き合うこともできる。でも向き合いすぎると、逆に自分を追い詰めてしまうこともあると思う。そうなる前にこの「MY MICHI プロジェクト」で、上士幌町で暮らす人たちに触れ、「こんな生活や生き方もあるんだ」ということに気づいてほしい。人生の道は一つだけじゃない、選択肢はたくさんあるし、そこに気づくことが大事なことだと思うんです。
――確かに、悩んだり迷っているときこそ、視野を広げることは大切ですね。
西村:先ほど、木彫りの熊を彫っている方がいると言いました。その方に「すごいですね」と言っても「いや、俺はこれしかできんから」って謙遜するんですよ。でもその姿勢から、木彫りへのプライドや向き合い方がわかる。誰かに認められるためではなく、本当に好きなことを、人生を通してやり続けているんだということがわかる。そんな人と向き合っていると、自分の人生や生き方について考えさせられますよ。
――なかなかできることではありません。
西村:でも僕たちから見ればすごいことでも、その人にとってはそれが「普通」なんです。そんな「普通」を見ていると、それが生きるということなのかなと思う。そんな人たちと関わることで、自分の道が見つかることもあるんじゃないかって思うんです。
町と「関係」を持つ人たちを増やしていきたい
――このプロジェクトは、最終的には若者の「移住」を目指しているのですか?
西村:いえ、移住ではなく上士幌町の「関係人口」を増やすことが目的です。上士幌町の人たちは、外から来た人を本当に温かく受け入れてくれるんです。都会から自分の道を探している若者が来る、それを町の人たちが受け入れる。そこに新しい出会いが生まれる。その循環をつくりたい。
――出会いの循環。素敵ですね。
西村:上士幌町の関係人口施策のモデルは「MY MICHI プロジェクト」ですと言えたら、すごく素敵なことだと思うんです。1カ月という時間をこの町で過ごすことで、抱えていたモヤモヤが少しでも解消されたり、自分の進む道が見つかったなら、その事実こそがこの町との「関係」だと思う。
――このプロジェクトは「関係づくり」のきっかけということですね。
西村:そう、きっかけです。でもそのきっかけが、後の人生で大きな意味を持つきっかけになってほしい。それは参加者だけでなく、町の人たちにとっても同じです。
――町の人たちも参加者と触れ合うことで、得られるものがある。
西村:上士幌町には、本当にいろいろな人がいます。釣りが大好きで、自分で釣った魚を調理して振る舞ってくれる人。庭仕事が得意で、高齢者ができなくなった庭仕事を率先して手伝ってくれる人。みんな「大したことないよ」って謙遜するんです。でも僕にはそれがすごく輝いて見える。そんな素敵な人たちも、このプロジェクトを通じて若者に見せていきたい。
――先ほどの言葉でいえば「普通」に「すごい」人たちが、この町にはたくさんいるということですね。
西村:冒頭に、このプロジェクトは「若者に新しい出会いを提供する」と言いました。でもそれは町の人たちにとっての出会いでもある。町の人たちも、若者と接することで自分たちが持っている価値や可能性に気づいてほしいと思う。そこに関係が生まれていく。そうやって、上士幌町と関係を結んでいく人たちが増えていったら、それはとても素敵なことだと思うんです。
2020年11月、全国から5人の若者が上士幌町に集まり、「MY MICHI プロジェクト」は本格的にスタートしました。彼らはこのプログラムを通じて、「心の琴線に触れる」多くの出会いがあったそうです。
インタビュー中、西村さんは何度も「出会い」という言葉を口にしました。新しい出会いを提供することで、それが参加者と町の人たちそれぞれに影響し合い、新たな気づきや選択肢へとつながっていく。それが時に人生の大きな分岐点となることを西村さんは知っています。
だからこそ生まれた「MY MICHI プロジェクト」。この事業を通じて、多くの出会いが生まれていくことを願っています。
※「MY MICHI プロジェクト」の事業内容については、こちらの記事をご覧ください。
こでまりの「気まぐれ食堂」が1日限定復活! ~野菜市から始まった石川福子さんの賄いランチ~
JICA訓練生として上士幌町に2020年8月から約5カ月滞在した中で、私たちが一番お世話になったといっても過言ではない、石川福子さん。上士幌に来たときからお漬物や手作りのお惣菜を持たせてくれたり、一緒にカニ汁やすき焼きを作ったり、私たちにとっては上士幌のお母さんのような存在でした。2020年11月に石川さんが「ハレタかみしほろ」で1日食堂を開催された際の訪問レポートに合わせて、石川さんのこれまでのことを伺ってきたので、ぜひご覧ください!
WRITER
中山 舞子
1992年生まれ。千葉県在住。青年海外協力隊としてインドに派遣予定。海外派遣の目途がたたない現在、上士幌町に5ヶ月間滞在中。外からの目線で上士幌の魅力を掘り下げて行きます!
気まぐれ食堂
石川さんと出会ったのは、毎週水曜日に上士幌町内のカフェ『一休』さんで開催している「かあちゃんばーちゃん野菜市」がキッカケです。石川さんは現在6人でやっている「かあちゃんばーちゃん野菜市」の最年少メンバーであり、リーダーです。石川さんはとにかくかあちゃんばーちゃんのために、そして町民のためにと試行錯誤を繰り返しながらここまで野菜市を続けてきました。
そんな石川さんは、2016年頃から上士幌町の地域交流スペース「こでまり」で「気まぐれ食堂」を開催し、町の多くの人たちへ母の味を提供してきました。現在はコロナ禍ということもあり、休業中。そんな誰もが待ちわびている大人気「気まぐれ食堂」がハレタかみしほろで1日限定で開催されるとのことで、行ってきました。
ちなみに「こでまり」で開催されていたときの様子がこちらの写真。こでまり時代の「気まぐれ食堂」はセルフ方式で、ご飯や野菜たっぷりのおかずが取り放題だったそうです。
盛り付けると写真のような感じになるのですが、これで500円とは破格です!上士幌に滞在している間に経験したかったなとつくづく思います。
「気まぐれ食堂」は町民みんながずっと待ち望んでいた石川さんの味。メニューはカレー限定で開催されました。
当日のお昼どき、店内を覗いてみるとほぼ満席。厨房では石川さんとお手伝いの八重樫さんの2人で手際良く注文をさばいています。八重樫さんは日頃から石川さんの大の仲良し。こでまりの気まぐれ食堂のときから一緒に厨房に並んでいただけあって、阿吽の呼吸で次々に料理が出来上がっていきます。
今回、いただけるのは700円の野菜カレーランチ。4つまとめた注文にもかかわらず、数分も待たない内に「できたよー!」と声がかかりました。おおー!これは豪華だ!と写真を撮っていると、にっこり笑顔を向けてくれました。
石川さんも久しぶりの気まぐれ食堂、忙しそうだけどとっても嬉しそう。さっそくいただきます!
大根サラダとかぼちゃのサラダ、お漬物つき。カレーは甘めでとっても優しい味。ボリュームたっぷりで男性でもお腹いっぱいになりました。
石川さんに聞くと、お肉が食べられない人もいるので具材はお肉ではなく、おでんの具を入れているのだとか。出汁が効いていて少し和風な味付けです。かぼちゃのサラダにはレタスを敷くことで洗い物が楽になるなど細かな工夫が施されており、さすが長年食堂をやってきた知恵と経験が詰まっています。
再開するか否か複雑な気持ち
テキパキとかなりせわしなく、でもとても楽しそうにカレーを作る石川さんが忘れられず、後日お時間をいただいて、気まぐれ食堂とその始まりである「かあちゃんばーちゃん野菜市」についてお話を伺ってきました。
2020年10月18日に行われた一休35周年イベントにて。この日は特別に店の前にかあちゃんばーちゃん市の野菜が並びました。※2021年1月現在、野菜市は新型コロナウイルスの影響により休業中。
石川さん、カレー美味しかったです!
みんな喜んでくれて良かったわ。提供するお米の量を多くしすぎて、お米二升炊いたのに足りなくなっちゃったの。
ボリュームがあってすごい満足感がありました。今回の開催は皆さん心待ちにしていたと思いますよ。
あまりチラシも配らずに宣伝もしなかったんだけど、途切れず人が来てくれたの。700円は高いかなと思ったんだけど、みんなに美味しいって喜んでもらえて良かった。
あれで700円はお得すぎますよ!
そう言ってもらえると嬉しいわ。みんなに次いつやるの~?って聞かれるんだよね。
次も楽しみにしてます!
1日限りだから。ははは(笑)。
気まぐれ食堂ができた理由
そんな町の人から愛される「気まぐれ食堂」が始まったのは、定期的に開催している「かあちゃんばーちゃん野菜市」がきっかけでした。
ところで野菜市はいつ頃から始まったのですか?
私は初期のメンバーではないんだけど、20年以上も前からだよ。昔は国道沿いの空地で土日にやっていてね。最初の頃は野菜市のメンバーも10人以上いたんだよ。国道沿いだから通りすがりのお客さんも多くて、宅配サービスだってあったんだから。
20年!?そんなに長い歴史があったんですね。
でも2015年に上士幌の福祉施設に「こでまり」という地域密着型の交流スペースができたのがキッカケで開催場所が移ったんだ。私が野菜市のメンバーに入ったのも場所が移ったあとのこと。
なるほど。
もともとたくさん人数がいた「かあちゃんばーちゃん野菜市」も、そのときには4人になっていたの。それまでも一緒にやらないかって誘われていたんだけど、忙しいことにかこつけて断っていたの。だけど、ちょうどその頃に夫が病気で亡くなってね。私も今後どうしようかと思っていたところに『ふっちゃん一緒にやらない?』と誘ってくれて、それで参加することにしたのさ。
そうだったんですね。
そして、野菜市に参加しているうちに気づいたの。野菜市が終わったあとに、みんなで団らんしながらご飯を食べていたんだけど、ランチを食べる場所がないから、コンビニにおにぎりを買いに行ってたの。でもそれだとあまりに味気ないなと思って。せっかく調理場の環境もあるし、何か作れないかなと思って賄いのようなものを始めたんだ。
気まぐれ食堂は野菜市の賄い作りが始まりだったんですね。
そうそう。それが500円ワンコインランチのはじまり。お蕎麦やご飯、それにたくさんおかずを作って行ってたんだよ。正直、赤字だったけど、野菜中心の料理をたくさん作っていると、みんなにすごい喜ばれてね。
それは羨ましい!お話を聞いているだけでみんなが喜んでいる姿が想像できます。みんな、石川さんの食堂の再会を待ち望んでいますよね。
2020年の2月までずっと欠かさずに続けてきたんだけれど、あの日のことは忘れもしないよ。その日も翌日のカレーを全部仕込んで用意していたんだけど、当日に中止の連絡が入って。何とかその日に用意していた分は施設の職員さんとかに食べてもらえたけど本当にショックだったよ。それ以来、仕方がないけれど、こでまりでの開催はできなくなってね。ばあちゃん方も急に野菜市がなくなって、家から出なくなったでしょ。
そうですよね。なかなか外には出られないですよね。
何もできない期間が長く続いて、顔を合わすことすらなかったんだよね。そんなときに、すっかり外との交流がなくなってしまったばあちゃん方を心配した一休さんが声をかけてくれたんだ。「うちで野菜市をやらない?」って。
それで野菜市が一休さんにまた移ったんですね。
始まったら、またみんな顔を合わせられるでしょ。みんな元気を取り戻してね。「週1回来るのが楽しみだ」とみんな言ってくれるようになったのよ。
良かった!ここで開催できるまでにそんな背景があったんですね。
気まぐれ食堂も野菜市も大変だったから、一度なくなると再開するのは勇気がいるからね。でもやっぱり野菜市をやり出したらメンバーのばあちゃん方が楽しいって言ってくれて、野菜がほしいというお客さんもいるし、みんなが喜ぶ。やって良かったと思うよ。
石川さんが野菜市を再開してくれなかったら、私たちも石川さんと出会ってなかったかもしれないですよね。
そうだね。コロナは悪いこともたくさんあるけど、良いこともある。こうしてみんなが上士幌町に来てくれたのもコロナのおかげだもんね。
本当にそうですよね。上士幌町に来られてこうして皆さんに会えたことに関してはコロナに感謝してます!
今考えたら、あのとき西原さんたちが誘ってくれて本当に良かったなと。誘われていなかったら今の野菜市もないし、気まぐれ食堂もなかったし。私がこうして楽しく暮らせるのも全部野菜市をやっていたおかげだから。
きっとおばあちゃんたちも、石川さんがあのとき入ってくれて本当に良かったと思ってると思います。
たくさんの人が「野菜市に来るのが楽しみ」って言ってくれるのが何より嬉しいのさ。ばあちゃんたち、もう80歳よ?何であんなに元気なのか分からないってくらい元気だよね。
本当にそうですよね。私たちも野菜市に行っては元気を与えるどころか、むしろ私たちの方がおばあちゃんたちにいつも元気をもらってます。
今が楽しい
今、私本当に楽しいの。こうして好きなことをして暮らせているのが。こんな人生ってないよね~。でも若い頃はその分たくさん苦労があったから。
ご主人が闘病生活を続けていた頃、5年間1日も欠かさず隣町の病院まで通っていたという石川さん。亡くなる3カ月前にご主人がずっと行きたがっていた知床に旅行に連れていけたのが何よりの思い出だと、当時のことを話してくれました。
私もうこれからの人生は自分のことしか考えないことにしたの。だって明日のことはどうなるか分からないから。
「悔いはないよ」。そう語る石川さんはあまりにも逞しく、そして優しい。話せば話すほど魅力がどんどん溢れてくる石川さんのそのお人柄こそが、野菜市も気まぐれ食堂も町民にずっと愛される理由なのだと、確信しました。
コロナでまた現在お休みとなってしまっている野菜市。コロナが落ち着いて、かあちゃんばーちゃんたち達の野菜が買える日が、そして石川さんの手作りランチを食べられる日が1日でも早く来ますように。私たちだけでなく町のみんながその日を待ち望んでいます。
高い満足度を得られた「初心者向けスマホ講座」シニア世代が受講した理由とは?
「かみしほろ人材センター」では、1月に主にシニア世代を対象とした「初心者向けスマホ講座」を開催しました。のべ10名の方が参加し、講座後にヒアリングしたアンケートでは9割が「理解できた」と回答、高い満足度を得ることができました。参加者はどんな動機で何を知りたくて受講したのか。2組の参加者にお話を聞きました。(制作・ホロロジー編集部)
この講座を企画したのは2020年8月から上士幌町に滞在し、12月からかみしほろ人材センターの会員として地域の課題解決の活動をしていたJICA訓練生たち。
活動期間中に「スマートフォンを買ったけれど、使い方がよくわからない」「子どもや孫に使い方を聞きたいけれど、遠方に住んでいるから気軽に聞けない」といったシニア世代の声を聞いたことがきっかけです。
「スマホを使いたいシニアの方たちがいる。でも、使い方がわからなくて困っている方もいる。ならばそんな人たちのために使い方を教えたい」
そんな思いから実施しました。
お話を伺ったのは、堀口くに子さんと斉藤勝英さん・美恵子さんご夫妻です。皆さんそれぞれ「受講して良かった」と感想を伝えてくれました。
堀口くに子さん「孫に写真を送ってみたい」
「スマートフォンを持ったのですが、何ができるのか、どう使うかがよくわからなくて。それで教えてほしいと思って参加しました」
そう話すのは堀口くに子さん。堀口さんは2020年の秋に初めてスマートフォンを手にしました。お孫さんたちからの「そろそろスマホを持ったら?」「アプリを使えば通話も無料だし、写真も簡単に送れるよ」といった声を聞いて、思い切って購入したそうです。
ですが、持ってみたものの使い方がよくわからない……お子さんやお孫さんは遠方に住んでいるから気軽に聞くこともできない。どこか教えてくれるところはないものかと探していたところ、新聞に折り込まれていた講座のチラシが目に止まり、申し込みました。
「孫が、メッセージアプリを使えば簡単に連絡を取り合えると言っていたものですから、その使い方が知りたいと思いました」と堀口さん。
講座では、スマートフォンの基本的な操作やメッセージアプリの使い方を学びました。アプリを使ってメッセージを送ってみたり、写真を撮ったり。
「初めはできるかどうか不安もありましたが、基本的な操作方法からとても丁寧に説明してくださって、わかりやすかったです。写真や動画もやってみたらとても楽しかったし、思っていたよりも簡単そうで、これなら私にもできるかも、と思いました」と、話してくれました。
「アプリの画面はこうやって見るのね」
「すごい! 文字だけじゃなくてスタンプも送れる!」
「写真も思っていたより簡単に送れるのね」
アプリでできることを一つずつ教えてもらっているうちに、操作が楽しくなってきたという堀口さん。最後に、講座で学んだことで何をしてみたいかを聞きました。
「写真の撮り方を覚えたので、さっそく孫に写真を送ってみたいです。上士幌町内でスマートフォンのことを教えてもらえたことも、とても嬉しかったですね。また別の講座などがあればぜひ参加したいです。ありがとうございました」
斉藤さんご夫妻「いくつになっても刺激は必要」
「私の姉がスマートフォンを使っていて、『メッセージアプリはすごく簡単よ。あなたはやらないの?』と言われていたんです」
そう話す斉藤美恵子さんは、ご主人の勝英さんと一緒に講座に参加しました。勝英さんは1年半ほど前からスマートフォンを持っていましたが、うまく使えていなかったといいます。
「ただ持っているだけで、ほとんど使えていませんでした。1年以上持っていましたが、ほとんど初心者ですよ。妻がたまたまチラシを見つけて参加するというので、ちょうどいい機会だから2人で参加しました」と勝英さん。
美恵子さんは「私は主人より先にスマートフォンを持っていましたが、通話とメールくらいしか使っていませんでした。周りでもスマートフォンを使う人が増えてきて、私ももっといろんなことを覚えないといけない、と思って申し込みました」と、参加の動機を伝えてくれました。
実際に参加してみて美恵子さんは「今までよくわからなかったメッセージアプリについて教えてもらえたことが良かったです。文字だけじゃなくて写真を送ることもできるんですね。絵文字が使えることと、アプリで通話もできること、スタンプが送れることを覚えましたよ」と話します。
そして「何より良かったのは、まず覚えようと思うきっかけが作れたこと」と言うのは勝英さん。
「歳を重ねていくと、新しいことを覚えることが難しくなってくる。今は新聞やテレビだけじゃなくてインターネットなどからもたくさんの情報が入ってくるでしょ。少しでも頑張って追いかけていかないとね」
そう話す勝英さんは、「Wi-Fi(ワイファイ)って何? アプリって何のこと?」と、講座に参加して初めて耳にする言葉も多かったと言います。それでも一つずつ覚えていこうと、わからないことには熱心に質問を重ねていました。
「マンツーマンで丁寧に教えてもらえたことも良かったですね。この年齢になると一度聞いてもすぐには理解できません。『それはどういうことですか?』と何度も聞けたので、少しは理解が進んだかな」と勝英さんは話してくれました。
「今回教えてもらったので、まずは姉にアプリで文字やスタンプを送ってみようと思います。最初は難しいと思っていたけれど、使っていけば慣れてくると思います」と美恵子さんが言えば、「うん、慣れれば使えると思う」と応える勝英さん。
「意識して頭に刺激を入れていかないと衰えていくだけだから。いくつになっても刺激は必要ですよ」
お二人からは新しいものを避けるのではなく、積極的に触れていこうという気持ちが伺えました。
「スパイス料理を教えてください!」に応えました!
2020年12月に私たちJICA訓練生は「町内の方々の困りごとを、訓練生が人材センターの会員として自分たちの得意分野を活かして解決します」という企画を行いました。すると「スパイスを使った料理を教えてほしい!」という依頼が。私はもともと料理が好きで、学生時代も家で海外の料理を作り、その国に思いを馳せることが趣味でした。今回はスパイスを使った料理ということで、クラフトキッチンをお借りして依頼に応えました!
WRITER
渡邉 史也 (わたなべ ふみや)
JICA訓練生。1997年生まれ。茨城県出身。上士幌町のあらゆる人、場所、生業に広く目を向け、自分の琴線に触れるものをどんどん紹介していきたいです。
私たちJICA訓練生は、2020年8月に海外派遣前の訓練として上士幌町にやってきました。それから約3カ月間、さまざまな活動をしていく中で、多くの方にお世話になりました。
そこで町の皆さんに何かお返しをしたいという思いから、12月にかみしほろ人材センターの会員登録をさせていただき、「町内の方々の困りごとを、自分たちの得意分野を活かして解決しよう」という企画を始めました。
今回の依頼では、私の得意分野である料理を活かして、スパイスを使った料理を作ることに。依頼主の中津さんは、「普段から料理はするけれど、いつも似たような味になってしまうのでバリエーションを広げたい」とのことで、まだ作ったことのない、スパイスを使った料理を教えてほしいと話していました。
「スパイス料理を教えてください」
スパイスを有効活用した料理を作ってみたいけど、自分だとイマイチ分からなくて困っているんですよ。
確かに知識がないと、いざ使おうと思っても、このスパイスならこの料理に! とはなりづらいですよね。
そうなんですよね。そんなときに皆さんが配っていたチラシに「世界の料理作ります」とあったから、ちょうどいいところに! って思ったんですよ(笑)。世界の料理だったらスパイスを使った料理もたくさんあるんじゃないですか?
大丈夫です。任せてください!!
そして始まったスパイス料理企画。今回、中津さんを含めて4人の方に料理を教えることになったため、4人分の料理を作れる広いキッチンがある場所を探すことに。どこがよいか・・・
そうだ、上士幌でスパイスといえばクラフトキッチンだ! クラフトキッチンは1時間500円で、キッチンスペースのレンタルを行っています。その際食材や調味料、調理器具は持参となりますが、誰でも借りることができて、使い勝手は最高です。
せっかくクラフトキッチンで料理をするのであれば、スパイスもクラフトキッチンのものにしよう!ということで、今回はこの中から6種類のスパイスを使うことにしました。
そして今回作った料理は以下の5品です!
・蒸し鶏
・2種のスパイスからあげ
・フリッタータ
・ベイクドポテト
・チリトマトスープ
お料理開始!
日本になじみ深い料理も入っていますが、スパイスを使うことで味がガラリと様変わりします。ちなみに今回使う食材と調味料はこちらとなっています!
今回はレシピを教えてほしいとの依頼でしたので、皆さんには料理のお手伝いもしていただくことにしました。
卵を割って・・・
フライパンで焼きます!
一口サイズにポテトをカット!
まんべんなく炒めます!
皆さんにお手伝いいただき、これですべての料理が完成! さっそくテーブルに運びましょう!
料理の詳しいレシピは別の記事で紹介していますので、そちらもぜひご覧ください!
スパイス料理の出来栄えは!?
出来上がった料理を囲み、みんなで「いただきます!」
「おー! カレースパイスのからあげおいしい! ケイジャンもあんまり辛くないから子供でも食べられそう!」
「ベイクドポテトもホクホクでおいしい!」
「フリッタータはぱさぱさでも生でもなく、ちょうどいい焼き加減だね!」
「ハーブの香りがするけど味までハーブってわけじゃないんだ~」
「蒸し鶏もディルの香りはすごいけど、食べると全然感じない! これいいかも!」
「チリトマトスープはピリ辛だね、けどショウガも入ってるからか、すごい温まっておいしい!」
旅するスパイスでおいしく変身した料理ですが、どれも大好評でした! みんなで作ったという事実もまた、料理をおいしくするスパイスだったのではないでしょうか?
作るとなるとハードルが高いように感じてしまうスパイス料理ですが、コツさえ掴めばそれほど難しくありません。中津さん、今回の料理はいかがでしたか?
大満足です! ちょっとスパイスで一工夫するだけで、普段作っている料理が全然違う味になるんですね。これから料理の幅が広がりそうです。ありがとうございました!
こちらこそ、ご依頼ありがとうございました!
今回依頼をしてくださった皆さんも大変満足していただけたようなので、私自身も、もっともっと料理の幅を広げ、さまざまなレシピに挑戦してみたいです。
今回作った料理の詳しいレシピは、こちらからご覧ください!
日々の料理にひと工夫!スパイスを使って簡単味変!「スパイス料理を教えてください!」〜レシピ紹介!
ある日、かみしほろ人材センターに届いた「スパイスを使った料理を教えてほしい」という依頼。それに私フミヤが、クラフトキッチンのスパイスを使って5品の料理を作って応えました。その料理のレシピをお伝えします! ぜひ皆さんも挑戦してみてください!
「スパイスを使った料理を教えてほしい」依頼記事はこちら!
WRITER
渡邉 史也 (わたなべ ふみや)
JICA訓練生。1997年生まれ。茨城県出身。上士幌町のあらゆる人、場所、生業に広く目を向け、自分の琴線に触れるものをどんどん紹介していきたいです。
今回作った料理は以下の5品。いずれもクラフトキッチンのスパイスを使用しました!
・蒸し鶏
・2種のスパイスからあげ
・フリッタータ
・ベイクドポテト
・チリトマトスープ
それでは作り方をお伝えします!
蒸し鶏
1品目は北欧風ディルウィドミックスを使った蒸し鶏。ディルウィドは北欧でポピュラーなハーブで、やさしく爽やかな香りが特徴です。北欧のサーモン料理に添えて使われていることが多いですが、今回は鶏肉の下味をつける際に、塩コショウと一緒に馴染ませることでさわやかな香りに仕上げます。
【材料】
鶏むね肉、塩、胡椒、スパイス
【スパイス】
北欧風ディルウィドミックス
調理法はとっても簡単! 下味をつけたらラップとアルミに包んで、沸騰したお湯に浸して放置するだけです。
1. 鶏むね肉を広げて、フォークでまんべんなく刺す。
こうすることで余熱でも中まで火を通しやすくすることができるため、ふっくらとした食感に仕上がります。この時点で鍋に水を多めに入れて沸騰させ始めます。
2. 塩、コショウ、スパイスをまんべんなく塗り込む。
肉に下味を付けます。塩コショウでシンプルに仕上げるのもおいしいですが、今回はディルウィドミックスも使用します。風味付けの意味合いが大きく、味の邪魔をしないので多めにかけてもオッケーです!
3. ラップで包み、その上からアルミホイルで包む。
ラップとアルミで二重に包むことで、熱を通しているときにでるうまみを逃さないようにします。
4. 沸騰したお湯に入れて蓋をして、2時間~2時間30分ほど放置する。
お湯に鶏肉を入れると浮いてきてしまうので、上に重しを乗せるなどして沈むようにしましょう。
ここでポイントなのが、鶏肉を入れて蓋をしたら鍋を火から外すことです。鶏肉は余熱で火を通すことで、旨味がじっくりと肉に染みていきます。またパサパサにならずしっとりとした食感にもなりますよ! ただしあまり寒い場所に置いておくと、お湯の温度が下がるのが早くなってしまい、十分に火が通らないことがあるのでご注意ください!
ここまで来たら後は時間が経つのを待てば完成! 手間をかけずに一品ほしいときに重宝します。
2種のスパイス唐揚げ
2品目は、みんな大好きな唐揚げを熟成カレーパウダーとスパイシーケイジャン&ジャンバラヤミックスで味付けします。ケイジャンのほうは子供でも食べられる程度の辛さなので、辛いものが苦手な方でもおいしく食べられると思います!
【材料】
鶏もも肉2枚、片栗粉、下味(塩、はちみつ、ニンニクチューブ、生姜チューブ、酒、スパイス)
【スパイス】
カレーパウダー、スパイシーケイジャンミックス
1. 一口大に切った鶏もも肉を、塩、コショウ、ニンニク、ショウガ、酒、はちみつ、スパイスと一緒にポリ袋に入れる。
今回は2種類のスパイスで別々の味付けにするため、カレーパウダーとケイジャン&ジャンバラヤを入れるポリ袋をそれぞれ用意します。
すべての調味料をポリ袋に入れたら、よく揉みこんで最低1時間は漬け込む時間を取ります。可能であれば前日のうちに付けておくと、より味がしみ込むのでgood! 使う際は早めに冷蔵庫から出しておいて、常温に戻しておきましょう。
2. 唐揚げ粉(片栗粉でも可)をつけて揚げる。
今回は片栗粉を衣にしました。なるべく余計な洗い物を増やしたくないので、片栗粉を使用する場合はポリ袋の中に片栗粉を入れてしまうと楽ですよ!
揚げる目安となる油の温度は、菜箸を油の中に入れた際にジュワジュワとした音と一緒に気泡が出てくるころです。あまりたくさんの油を使うと危ないうえ、処理が大変なので、揚げ焼きにするような意識で、フライパンの底が埋まるくらいの量にとどめておきます。
油で揚げる際は丁寧に、一つずつ取り出して油に入れるようにしましょう。面倒くさがって一気に袋から直接入れると、油跳ねで火傷してしまう危険性があるため要注意。揚げ物をする際は慎重に!
3. 両面に焦げ色がついたら、取り出して余熱で中まで火を通す。
唐揚げを作る際に気を付けなければいけないのが、中まで火が通っているかどうかです。表面はこんがりきつね色になっていても、中の鶏肉に火が入っているかどうかは食べてみないとわかりません。半生状態にならないようにするためにも、油から取り出したら新聞紙やアルミホイルの上に乗せるなどして、休ませるようにしましょう。この間に余熱で中まで火が通ります! これで完成!
フリッタータ
3品目はフリッタータというイタリア料理で、いわゆる具だくさんの卵焼きです。この料理は地中海風ハーブミックスを使用します。このスパイスはオレガノ、ローズマリー、バジルなどのハーブをメインにミックスされており、香り高い風味となっています。塩が入っていないため、他の味付けの邪魔をせずに料理の個性を際立たせてくれる優秀なスパイスです。
【材料】
卵5個、キノコ1房、たまねぎ1個、塩、牛乳10ml、バター、スパイス
【スパイス】
地中海風ハーブスパイスミックス
1. 熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、先に玉ねぎを入れる。少し火が通ったらしめじも入れ、塩を振ったらどちらもしんなりするまで炒める。
まずは具材の調理から入ります。半月切りにした玉ねぎを先に炒めることで、しめじとの焼き加減に差が生まれないようにします。どちらも焼き色がついてしんなりしたら、さらに移し替えて粗熱を取っておきます。
2. 卵5個をボウルに入れ、牛乳、しょうゆを少々、塩とスパイスを入れたらムラなく溶きほぐす。その後粗熱の取れた玉ねぎとしめじも入れて軽く混ぜる。
ここでポイントとなるのが牛乳を少しだけ入れることです。牛乳を入れると仕上がりがふんわりとなり、パサつきを防ぐことができます。さらにしめじのうまみも入り、味に深みが出ます。
そして登場するのが地中海風ハーブミックスです!
先述した通り塩が入っておらず、味に大きな変化をもたらすことがないので量は多めに入れても大丈夫です!
続いて先ほど炒めた玉ねぎとしめじを投入します。
3. 熱したフライパンにバターを入れ、溶けたら先ほど混ぜた材料を入れる。
ここのポイントは、最初に強火で入れた材料をよく混ぜ、スクランブルエッグになりかけてきたら弱火にすることです。
弱火にしたら、フライ返しを活用して押しつぶすように形を整えていきます。定期的に中まで火が入っているかを確認しましょう。
4. 中まで固まってきたら、ひっくり返して反対側を焼く。
ここは見せ所。フライパンを浮かしてひっくり返すやり方もありますが、今回は安定を取ります。フライパンから滑らせるようにして皿に乗せ、フライパンで蓋をするようにしてひっくり返しましょう!
良い感じに焼けています!! こうなったらあとは焼き色を付けるために中火で焼き色がつくまで焼き、皿にのせれば完成です! おしゃれにパセリをちらしても良いでしょう。
ベイクドポテト
4品目はベイクドポテト。こちらは切ったじゃがいもに、塩コショウとスパイシーグリルバーベキューミックスを振りかけて焼くだけのシンプルなイギリス料理です。
【材料】
じゃがいも、塩、胡椒、スパイス、オリーブオイル
【スパイス】
スパイシーグリルバーベキューミックス
このスパイスは、ジャマイカ原産の香辛料オールスパイスと、タイムやローズマリーなどのハーブ、ガーリックやシナモンなどブレンドしたクラフトキッチンオリジナルのスパイスです。お肉に振りかけて焼くと抜群においしくなるこのスパイス、今回はじゃがいもにかけてみます。じゃがいもは北海こがねを使いました。
1. じゃがいもを16等分のくし切りにし、10分程度水に浸してあく抜きをする。
今回作るベイクドポテトはフライパンで作るため、中まで火が通るように多めにくし切りにします。電子レンジで先に加熱してから作る場合は8等分でも問題ありません! その際はラップをふんわりとかけて5分ほど過熱するといいでしょう。
あく抜きは10分程度すれば十分です。そうすることででんぷんを落とし、加熱した際にとろみがつくことを防ぎます。
2. 水気を切り、塩、コショウ、スパイスを振りかけてよく絡める。
多めのサラダ油で揚げ焼きにするため、よく水気は切っておきます。そして調味料を絡めたらいよいよ焼いていきましょう。
3. 熱したフライパンにやや多めのサラダ油を入れ、温まったらじゃがいもをまんべんなく敷き詰める。
フライパンのサイズにもよりますが、入れる油の量は、油でフライパンの底が埋まるくらいの量を目安とします。
4. 片面にこんがりとした焼き目がついたらひっくり返し、同じように焼いていく。
両面がキレイなきつね色になったら完成です! 出来立てホクホクが一番おいしい!
チリトマトスープ
5品目はチリトマトスープ。こちらはメキシカンチリミックスで少し辛めに仕上げます。唐辛子の辛さとエスニックな香りが特徴で、チリビーンズやタコスソースをお手軽に作ることができます。また、きんぴらなど和食の隠し味としても使えます。
【材料】
ニンニク一片、ショウガ適量、厚切りベーコン、玉ねぎ1個、茹でて柔らかくした豆(豆缶)、カットトマト缶、塩、コンソメキューブ3個、スパイス、タバスコ(お好みで)
【スパイス】
メキシカンチリミックス
1. みじん切りにしたニンニクにんにくを、オリーブオイルと一緒に鉄鍋に入れて温める。
今回は鉄鍋を使用していますが、テフロン加工がされた鍋であれば問題なく調理できます! ニンニクはオリーブオイルに風味を移す役割がありますので、鍋が温まったら入れるのではなく、最初にオリーブオイルと一緒に入れましょう!
2. 一口大に切ったベーコンを入れ、全体に焼き色がついたらくし切りにした玉ねぎ、細切りにしたショウガを入れて炒める。
このとき、ついうっかりベーコンを入れ忘れてしまいました。最後の煮詰める工程で気づき投入しましたが、皆さんもうっかりミスにはお気を付けください。
次の工程に進むタイミングですが、あとから入れた野菜に焼き色がついたら頃合いです。
3. 豆、トマト缶、水、コンソメキューブを入れて中火で煮込む。
豆は、今回は豆缶を使用しましたが、乾燥豆を使用する場合は、前日からひたひたの水に浸けておきましょう。材料をすべて投入したらふつふつと沸騰し始めるまで少し待ちましょう。
4. 沸騰し始めたら、弱火にしてスパイスを入れ、よく混ぜたら40分ほど煮込んで完成。
完成です! 鮮やかな色合いにチリの辛味で体も温まること間違いなし!
これですべての料理が完成しました! ぽかぽかとした心地のいい日の光が料理を包みます。
今回の5品はいかがでしたでしょうか? クラフトキッチンのスパイスはとてもたくさんの種類があり、ちょっと料理にアレンジすれば簡単に世界の味を楽しむことができます。今回依頼をしてくださった皆さんにも、大変満足していただくことができました。皆さんもぜひ、いろいろなスパイス料理をお試しください!
それでは今回はこの辺で。ありがとうございました!
「また来たい」と思ってもらえる機会をたくさん作りたい。中村屋・中村健次さん
上士幌町滞在中に宿泊した、ぬかびら源泉郷の宿「中村屋」。心のこもったおもてなしで何度も泊まりたいと思った宿でした。その中村屋の三代目中村健次さんにお話を聞くことができました。中村さんは、優しく温かい雰囲気を醸し出しながらも強い芯を持ち、自分がいいと思うことを行動に移し続けてきた人でした。
WRITER
田中 亮 (たなか りょう)
JICA訓練生。1982年生まれ。茨城県出身。自然が好きで、土や水の分析をしてきました。自然豊かな上士幌町に「個性」を感じています。もっともっとこの町の「個性」を発掘していきたいです。
ー中村さんのこれまでの経歴を教えてください。
神奈川県出身で2020年で43歳になります。スノーボードが好きで中村屋でアルバイトしていた20年くらい前に、今の妻と出会い結婚したんですよね。結婚をきっかけに旅館を引き継ぐことになりました。当時は、部屋が50室ほどもあり、ほとんどが団体客中心でした。どこの誰が宿泊したのかもわからず、経営は火の車状態。正直、仕事がおもしろくありませんでした。そこで、もっとお客様に自分の手が届きやすい宿を目指そうと17室に縮小し、その代わり、一部屋ずつ喜んでもらえるような部屋づくりを目指しました。宿とお客さんとがつながることを大切にしています。
ーこだわりはありますか?
チェックインからチェックアウトまでいかに「ここにいたい」と思える仕掛けをつくれるかにこだわりました。一人で時間を過ごせる「ヒトリシズカ」という部屋や、備品を備えた「エゾリスの穴」という部屋をつくりました。最近では、ピアノを弾きたいというお客様のために、近くにピアノを弾ける環境を整えました。チェックインを12時にして、チェックアウトを翌日の午後3時の27時間体制を実施したこともありました。今はコロナ禍で休んでいる宿もありますが、近所の宿と協力して温泉巡り企画も実施したりしています。
ー部屋に特徴を付けているんですね。例えば、エゾリスの穴はどういうコンセプトなんですか?
一般的にホテルの部屋には、アメニティ、備品が置いてありますよね。持って帰るためのアメニティということもあり、高級品だったりすることが多いです。でも、私だったらアメニティの分、安く泊まりたいなと考えて。この部屋では、ちょっとした備品を忘れたときのために、爪切りやドライヤーなど100品くらいの備品を準備した部屋を作ったんです。エゾリスは冬を乗り越えるために木の実などのエサを掘った穴に埋めて貯蔵しておく習性があるので、エゾリスの穴と名付けました。
ーお土産が特徴的ですよね。ついつい買ってしまいたくなるものばかりです。
どこに行っても買えるような温泉饅頭やキーホルダーではなく、自分が過ごした時間を買いたいと思ってもらえる、いいものを置きたいと思っているんですよね。部屋には、熱気球の布を再利用したお風呂バッグがあり、大浴場には環境にやさしいものを使いたいというお客様のためにオリーブオイルから作った手作り石鹸が置いてあります。ロビーには、韃靼(だったん)そば茶を沸かしていて、誰もが飲めるくつろぎやすい空間を作っています。それら全てがここで購入できるようにもしています。自分たちが知っていることや提供していることは惜しみなく伝えたいですし、「また来たい」と思ってもらえる機会をたくさん作りたいなと考えています。
ー中村屋さんの手作り家具はすごいですね。もともとご経験があったのですか?
ここに来るまで大工仕事は経験したことがなかったんですよね。プロに聞いたり、インターネット動画を参考にしたりして独学で作っています。部屋を一つずつ壊してから内装に取りかかるので、壊したら作らなければいけないという気持ちになり、いい意味でのプレッシャーになっています。
ー材料などはどうしているんですか。
ほとんどがもらいものです。近所の方が、木材などの材料や使わなくなった家具があると、中村屋さんだったら使ってもらえるんじゃないかということで自然ともらえるんですよ(笑)。
ーこの本棚はインパクトがありますね。
先代がスキーの選手だったので、ビンテージの板に釘を使わないように組み合わせて本棚を作りました。
ー宿の宣伝はどうされているんですか。
以前は、ラジオや広報誌などに広告は出していましたが、今は止めています。特にパッケージツアーなどに組み込まれてしまうと泊まるところは軽視されがちで、実際にツアーに参加したお客様は、どこに泊まったか覚えていないという現実もあります。
ー常にお客様目線ですね。最後に常に心がけていることを教えてください。
旅行すること自体は好きなので、旅行してこういうのがあったらいいなと思うことは取り入れています。ただ、私たちのコンセプトに宿泊客全員が賛同してくれるわけではありません。Aさんは共感してくれたけれど、Bさんはそうではなかったということはあります。常に同じ目線を持っている人と共感することを心がけています。自分の価値観を安売りせずに、守っていきたいとも思っています。
泊まった感想と中村さんの話を聞いて
中村さんは、経営者としてではなく宿泊客としての目線を常に忘れず、手作りにこだわり、廃材を再利用して作り上げられた美しい棚や痒い所に手が届くような備品を置いたりと、どうしてもワクワクが止まらなくなる、そんな好奇心をくすぐる素敵な旅館を作り上げていらっしゃいました。これでまだ成長途中というのだから、次はどんな要素が増えているんだろうかとついつい気になってまた泊まりに来てしまう人もいることでしょう。
かく言う私もすでに魅力に取りつかれてしまったため、まだ気づいていないこだわりを探すために、もっと泊まりたいと心の底から思いました。宿泊客がいいと思ってくれるようなこだわりを実行してきた中村さんの広い視野と豊かな想像力から学ぶことは非常に多いように感じました。
【糠平温泉 中村屋HP】
https://nukabira-nakamuraya.com/
日本全国の若者へ、新しい出会いの場をつくる―「MY MICHI プロジェクト」
上士幌町の資源を活用した、1カ月間の滞在型体験プログラム
「MY MICHI プロジェクト」は、上士幌町外に住む20~30代の若者を対象とした滞在型体験プログラムです。参加者はシェアハウスで1カ月間の共同生活を送りながら、人や自然、産業など上士幌町の資源を活用したさまざまなプログラムを体験します。
提供するプログラムは、それぞれ「遊ぶ」「学ぶ」「働く」をテーマとして構成しています。
「遊ぶ」では、ネイチャートレイルや釣りなど、上士幌町の大自然を感じるプログラムを用意。広大な自然を満喫しながら、自分の心を解放できる時間を提供します。
「学ぶ」では、町に住む人たちから地域の暮らしや取り組みについて話を聞く機会を設けます。町の人の生き方や考え方に触れることで、参加者自身が自分の生き方を見つめ直すきっかけをつくります。
「働く」では、町の産業に触れたり、地域の困りごとや課題を解決するための仕事を行います。日本の食を支える北海道・十勝地域の生産、加工、販売の現場を見学したり、町の高齢者や学生、地域住民との触れ合いや新たな経験を通して、自分の興味や特技の発見につながる機会を提供します。
またこれらのプログラムの体験は、レポートとしてまとめていきます。
町外の若者と町の人たちとの出会いをつくる
この事業が目指すのは、町外からの参加者と町の人たちとの出会いをつくり、上士幌町の「関係人口」を増やしていくこと。関係人口とは、移住者や観光者ではない、地域や地域に住む人たちと多様に関わる人たちのことをいいます。
たくさんの若者たちが上士幌町を知り、町や町の人たちと触れ合うことで、自分の生き方や新たな選択肢を見つけてほしい。町の人たちには、若者たちと接することで町の価値や可能性に改めて気づいてほしい。
このプロジェクトを通じて多くの出会いが生まれ、その出会いが、それぞれに影響し合い、学びや気付きのきっかけになっていくことを願っています。
「町の人たちに触れて、考え方が変わった」
2020年度から始まったこのプログラムは、2020年9月にはJICA(独立行政法人国際協力機構)からJICA海外協力隊の訓練生4人が第1期モニターとして参加。そこからプログラムを練り上げた11月には事業の本格スタートとなる第2期を開催し、道内外から5人の若者が参加しました。
「上士幌町に住む人たちは、自分たちが生きたいように暮らしている」
「上士幌には、好きだから、という理由で行動したり活動している人が多い」
「町が好き、景色が好き、人が好き。触れ合った人たちのそんな素直な生き方や考え方が素敵だと思った」
「都会の生活や価値観しか知らなかったが、町に住む人たちと接して、考え方が変わった」
1カ月間のプログラムを終えた5人は、そんな言葉を残してくれました。
産声をあげたばかりの「MY MICHI プロジェクト」は、多くの人たちが出会い、その出会いが循環していくことで進化し、成長していくプロジェクトです。プロジェクトを通じて、一人でも多くの若者が自分の道に出会うこと、そしてこの町と持続的に関わっていくことを期待しています。
※「MY MICHI プロジェクト」への参加募集については、下記のURLや各SNSで情報を公開しています。
【MY MICHI プロジェクト】
URL:http://kamishihoro-town.com/mymichi/
Twitter:https://twitter.com/MKamishihoro
Facebook:https://www.facebook.com/mymichikamishihoro
Instagram:https://www.instagram.com/mymichi_kamishihoro/
お互いを支え合う共助の仕組み―「かみしほろ人材センター」
会員と仕事をマッチング
「かみしほろ人材センター」は、日常のちょっとした困りごとや仕事をお願いしたいという人と、空き時間を使って仕事をしたいという人(人材センター会員)をつなげる役割を担っており、(株)生涯活躍のまちかみしほろが運営しています。
2018年5月に設立して以来、年々仕事の相談や依頼が増え続け、2020年度は300件を超える依頼を受けるまでになりました。
仕事をしたい人は人材センターに会員登録をしておけば、自分の得意なことややりたいことに合わせて人材センターから仕事が提供されます(※)。2021年1月末時点で、高校生から80歳を超える方まで80名以上が会員として登録しており、それぞれが得意なことを活かして仕事を行っています。会費や登録料はかかりません。
※会員と仕事の依頼者あるいは人材センターの間には雇用関係はありません。そのため会員登録をしてもすぐに就業できる保障はありません。詳しくは、かみしほろ人材センターにお問い合わせください。
地域の「困りごと」や「課題」を人材センターで解決
これまでに請け負った仕事は、個人の依頼では掃除や料理代行、草刈り、庭木の剪定、自宅の不用品処分、荷物運びの手伝い、英会話レッスン、パソコンやスマートフォンを教えてほしいなど。なかでも掃除や草刈りなど、日常生活にかかわる仕事は、特に高齢者の方からの依頼が増えています。
「今までは自分でやっていたが、年齢を重ねるにつれて難しくなってきた」
「これまでは頼める人がいたけれど、いなくなってしまい困っている」
そんな高齢者の「困りごと」の解決も、人材センターが担う役割の一つです。
また事業所からはイベントスタッフ、チラシデザイン、チラシポスティング、事務補助、施設清掃といった依頼をいただいています。農家からも農作物の収穫手伝いや、収穫した野菜の選果作業などの依頼相談が増えています。
こうした事業所や農家が抱えているのは「労働者不足」という課題です。「今までお願いしていた人ができなくなった」「仕事はあるがスタッフの手が回らない」「人手が足りない」。そのような声にも人材センターは応えています。
「ちょっとした町民の困りごとは、町民同士で解決できるようにする」
「かみしほろ人材センター」が目指すのは、お互いを助け合い支え合う「共助の仕組み」づくりです。「困りごと」や「課題」を、持続的に解決していくための仕組みとして地域に根付かせていくことを目指しています。
好きなことを誰かの喜びに―「ハレタかみしほろ企画・運営」
2019年8月に起業家支援センターとしてオープンした「ハレタかみしほろ」は、町民が自分の「好きなこと」や「得意なこと」を活かしてイベントを開催したり、店舗出店にチャレンジできる施設です。
(株)生涯活躍のまちかみしほろでは、そんな町民のチャレンジをサポートするとともに、趣味や特技を持つ町の人たちといっしょに、さまざまなイベントを企画運営しています。
「ハレタかみしほろ」で行っているチャレンジサポートは、主に次の二つです。
町のコミュニティづくりを支援
一つ目は、「ハレタかみしほろ」が企画・開催するイベントに参加する方たちへのサポートです。
例えば、2020年7月から始まった「手づくりおやつカフェ」は、お母さんをはじめとする町の皆さんが作った手づくりのお菓子を販売するイベントです。普段は家族や友人のために作っていたお菓子を町の人たちに提供することで、個人の楽しみを周囲に広げていきます。
また、イベントを通じて作り手と町の人たちがつながり、それがコミュニティとして育っていくことを期待しています。
実際に手づくりおやつカフェに出店した作り手の皆さんからは、
「出店後、町で会った人から『ケーキが美味しかった』と声をかけられて嬉しかった」
「食べる人の喜ぶ顔を思い浮かべながら作ることがとても楽しい」
といった感想が寄せられています。
町民の「やってみたい」を、短期~中期的に支援
二つ目は「店舗出店にチャレンジしてみたい」という方たちへの支援です。「ハレタかみしほろ」のカフェスペースを活用して、月に1回程度の単発的な出店から3カ月間以上の定期的な出店までを、企画や告知、運営面でサポートします。
2020年7月からはランチを提供する「カフェやどかり」がオープンし、町民の新たなくつろぎのお店となりました。そのほかにも、和食ランチや移動書店、抹茶カフェ、写真展、ミニ縁日、夜のバーなど、町の人たちの「やってみたい」が少しずつかたちになっています。
このチャレンジを通して、出店者が町の皆さんとつながる楽しさや喜びを感じてもらい、将来的にはここから新しい事業の芽が育っていくことを願っています。
町民同士の交流が次のチャレンジに
出店者たちがこの場所で「好きなこと」を表現する。そしてその好きなことが、誰かの喜びにつながっていく。町の人たちが楽しく集い、交流することで新しい可能性が生まれていく。
「ハレタかみしほろ」は、挑戦する人と集う人たちが交流し、次のチャレンジにつながる空間となることを目指しています。
そしてここでチャレンジする人たちが、自分の新しい可能性を見つけていける場所として、一緒に育てていきたいと考えています。
「ハレタかみしほろで何かチャレンジしてみたい」という人は、(株)生涯活躍のまちかみしほろへお問い合わせください。
求職者と求人企業をつなぐ―「無料職業紹介所」
(株)生涯活躍のまちかみしほろは、上士幌町と業務提携をして「株式会社生涯活躍のまちかみしほろ無料職業紹介所(以下、無料職業紹介所)」を開設し、運営しています。
無料職業紹介所は「ハレタかみしほろ」内にあり、求人票の閲覧や担当者による求職相談ができます。
町民の皆さまだけでなく、全国の皆さまが上士幌町で就業や移住に向けての最初の一歩を踏み出せるように、企業と求職者の間に入り、求人の相談や斡旋を行っています。
直接相談に来られない方に対しては、上士幌町無料職業紹介サイト「かみしほろ会社・仕事図鑑WEB」で求人情報を公開しています。企業の採用情報だけでなく、企業トップや採用担当者のメッセージ、働く人たちの思いなどを掲載し、上士幌町の企業の魅力を紹介しています。
【かみしほろ会社・仕事図鑑WEBサイト】
https://kamishihoroshigoto.com/
※スマートフォンの方は、下記の2次元バーコードからもアクセスできます。
「かみしほろ会社・仕事図鑑WEB」からは、求人応募や相談も可能です。近年は町民の利用だけでなく、WEBサイトを経由して移住を検討している方からの相談も増えています。遠方の方の場合はメールや電話などでの相談に応じており、そこから就業につながったケースもあります。
無料職業紹介所は、町内企業と求職者のより良いマッチングを実現するために情報の提供やサービスの充実に努めています。
求職の相談を希望される方は、無料職業紹介所までお気軽にお問い合わせください。また、求人情報を掲載したい企業様も、合わせてお問い合わせください。
一人ひとりの思いをかたちに―「かみしほろ起業塾」
「かみしほろ起業塾」は、起業・第二創業・新規事業展開の促進と支援を目的に、2018年度から進めている事業です。一人ひとりのやりたいことの実現を通して、地域経済の活性化にもつなげていきます。
初年度は、起業を学ぶためのセミナーや視察、ワークショップを中心に実施しました。2019年度からは「こんなことをやってみたい」というアイデアを持つ方から、起業や新規事業を検討している方までを対象に、実際に事業計画書を作成し、最初の一歩を支援するためのプログラムへと進展させています。
やりたいことを事業計画書で表現する
プログラムでは、専任の講師が一貫して指導やサポートを務めます。参加者は経営の基本や事業計画の必要性について学びながら事業計画書づくりを進め、プログラムの最後では自身が作成した事業計画書を発表します。さらに、受講生に対しては事業着手金の支援制度も設けられています。
2019年度には7名、2020年度は3名が受講し、19年度受講生の一人は実際に上士幌町内での起業を果たしました。
「起業塾に参加したことで、私の中にあった漠然とした思いが徐々に具体的なかたちになっていきました。事業計画をつくるのは大変でしたが、自分と真摯に向き合うことで、自分が本当にやりたいことや大事にしたいことが見えてきた。それを町の皆さんに伝えていったら、たくさんの人が応援してくれて、いつの間にか本当に起業していました」
「かみしほろ起業塾」を経て起業した最初の一人である、齊藤肇さんの言葉です。
一人ひとりの「思いの種」を大切にしたい
「こんな小さな町で起業なんてできるの?」
「もし起業しても、生活していくことは難しいんじゃないか?」
そんなことを思う人も多いかもしれません。でも私たちは、小さな町だからこそ、新しいものを生み出しやすい環境が整っていると考えます。小さな町だからこそ、できるチャレンジがあり、さまざまな人たちがそのチャレンジを応援してくれます。
「挑戦したいことやアイデアがある」
「これまで町になかったものをつくりたい」
「町の事業を継承して、地域のために貢献したい」
そんな一人ひとりの「思いの種」を大切にし、プログラムを通じて育て、実現に向けてかたちにしていく。これが「かみしほろ起業塾」が果たす大きな役割だと思っています。
【上士幌町】健康づくりのきっかけに―「健康ポイント事業」
「健康ポイント事業」は、日々の歩いた歩数を記録したり、町内で開催される対象イベントに参加することで「健康ポイント」が付与され、そのポイントが上士幌町内で使える商品券と交換できる取り組みです。
上士幌町では2018年度からこの事業がスタートしました。(株)生涯活躍のまちかみしほろは、町からの委託を受けて、事業参加の申し込み受付やポイント交換手続きなどの事務運営を行っています。
上士幌町内にお住まいで18歳以上(高校生は除きます)の方であれば、事業に参加することができます。2020年12月末時点で10代から90代の方まで、700名以上が事業に参加しています。
事業が目指すのは「健康への関心を高めていく」こと、そして「楽しみながら継続的に健康づくりに取り組む」ことです。事業に参加することで、参加者一人ひとりが、自分の体や健康について意識を向けるきっかけになることを願っています。
健康ポイント事業では、イベントも開催しています。イベントを取り上げた記事もあるので、ぜひご覧ください。
どのようなことをしている事業なのか
事業への参加を希望する方には、活動量計を貸し出します。活動量計は、毎日の歩いた歩数やカロリー消費量を見ることができます。購入を希望される場合には斡旋も行っています。
また町内の4施設(生涯学習センターわっか、スポーツセンター、ふれあいプラザ、ハレタかみしほろ)に設置している体組成計と血圧計を利用することで、自分の体を測定でき、健康管理に役立てることができます。また活動量計の歩数も記録できます。
日々の歩数を記録したり、体組成計や血圧計で測定をすると、「健康ポイント」が付与されます。このポイントは年間を通して一人10,000ポイントまで貯めることができ、年度末に上士幌町内で使える商品券と交換ができます。「健康ポイント」は、上士幌町が行う健康イベントや、健康診断を受診することでも貯めることができます。
測定結果や貯まったポイントは「からだカルテ」で確認
歩いた歩数や、体重、体脂肪、血圧などの測定結果、今貯まっている健康ポイント数などは「からだカルテ」というWEBサイトで見ることができます。
「からだカルテ」は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどで見ることができ、自分の体の状態が確認できたり、健康づくりに役立つコラムを読むこともできます。
「健康を意識するようになった」参加者の声
「健康ポイント事業」に参加している方たちからは、これまでにさまざまな声が寄せられています。
「活動量計を持ったことで毎日歩くことが楽しみになりました。歩くことを続けていたら体脂肪が減って、高かった血圧も正常になりました」
「健康を意識するようになり、運動だけでなく食事にも気をつかうようになりました」
「友人もみんな参加しているので、一緒に楽しんでいます」
「歩いた分だけポイントが付与されるので、どれだけポイントが貯まったかを見ることも楽しみです」
このように、皆さんそれぞれに楽しみ方を見つけて参加しています。
まずは「きっかけ」にしてほしい
「普段、自分はどれくらい歩いているのだろう?」
そんなことを思ったことはないでしょうか。
まずは活動量計を持って、自分がどれくらい歩いているかを知ってみる。次に1日20分以上歩くなど、目標を決めて取り組んでみる。
いきなり走ったりスポーツを始めるのは大変かもしれませんが、歩くのはちょっと意識をすればすぐにできることです。そんな風にして町の方たちには、健康に意識を向けるきっかけにしてほしいと思います。
事業への参加を希望される方は、(株)生涯活躍のまちかみしほろ(ハレタかみしほろ内)にお問い合わせください。
お問合せ先
生涯活躍のまちかみしほろ(ハレタかみしほろ内)
連絡先 01564-7-7630
メール info@kamishihoro-town.com
LINE https://lin.ee/NFlKbt0
担当 小川
さまざまな業種で活かせる資格取得を―「介護職員初任者研修」
介護資格を取得するための研修事業
(株)生涯活躍のまちかみしほろは、町内における介護人材の確保や町内介護事業所に就労している職員のスキルアップなどの目的で「介護職員初任者研修」事業を行っています。
「介護職員初任者研修」は、数ある介護資格のなかでも入門資格といわれています。介護の基礎知識や技術だけでなく、介護の理念やコミュニケーション技術、人間のからだの仕組み、老化や認知症の理解なども含めて総合的に学んでいきます。
学歴や実務経験など、受講に係る条件はなく、高校生以上であれば規程のカリキュラムを修了することで誰でも資格を取ることができます。上士幌町民、上士幌高校生、町内介護事業所にお勤めの方は無料で受講することができます。
講習を受けた方のインタビュー記事もあるので併せてお読みください。
この事業は、上士幌町からの委託事業として2017年度にスタートし、2020年度までにのべ41名が資格を取得しています。例年、秋~冬にかけての約3カ月間(※)にわたって開催し、高校生から70歳代の方まで幅広い年代の方が学んできました。
すでに介護職に就いている方や、これから介護事業所で働きたいと考えている方だけでなく、この資格を家族の介護に活かしたいという方や、サービス業など他業種で働いている方などにも受講いただいています。
「学ぶことで介護のイメージが変わる」
これまでに受講した方たちからは、
「すぐに実践できる知識や技術を学べて大変有意義でした」
「介護福祉へのイメージと理解が変わりました」
「介護の資格と思っていたが、学んでみると幅広い分野で活かせる資格だと思いました」
「これから家族の介護が必要になるので、その前に学ぶことができて良かったです」
といった声が寄せられ、また町内介護事業所からも
「職員の育成につながって良かった」
という声をいただいています。
また、受講をきっかけに介護福祉分野への興味が高まったという声もあり、町内介護事業所への就業につながることも期待されています。
高齢化が加速する日本は、2025年には約245万人もの介護人材が不足するといわれており、上士幌町でも介護福祉事業所の就労人材の確保は大きな課題です。本事業は、こうした課題の解決や、町民の「介護を学びたい」というニーズにこれからも応えていきます。
なお、研修の受講募集は、8月ころにチラシやホームページなどで告知を開始しています。
※令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大防止に係る臨時的な取り扱いとして、通常15日間程度の講義を、自宅学習を中心としたカリキュラムとし、講義は3日間にとどめて実施しました。
やりたいことをやらないと意味がない!〜地域おこし協力隊 森典子さん〜
上士幌町の子どもたちには「図書室の先生」としておなじみの、森典子さん。読書コーディネーターとして、小学校・中学校・高校の図書室を巡回しています。とにかく明るくて、フレンドリーな森さんが、今、上士幌町で読書コーディネーターをしているのは、あるとき、「やりたいことをやらないと意味がない!」と気づいたことがきっかけでした。
WRITER
苅谷 美紅 (かりや みく)
北海道千歳市出身。テレビ番組ADをしていた東京生活から、青年海外協力隊としてブラジルへ。コロナ帰国後、MY MICHI2期生を経て、取材メンバーとして活動しています。マイブームは朝起きて熱気球を探すこと。
地域おこし協力隊 社会教育推進員 読書コーディネーター
森 典子さん (もり のりこ)
新潟県新潟市出身。生まれて間もなく親の仕事の関係で幼少期を帯広市で過ごす。その後新潟に戻るも、大学で再び北海道へ。卒業後は新潟で仕事をしていたが、2019年5月に読書コーディネーターとして上士幌町へ赴任。3度目の北海道生活となる。大学では美術を専攻し、絵を描くことが好き。
「読書コーディネーター」ってどんな仕事?
今回は上士幌町で地域おこし協力隊として活動している方に、お仕事の内容などを伺います。早速ですが、読書コーディネーターってどんなお仕事ですか?
環境整備といって、小中学校と上士幌高校の図書室で本のラベリングをしたり、書籍の購入や受け入れもしています。コロナが拡大する以前は児童の保護者や地域の方たちに声をかけ、小学校で絵本の読み聞かせやブックトークをしていただいていました。
お絵かき教室みたいなこともしていませんでしたか?
読書の取り組みとは別に行っているアートクラブですね。生涯学習センターわっかで、毎週金曜日の16時から活動しています。これはそのクラブに参加してくれた小学生がつくったキーホルダーです。
かわいいですね。
今年度は図書館事業として、秋の読書週間に本の紹介をするポップをつくるコンテストも行いました。小学校部門と中学校部門に分けて開催して、小学校から19作品、中学校から6作品が集まりました。教育委員会と図書館の職員で審査をして、優秀作品を全国ポップコンテストに出しています。
どうしてポップコンテストを行ったのですか?
子どもたちと接していて、文化系の子たちが活躍する機会が少ないと感じたんですよね。スポーツをしている子は目立つけれど、本が好きだったり絵を描くことが好きな子はどちらかといえば控えめだったりするので、その子たちが周りからすごいと思われたり、得意なことを発揮できる場をつくりたかった。また普段本を読まない子が「ポップをつくりたいから本を読んでみよう」と思ってくれるといいな、という思いもありました。ほかには、上士幌高校のライフデザインの授業でポップづくりに関わらせてもらいました。
※詳しくは 上士幌高校の商品開発授業に密着(5)〜商品を手にとってもらえるポップを作ろう へ
読書コーディネーターになるまで
読書コーディネーターって、ほかの地域にもある仕事なんですか?
ないですね。すごくレアです。
上士幌町に来たのはこの仕事があったから?
はい、読書コーディネーターをしたくて来ました。本や読書に関わる仕事がしたかったんですよね。
上士幌町に来る前は何を?
出身の新潟市で、市が主催している芸術祭の事務局で仕事をしていました。その前に短期留学で1カ月間イギリスに滞在していたんです。そのイギリスでの経験が私にとっての転機でした。イギリスでは美術館に行ったり語学学校に通っていたんですけど、そこで生活しているうちに「やりたいことをやらないと意味がない!」って思ったんです。
何事も「できないと決めつけていたのは自分自身だった」と気づいたんですよね。それまではきちんとした職に就いて安定しないと駄目だと思っていましたが、イギリスから日本に帰っても仕事があるわけじゃない状況で、今後どうしたいかを真剣に考えるきっかけになった。日本から離れたことで逆に考える余裕ができたのかもしれません。
それで、芸術祭の仕事に就いたのですね。
美術の仕事も興味は持っていたけれど、自分で勝手に諦めていた。そんなときに求人が出ていて。大学で学芸員の資格を取っていたので活かしたいと思ったんです。ただその仕事は期限付きだったので、そのあとでどうしようかと考えていたときに、この仕事を見つけたんです。
実際、読書コーディネーターをやってみてどうですか?
子どもたちの本当のリアクションが分かりますね。「なんでその本が好きなの?」って聞くと「これはね〜」って教えてくれる。どんな本が好きなのか、どの作家さんが人気があるのか、子どもたちのリアルが見えて勉強になります。
森さんから見た上士幌町
上士幌町に来たときの印象を覚えていますか?
花を育てている家が多いと思いました。5月に来たのでちょうど桜も咲いていて。ウェルカムフラワーだと思って歓迎されている気持ちになりました。それと土の色が濃い。一度教育委員会の方に畑を案内していただいたことがあって、「これが小豆、これがデントコーン」などと教えてもらいました。自分が生活している土地の郷土や歴史を知ることも大切だと思いましたね。
上士幌町に来て間もなく2年になりますが、今の印象はどうですか?
人と人の距離は近いと思います。上司や同僚からよく「ご飯を食べにおいで」と誘われますけど、きっと地元の新潟市ではこんな関わり方はできないだろうなって思います。野菜もたくさんいただきますし、お裾分けの文化がありますよね。
上士幌にいるからこそ、絵本をつくりたい
これからやってみたいことはありますか?
絵本をつくりたいです。教育委員会の皆さんをはじめ、仕事やプライベートでたくさんの人たちとつながった。そんな人とのつながりを絵本にしたいんです。実は少しずつつくりはじめていて、まずは教育委員会の皆さんをモデルにイラストを描いたりしています。
絵本を職にしたいと思いますか?
いつかは職にしたいです。実はこの10年間、ずっと絵本をつくると決めては何度も挫折していたんです。でも「できない」「無理」と諦めて決めつけていたのは、ほかの誰でもない自分自身でした。それで上士幌に来て「今度こそ、絶対につくる!」と決めたから、どうしてもかたちにしたくて。この土地に来て出会えた人たちがいるから、上士幌にいるからこそつくれる絵本があると思っていて。今、出版社のコンクールに応募するために日々頑張っています!
たくさん本を読んで、大切な言葉に出会ってほしい
「人生を変えた一冊は?」と聞かれたら何と答えますか?
『ハリー・ポッター』シリーズですね。イギリスに行ったのもハリー・ポッターの影響です。小学生のころから大好きで、第一作の『賢者の石』からずっと読んでいます。物語の主役の子にファンレターを書いたこともあります(笑)。すごく厚い本だけど、面白くてすぐに読める。私でも読めるんだって、自信につながった一冊でもあります。
もう一冊挙げるなら『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』。私にとってすごく大切なことが書かれている本です。本には生きる上でのヒントや支えになる言葉がたくさん詰まっているから、本当に子どもたちには本を読んでほしい。そこに書かれている一文にすごく勇気をもらえることもあるから、たくさん本を読んで、自分にとって大切な言葉に出会ってほしいと思います。
最後の質問です。上士幌での生活は楽しいですか?
楽しい! すごく楽しいです。一緒に仕事をしている方たちも面白いし、子どもたちと接していると発見も多い。子どもたちを見ていると、大人になって忘れてしまっていた反応や感情が見えるから、本当に勉強になります!
「できないと決めつけていたのは自分自身だった」「やりたいことをやらないと意味がない!」その言葉が印象的だった森さん。仕事や絵本についての熱い思いを感じました。
また、読書コーディネーターとして関わる上士幌町の子どもたちに、「生きる上で支えになる、勇気をもらえる一文を見つけてほしい」という森さんの思いが伝わることを願っています。
森さん、ありがとうございました!
かみしほろ人材センターで酪農にチャレンジ!(後編)~ミルクやり・お産立ち合い編~
皆さん、前編は読んでいただけましたか?(記事はこちら)
「酪農チャレンジ」の前編では、外の牛たちへの餌やりと生まれたての仔牛の小屋のお掃除の様子をお伝えしました。外では勢いのある母牛たちの前で汗をかき、牛舎では生まれたての仔牛に癒され、そしてここからはいよいよ後編です。
後編ではまず成牛の牛舎のお掃除、そして仔牛のミルクやりをしていきます。それに加え、今回はなんと幸運にも牛のお産シーンに立ち会わせていただくことができました。
WRITER
中山 舞子
1992年生まれ。千葉県在住。青年海外協力隊としてインドに派遣予定。海外派遣の目途がたたない現在、上士幌町に5ヶ月間滞在中。外からの目線で上士幌の魅力を掘り下げて行きます!
まずは牛舎の掃除から!
まずは牛舎の掃除からやっていくよ! 今日は発情期の牛が多いから気を付けてね!
モウくん! 後編もよろしくね!(また喋ってるよ・・・)
荒井牧場さんは、フリーストール牛舎といって、牛たちは牛舎の中で自由に歩き回ることができます。そんな牛たちに囲まれながら作業を進めていきます。
牛の発情期は、19~23日の間隔で周期的に来ます。
基本的に牛は穏やかで危害を加えることはほとんどありませんが、発情期だと普段より積極的に接触してくることがあるとのこと。ちょっとドキドキしますが、頑張っていきましょう!
寝床と水飲み場に溜まっている糞をこの雪かきシャベルで落としてきます。それにしても成牛は近くで見ると本当に大きい!
水飲み場は自動掃除機が入らないので糞が溜まってしまいます。牛が滑らないように、綺麗に糞を掃除します。
牛たちが通路に立ち往生しており、なかなか通れません!
「ちょっとごめんねー!」と近寄っていくも、全く避ける気配なし!
手で押しながら狭い隙間を掻き分けて通ります。
何をしていてもジロジロと見つめてくる興味津々な牛たち。中にはペロペロと腕を舐めてきたりクンクン匂いをかいでくる子も。やっぱり発情期の影響か、いつもより積極的な牛が多い気がします。
元気な牛たちに少々怖気づきながらも、無事お掃除終了!これまた良い汗をかきました!
ミルクやり
ミルクやりの時間だよ~!
まだまだ慣れない牧場仕事、16時のミルクやりの時間を少しオーバーしてしまいました。あわてて仔牛の部屋に戻ります。いよいよお待ちかねのミルクやり。
仔牛は非常に繊細なので外から菌やウィルスを極力持ち込まないよう、まずは長靴をしっかり洗います。
仔牛にあげるミルクは荒井さんが作ってくれます。
仔牛はかなり繊細な生き物。絶妙な温度加減や、体調に合わせた配合が必要です。そのため荒井さん以外の人が作ったミルクだと、牛はいつもとの違いに抵抗を示すこともあるのだとか。
ミルクの容器はバケツに牛の乳頭をかたどった飲み口がついているもの。
洗浄は人間の赤ちゃん用の消毒液を使っているそうで、繊細な仔牛のためにかなり気をつかっているのが伺えます。
生まれて1〜2日間は実際に母牛から絞った生乳を与えるんだよ。初乳はとても栄養価が高いと言われていて、仔牛が健康に育つのに重要なんだ。
仔牛は本当に手がかかるし、難しい。でもやっぱり健康に育ってほしいし、そのために今でも毎日が試行錯誤の日々だよ。それでも弱いから手を尽くしても死んじゃうことはある。でもやっぱり何かあると今でもショックだけどね。
では、いよいよミルクをあげていきます。
生まれたての仔牛はなかなか自分で飲み口を見つけることができません。そのため小屋に入り、指で飲み口へと誘導してあげます。
仔牛によって飲むスピードや飲み方の上手さもそれぞれ。それでもみんなとにかく美味しそうにゴクゴク飲んでくれます。
1回であげるのはバケツに3分の1くらいの量。仔牛によって差がありますが、飲みきるまで平均して3〜4分程度かかります。この、仔牛にミルクをあげている時間がなんとも至福。
可愛いくて、癒されます。そんな一生懸命な仔牛に見とれながらミルクやりをしていると、「まいちゃん! こっち!」と、荒井さんに呼ばれました。
急いで駆け付けると、来たときに産気づいていた母牛の様子が変。よく見ると、仔牛の足が出てきています。もう出産間近です!
ご主人の力也さんが仔牛の足にロープをつけていきます。
荒井さんの「ほら、みんなロープを持って!」という掛け声で咄嗟にロープを掴みます。「え、私なんかがいいの?」そんなことを考えている暇はありません。
母牛が力むタイミングにあわせて大人4人で引っ張ります。
あとちょっと・・・!!
トゥルんっ!!!!
とうとう赤ちゃんが飛び出してきました!!
牛の赤ちゃんが本当にそのままお腹から飛び出してきた光景に衝撃を受け、立ち尽くす私・・・。生まれたての赤ちゃんは元気そう。しっかり息をしています。
何より驚いたのは母牛。これだけ大きな赤ちゃんを産むのに、声ひとつ上げずジッと静かに出産するんです。そして生み落とした瞬間すぐに立ち上がって赤ちゃんに駆け寄ります。
同じ牛舎にいるほかの母牛たちも寄ってきます。
みんなで赤ちゃんをペロペロと舐め続けます。
ほかの妊娠中の母牛も母性本能のためか、まるでわが子のように親牛以上に我先にと舐めまわしている様子が印象的です。
これはリッキングと呼ばれる母牛の習性なんだ。理由は所説あって、敵から赤子を守るためのにおい消しや、仔牛をリラックスさせるためのマッサージなどとも言われているよ。
一生懸命立ち上がろうと必死に息をする仔牛、そして仔牛を応援するかのように休むことなく強く体を舐めまわす母牛。生きようとするその仔牛のパワーと母の強さに圧倒されます。生命誕生の瞬間に遭遇するのはもちろん生まれて初めて。目の前で繰り広げられる神秘的な光景が現実のものとは思えずただただ立ち尽くし、気付いたら涙が溢れて止まらなくなっていました。
今日生まれた仔牛は「JP14743 1801 1」 。1週間遅れで生まれたため、通常より大きめのメスです。牝牛は、荒井牧場で約半年間育成されたあと、ナイタイ高原へ送られ種付けをします。妊娠したらまたここに戻って出産、その後はミルクを作ってもらいます。牧場で生まれる牛に名前はありません。
それでもこの光景を見たあとだと、「どんな命でも生命の誕生は奇跡であり、命は平等に尊いんだな」と、そんなありふれた言葉が突然説得力をもってグッと心に響いてきます。
仔牛は寒さに弱いため、冬場は生まれたあと少しの間、保育器に入れるそうです。母牛たちから泣く泣く離し、保育器に連れていきます。
「連れて行かないで」と必死にアピールする母牛。母牛とはもうここでお別れ。生まれてから一緒にいられるの時間は1時間もありません。かわいそうですが、牛は経済動物。人間の手で守らなければなりません。
温かい保育器に入れたら仔牛ともお別れ。
色んなドラマがありましたが、今日の作業は以上で終了!更衣室で着替えたあとは、牛の管理データを見ながら荒井さんと団らん。
荒井登喜子さんは愛知県からここ上士幌に嫁いだことをキッカケに、それまで全くの未知だった酪農の世界に足を踏み入れ、これまでご主人と二人三脚で荒井牧場を作ってこられました。
荒井さんご自身もこちらに来て初めて酪農を知り、やっていくうちに酪農の魅力に気付いたんだそうです。今は機械化のおかげで肉体的な負担も減り、昔のように24時間365日休みがないということはありません。「しっかりやっていれば経済的にも安定するし、休みはあるし、牛は可愛いし、良いことだらけだよ!」荒井さんはそう語ります。
「若い人たちに実際の酪農現場を見てもらって、少しでも酪農のイメージが変われば」そうした思いで、今回私たちに仕事のご依頼をいただきました。
私も今回人生で初めて酪農家さんのお手伝いをさせていただき、牛たちの可愛さと強さに触れ、動物を扱う仕事の責任の大きさを感じると同時に、その面白さも強く実感することができました。
上士幌に来ていなかったらおそらく一切酪農のことを知ることもなく、牛と触れ合うこともなく、経済動物として生きる牛の一生について考えることもなく、過ごしていたことでしょう。もちろん私がお手伝いした作業は全体のごく一部ではありますが、それでも酪農が一気に身近に感じられるようになり、大変貴重な経験になりました。
ちなみに、私たちJICA訓練生4人はこの牧場の仕事がみんな大好き。自分の番が来る日を楽しみに毎日を送っています。
かみしほろ人材センターではこうした酪農家さんのお手伝いなど、普段できないようなお仕事の依頼が来ることもあります。私自身も今回荒井牧場さんで働いたことで、酪農の現場を少しでも知ることができ、そしてかわいい牛たちに触れ合えて、本当に良い経験になりました。
荒井さん、ありがとうございました!モウくんも今日はいろいろと教えてくれてありがとう!
かみしほろ人材センターで酪農にチャレンジ!(前編)~餌やり編~
まちづくり会社が運営している「かみしほろ人材センター」では、上士幌町の法人・個人から短期で簡単な仕事の依頼を受け、人材センターの会員の方に仕事を紹介する仕組みがあります。
私たちJICA訓練生は昨年12月より、町の困りごとを解決すべく人材センターに登録して、さまざまな業務にあたってきました。
そんな中、「仔牛のミルクやりを手伝ってほしい」という依頼を受けたのが12月上旬のこと。酪農知識がゼロの私たちですが、せっかくの機会なのでと、12月13日よりJICA訓練生4人が日替わりでお手伝いに行ってきました!
WRITER
中山 舞子
1992年生まれ。千葉県在住。青年海外協力隊としてインドに派遣予定。海外派遣の目途がたたない現在、上士幌町に5ヶ月間滞在中。外からの目線で上士幌の魅力を掘り下げて行きます!
早速、牧場へ
「牛のミルクやり!? やってみたい!」そう二つ返事で答えたはよいものの、牧場のお手伝いどころか、観光牧場でソフトクリームを食べるくらいの経験値しかない私。しかし何事もやってみないことには成長はない! ということで、とにかくやってみることに。
初めての牧場のお仕事は、ハラハラドキドキ、やってみると驚きと感動でいっぱいでした。
前編では牛の餌やり、そして牛舎で生まれたての仔牛たちのお世話の様子をレポートしていきます。
今回お世話になるのは上士幌町萩ヶ丘地区にある荒井牧場さん。ご夫婦で経営されており、保有する牛は育成牛も含め約230頭。平成28年に最新の自動搾乳機を導入し、機械管理が進んだものの、命を扱う仕事である以上常に牛の状態を気にしている必要があります。そんな多忙なお二人の1日の中で、私たちは15時から17時までの2時間お手伝いに入り、牛の餌やり、寝床のお掃除、仔牛のミルクやりなどをお手伝いしました。
おしゃべりはほどほどにして、さっさと始めるよ~!
あっ、仔牛のモウくん! 今日はよろしくね!(なんで牛が喋ってるの・・・?)
さっそく牧場で働くための恰好に着替えます!
動きやすい服装の上に、外はかなり冷え込むため厚めのウィンドブレーカーを羽織ります。
外作業開始
まずは外にいる牛の餌やりから。最初に生後3〜5カ月程度の離乳したばかりの仔牛たちの小屋へ行きます。
それにしても寒すぎる! この日は約マイナス10度。すでに手がかじかんできました。この寒さの中、平気な顔をして外で生活している牛たちってすごいなー。
あれ、仔牛が一頭もいない!?!?
「今日はみんなどこかに行っちゃったのかなー?」
ひとまず餌の準備をしていきます。
この細長いタンクに餌が入っているんです。
飼料の吹き出し口に手箕(てみ)という柄なしのスコップをセットします。
すると!エサの準備を始めたとたん、牛舎の裏側からすごい勢いで仔牛たちがやってきました。
みんなさすがによく分かってますね~。
餌をほしそうにこちらをジロジロ見てきます。レバーを上げると餌が勢いよく出てくるので注意!
手箕に一杯入れたらそれぞれの場所に置いていきます。仔牛たちは警戒しているのか、餌をやっている途中もそこまで近くには寄ってきません。
なかには人懐っこい仔牛もいます。餌を一生懸命に食べる仔牛たちが可愛くてずっと見ていたい気もしますが、時間に余裕はありません。どんどん次にいきましょう。
次はさっきより少し大人の、月齢6カ月程度の牛たちに餌をやります。
僕たちはこのデントコーンの餌が大好きなんだ。でも栄養が偏らないようにサイレージという牧草を発酵した餌もちゃんと食べるよ。
先ほどの要領でこの子たちにも餌を置いていきます! すると、みんな美味しそうにもくもくと食べてくれました! 嬉しい!
おやおや!? よく見ると・・・
定員オーバーだったようです。
「ちょっと~、僕も入れてよ~!」
そんな声が聞こえてきそう。牛にもそれぞれ個性があって、いろんな子がいて可愛い!
次の牛群へ移動します。外の餌やりの最後は、初産を迎える母牛たち。
さっきの仔牛たちと大きさが全然違う! お母さんたちには、なみなみと二杯あげます。
お母さん牛は勢いよく食らいつくから、走りながら餌をあげた方がいいよ!!!
走ります!!!!
あまりの勢いにスコップに頭突きを受け、こぼしてしまいました・・・。
牛は手前から奥までずらりと並んでいますが、手前にいる牛が明らかに強そう!牛の中にも上下関係があるんだろうな~。奥の牛たち、頑張れー!
無事餌やりが終わったら、牧草を牛たちが食べられる位置に寄せます! 寒くて牧草がしばれているせいもあり、かなり重たい。
6カ月の牛たちにもスコップ一杯の牧草サイレージをあげるんだよ。
最後にかき集めた牧草サイレージをさっきの6カ月の仔牛たちにあげたら、外での作業は終わりです! 外の気温はかなり低いですが、いい汗をかいてすっかり体はポカポカです。
お疲れさま! 牛舎に戻るよ!
牛舎内の作業へ
牛舎の中に入ると一番手前に小さな小屋が並んでいます。そこにいるのが生まれたばかりの仔牛たち。
生まれて1週間はまだ力が弱いから、人間の手でおっぱいをあげる必要があるんだ。お腹が弱かったり、体調が優れない仔牛もここにいるよ。
まずはミルクをあげる前に仔牛の寝藁を綺麗なものに交換します。
「ちょっと失礼~!」
運動不足の人や体が硬い人はここで足がつることがあるから注意!
藁を足で外に出していきます。
小屋の中に入ると私を母牛だと思うのか、おっぱいを探し求めて私の腕や体に一生懸命かじりつこうとしてきます。
元気のいい子はかなりちょっかいを出してくるので藁を外に出すのも一苦労。全部出し切ったら、裏側に積んである新しい藁を小屋の中に入れていきます。
仔牛の寝床が作れたら、古い藁を片づけます。
向こうにいる仔牛を見てごらん。生後1週間ほど経って、哺乳に問題がなければ向こうの遊び場に移動するんだよ。
仔牛の首に首輪がついてるでしょ? あれにはセンサーが入っていて一頭一頭の仔牛の状態が管理できるようになっているんだ。
遊び場の一角が囲いになっていて、仔牛が一頭だけ入れるようになっています。
ここで問題だよ!この赤い囲いに入って仔牛がしていることとは何でしょう?
正解はこちら! 自動哺乳期からミルクを飲んでいるんだ。
自動哺乳機はまだミルクが必要な仔牛が近寄ると、牛の乳頭をかたどった飲み口が出てくるようになっており、その仔牛の摂取量に達すると自動的に引っ込んでしまいます。引っ込んでしまったおっぱいをずっと見つめ、鳴きながらもっとほしいと懇願する仔牛を見ているとちょっと切ない気持ちにも。
僕たちは残念ながらミルク飲み放題というわけにはいかないんだ。でも機械化することで仔牛のミルクの飲む量や健康状態もすべてデータで管理ができるから、とても効率的でみんなにとってもプラスなんだって。
ここまでで作業の約半分が終了しました!
外での餌やりは寒いけど、それぞれ牛たちの反応が違っていて面白い。何度やっても飽きません。そしてその後の畜舎の中では、おっぱいを探し求める仔牛たちにたっぷり癒されました。
後編はいよいよメインイベントのミルクやりの様子、そしてなんと、幸運にも滅多に立ち会えることのない牛のお産シーンに遭遇します。最後に荒井さんとお話することもでき、さらに内容は盛りだくさん。ぜひ、お楽しみ!!
農家に嫁いだママたちのホンネ〜農家のママさん座談会〜
上士幌町に広がる十勝らしい畑の景色。皆さんは農家の生活にどんなイメージを持っていますか?今回は、結婚を機に上士幌で生活している3人のママ友さんに集まっていただき、初めて上士幌に来たときの気持ちや町での子育て、農家の奥さんとしての暮らしについてお話しいただきました。
WRITER
苅谷 美紅 (かりや みく)
北海道千歳市出身。テレビ番組ADをしていた東京生活から、青年海外協力隊としてブラジルへ。コロナ帰国後、MY MICHI2期生を経て、取材メンバーとして活動しています。マイブームは朝起きて熱気球を探すこと。
<座談会メンバー紹介>
2016年より上士幌町在住
増田 奈々子さん
30歳、江別市出身、3歳の男の子と1歳の女の子のお母さん。
2009年より上士幌町在住
早坂 友美さん
32歳、帯広市出身、10歳の男の子、7歳の男の子、3歳の男の子のお母さん。
2015年より上士幌町在住
楠 愛美さん
31歳、伊達市出身、5歳の男の子、3歳の女の子のお母さん。
農家に嫁ぐことになったときの気持ち
皆さん、結婚を機に上士幌町にいらっしゃったんですよね?ご結婚される前は、どちらにいらっしゃいましたか?
ずっと帯広です。実家からも出たことありませんでした。
私は札幌で働いていました。
私は大学を出たあと帯広で看護師をしていました。
上士幌町の第一印象を覚えていますか?
実は同じ十勝に住んでいながら上士幌には来たことがなかったんですよね。来て、最初にびっくりしたのが、スーパーの閉店時間が早いこと(笑)。あと町がすごくコンパクトなことにも驚いた記憶があります。
私は、夫とは高校生の頃にバスケ繋がりで知り合ったんですよね。私の地元で下宿をしていたので、当時は上士幌と聞いてもどこにあるのか知らなかったです。
農家に嫁ぐことになったときの気持ちって覚えていますか?
私は社会人になってから夫と出会って結婚したんですけど、特に農家への抵抗はなかったですね。今思えば農家というものがわからなかっただけかもしれないけど(笑)。
ななちゃん(増田さん)、抵抗あったって顔してるね。
…うん、最初はあった(笑)。それまで事務職だったから、そこから畑!?みたいな感じで。
私は子どものころから、お母さんが好きで山登りとかやってたんだよね。看護師のときも友だちと行ってたし。だから上士幌ってきっと自然が多い町なんだろうな、くらいの気持ちだったよ(笑)。
私、今だから言えるけど、結婚して初めて上士幌に来るとき車の中で泣いていました(笑)。
ほんと!?
自分でもなんで泣いてるかわからないんだけど、夫も「なんでそんなに泣くの!?」って(笑)。次の日から夫は仕事だったから、家に一人きりでしょ。それでまた泣いて。「帰りたい」って何度思ったことか(笑)。
来たばかりだと知り合いもいないし大変だよね。
私も最初は家族以外は知り合いもいないし、ずっと一人だったな。結婚してから2年くらいは3日に1回は実家に帰るっていう生活をしてた(笑)。それからJAの女性部に入ったり、あとは子どもが生まれてからかな。少しずつ横の繋がりができていったのは。
農家の仕事のこと、ご両親のこと
農家の仕事を手伝うことに対しては何か思いましたか?
何も知らなかったんですよね。結婚する前に一度だけ畑の作業を見にきたくらいで。植え付けをしていたんだけど、そのときは何してるかもよくわからないみたいな。「うわ、すっごい大きい機械が動いてるなー」という感想だけ(笑)。
ななちゃん(増田さん)は結婚する前に手伝ったりはしなかったの?
全くしてない。何回か家に来たことはあったけど、帯広で食べ歩きとかしていることが多かったかな。上士幌を堪能することは一回もなかった。
じゃあ、結婚してから「畑出るぞ」みたいな?
うん、結婚してから。8月に上士幌に来て12月に結婚式を控えてたんだよね。お義父さんとお義母さんも気を使ってくれて。「今年は畑に出なくていいからね、来たときはのんびりしてて」って言われたけど、家にいても一人だし、畑に出た方が気分転換になると思って1週間くらいで仕事を手伝いはじめた。ちょうど小麦が終わったときだったから、芋掘りからやって。やってみたら案外楽しい!って思ったんだけど、初めてトラクター乗ったときには酔っちゃって…
揺れるからね。
それが一番辛かったかな。二人は酔わなかったですか?
全然酔わない!車酔いとかしないからじゃない?
いや、車酔いは私もしない(笑)。
ちなみに、農家に嫁ぐとなったときに、皆さんのご両親はどんな反応でしたか?
心配はしていましたね。土も触ったことがなかったし。虫も嫌いだし(笑)。畑に出て私の足に大きな蜘蛛が登ってきて大騒ぎしたこともありました(笑)。
増田さんのご両親は?
泣いたことは言わなかったの?
言ってない。親には辛いとか、そういうのは絶対言わない。「頑張ってるよ」って伝えてる。
楠さんは?
私の両親はそんなに心配していなかったですね。
出身の伊達市も農家さんは多そうですよね。
多いですね。それこそ、私の妹も農家に嫁いだんですよ。
え、じゃあ二人とも農家なんですか!?
そうなのさ!
すごーい!姉妹で農家!
だからお互いに野菜を送りあったりもする。こっちからはジャガイモを送って、向こうからは葉物を送ってもらったり。
上士幌に住んでいるとジャガイモは困らないよね。うちは冬は毎日ジャガイモ祭りだよ(笑)。
私、結婚した年に知らずにジャガイモを買ったんだよね。
ええっ!?
結婚したばっかりのときね。なんでわざわざ買ってるの?って言われた(笑)。
あ、でも私も宅配で注文番号を間違えてジャガイモが届いたことがある(笑)。
一番嫌なミスだね(笑)。
農家を手伝いながらの子育て事情
皆さんは普段どのくらい働いているんですか?
私は収穫で忙しい時期とか、出れるときくらいかな。
なんだかんだ、子どもの送り迎えとか毎日予定ありますよね。
そう。送り迎えと病院も多いよね。この前なんて、帯広・音更を3往復したの。
子どもが怪我して、午前中に帯広の整形外科に連れて行ったんだ。その後学校まで送って、音更で買い物してたんだよね。そしたら「お子さんの咳止まらないのでお迎えをお願いします」って。念のため病院に連れて行ってということになったから、また音更まで戻って病院に行ったんだよ。
大変だったね(笑)。
お子さんの送り迎えもあると、農場の手伝いはなかなかできないんですか?
午前中だけとかなら手伝うことはありますね。引っ越してスクールバスになったから、少しは楽になったけど、通院とかで15時に迎えに行かなきゃいけない日も結構あって。午後はちょっと時間が中途半端なんですよね。
まなちゃんは働いてる?
収穫のときとかは普通に働いているかな。忙しい時期は朝は子どもを7時半にこども園に預けて、18時半に迎えに行くから、8時から18時くらいまでは働いてる。
まなちゃんは一番働いてると思う。去年は冬もずっと働いてたじゃん。
え!?冬も?
そうそう。長芋が終わった12月くらいから植え付けがはじまる4月まで上士幌クリニックで働いていたんだよね。今年は行ってないけどね。
お子さんと一緒に畑に出たりもするんですか?
コロナで自粛中は毎日畑までお散歩してました。子どもも体力がついてるから、「畑行く!」って走って行っちゃって私が取り残されたこともあります(笑)。
うちも、畑は行きますね。それこそ夏だったら、ビニールハウスで一緒にトマトやナスを穫ったりします。「これ自分で穫った野菜だよ!」と言うと食べてくれるんですよね。
へー!
なんかいいなあって。これが食育かな、みたいな。
楠さんも畑に連れて行きますか?
連れて行きますね。ずっと家にいるとゲームとかはじめちゃうから、外に連れてトラクターに乗せたりします。
うち、3人いるから誰がトラクターに乗るかでよく揉める(笑)。
トラクターはみんな乗りたいよね。
つい最近もあったんだよね、雪踏みをするのにパパが、「明日俺とトラクター乗る人誰?」って言うと、みんな「はーい!」ってなって。運転席の隣にもう一人座れるトラクターがあって、誰が座るかでひと悶着だよ(笑)。
わかる。うちも乗りたがる。
お手伝いはするの?
今年上の子は植え付けのイモ植えを手伝ったって言ってた。
機械に乗って?
そう。乗りながら手伝ったって。それこそ、ビートポットのときも一緒にハウスに入ってたよ。
うちも最近、上の子がこども園が休みの日になると自分から、「じじばばのところ(畑)に行きたい」って言うようになったな。
へ〜。
でも畑が広いから、連れていってもじじばばがどこにいるのかわからない、みたいな(笑)。
農家のママから見た町の良さ
もう上士幌での生活も慣れていると思いますが、改めて町の良さを挙げるとしたら?
私はやっぱり、こども園無料や医療費無料とか、子育ての補助が手厚いのがいいなあって思います。
漢検や数検も無料で受けられるもんね。そういう補助もありがたい。
子育てはしやすい町だと思う。
あと、冬のんびりできるのもいいなあと。夫が「メリハリがあるから夏頑張れる」ってよく言うんですよね。夏は忙しいですけど、1年を通して生活のリズムがあるから、それもいいなあと思います。
あと星がめっちゃ綺麗ですよね。
うん、本当に綺麗。感動しました、星は。
農村部は街灯もないからね。
星だけでなくて、農家さんだと家の周りでも夕日が綺麗に見えたりもするんですか?
綺麗ですね。特に芋掘りの時期は夕方まで畑にいるので。いつも芋掘りしながら沈む夕日を、めちゃくちゃ綺麗だなって見てます。
朝日もいいよね。それこそ朝4時半とかに畑に出たりすると、朝日がめちゃくちゃ綺麗。
やっぱり景色は綺麗だし、自然が感じられるのはいいよね!
上士幌の外から、上士幌町にやってきた3名のママさん。初めて町に来た当時の一人で不安だった気持ちや、子育てをする中での大変さ、そして、お子さんと畑に出る楽しそうな暮らしを垣間見ることができました。上士幌町に来る前は、東京の大学に行き、大都会で働いていた私ですが、同世代の3名の話を聞いて畑で作物と触れ合いながら子どもを育てるのも素敵だなあと、田舎暮らしへの憧れを抱き始めるのでした。
楠さん、増田さん、早坂さん、ありがとうございました!
上士幌町で落ちている枯れ葉を使って草木染にチャレンジ!
皆さんは、草木染(くさきぞめ)をしたことがありますか?草木染の歴史を調べてみると、縄文時代にはすでに草木染をしていた形跡があったなど、とても伝統的な染物らしいです。そこで今回は、町民の方に教えていただきながら、上士幌町のものを使って初めての草木染にチャレンジしてみました。
WRITER
田中 亮 (たなか りょう)
JICA訓練生。1982年生まれ。茨城県出身。自然が好きで、土や水の分析をしてきました。自然豊かな上士幌町に「個性」を感じています。もっともっとこの町の「個性」を発掘していきたいです。
上士幌町での草木染との出会い
JICA訓練生として、5カ月間上士幌町に滞在している中で多くの上士幌町民の方に出会ってきました。その出会った方の中でなんと、草木染をしている方がおり、興味を持ちました。「草木染を教えてほしい!」思い立ったら即行動です。早速、お願いをして日取りを決めて当日を迎えました。
草木染体験
体験場所に到着すると、目の前にはものの見事な草木染が飾ってあります。
草木染とは、野生の草花や枯れ落ちた葉などを集めて布を染める染め物のことをいうのですが、こちらは上士幌町役場の花壇で咲いていたマリーゴールドで染めたのだそうです。見ごろを終えた花をいただき、1枚の布からカーテンを作ったそう。おしゃれな雑貨屋さんで売っていそうな模様だったので、自分にもこんな作品が作れるのだろうかと、期待に胸をふくらませながら体験がスタートしました。
準備編
準備するもの
布、輪ゴム、ミョウバン、錆びた鉄くぎ、落ち葉、玉ねぎの皮、黒光大豆
布はコットンリネンという生地を使います。耐久性と吸水性に優れ、風通しがよく、肌触りもよい特徴が草木染に向いているそうです。大きい布を用意し、ほどよい大きさにカットします。そして、染める際の隠し味的な要素として、ミョウバンや錆びた鉄釘を入れます。発色をよくしたり、色素を繊維に定着させて色落ちを防ぐ効果があるそう。これを「媒染(ばいせん)」と呼ぶそうです。錆びた釘にもそんな役割があるんですね。
そして、ただ染めるだけではなく、せっかくなので「模様付け」にもチャレンジすることに。輪ゴムを使って模様をつけることができるそうです。輪ゴムを使うときのコツは、「きつく縛ること」。なぜなら緩いと色が染み出て、きれいなコントラストにならないからです。模様付けには割りばしや、タコ糸、ビー玉を使います。どんな模様がでるかはできてからのお楽しみです!
輪ゴムを布に縛っていきます。
全体だとこんな感じになります。
落ち葉編
ここからは染める植物ごとに紹介を進めていきます。まずは落ち葉!落ち葉でもできるという情報を得られたので、上士幌町内の落ち葉を集めてチャレンジしました。
落ち葉であれば、役目を終えた葉ばかりなので、拾って活用することにとても意義深いものを感じます。
さっそく、落ち葉から色素を取り出す準備にとりかかります。ホームセンターなどに売られている玉ねぎ用のネットに落ち葉を詰め込みます。
鍋に水を加え、中火でぐつぐつ煮出していきます。
30分後、落ち葉を取り除き、布を投入し、15分ほど染み込ませます。
その後に錆びた鉄釘を投入してさらに15分漬け込むと・・・
なんと、水玉模様が浮かび上がってきました!!この淡い感じがなんとも言えないですよね。
玉ねぎの皮編
続いて、玉ねぎの皮を使います。こちらも普通は捨てるものですよね。そんな捨てるものが活用できるなんて一石二鳥です。
ちなみに上士幌町で買った玉ねぎを使用していますよ!
玉ねぎの皮に水を加えて煮出していきます。
色が染み出たら、玉ねぎの皮を取り除いて布を入れ、30分ほど煮ます。媒染には、釘とミョウバンをそれぞれ使ってみました。
キレイに仕上げをすると・・・
斜めのラインが入った模様の完成です。玉ねぎは落ち葉に比べて色が濃いですね。ちなみに、どちらも玉ねぎの皮を煮だした液に付けた布です。上側が錆びた鉄釘、下側がミョウバンを使って媒染しました。媒染に使うものを変えただけでこんなにも色が変わるんです!
光黒大豆編
最後は光黒(ひかりくろ)大豆を使用しました。使用するのは、上士幌町で栽培されている黒豆で名前の通り、表面に光沢があるのが特徴です。煮豆や豆腐、お菓子作りに活用されています。いい黒に染め上がりそうですね。
方法は落ち葉、玉ねぎの皮と同じです。
これにはびっくり!煮出した液は黒色でしたが、布に染めると紫色に変わりました。色の変わり具合を見るのも草木染の醍醐味です。
綺麗な紫色。うれしくて、思わず片足も上がってしまいました。
染めた布は軽く水洗いをして干します。
こちらが今回チャレンジした草木染の作品です。時間もそんなにかからず、色の変わり具合をみたり模様をつけたりと、とても楽しかったです。使う材料と媒染の組み合わせでさまざまな色が出せますので、皆さんも身の回りのものを使ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
上士幌町でも門松を作っている??北海道緑化樹芸さんに潜入してみました!
日本のお正月といえば忘れてはいけないのが正月飾り。年神様を迎えるために飾られるものの一つに門松がありますが、皆さんは門松がどう作られているのかご存じですか?聞けば上士幌町にも門松の製作をしている会社があるのだとか。僕たちが上士幌滞在中にお手伝いをしていたまちづくり会社が門松を発注すると聞き、この機会に門松作りを見せていただけることに!厳冬の十勝だからこそ行う工程があったりと、とても貴重な場面を見ることができましたので、皆さんにもお伝えしていきます!
WRITER
渡邉 史也 (わたなべ ふみや)
JICA訓練生。1997年生まれ。茨城県出身。上士幌町のあらゆる人、場所、生業に広く目を向け、自分の琴線に触れるものをどんどん紹介していきたいです。
こんにちは。JICA訓練生として、上士幌町に赴任したふみやです。皆さん、今年のお正月はどのように過ごされましたか?私は大量についた餅を消化するべく日々奮闘していました。もし同じ方がいらっしゃいましたら、以下の記事を参考にしていただきますと、さまざまな味をご紹介していますのでぜひ!
門松作りの現場へ
今回伺ったのは、上士幌町にある『有限会社北海道緑化樹芸』さん。普段は土木や造園関連の仕事を手広く行っている企業です。
門松を作り始めたのは、約10年ほど前に、帯広にある知り合いの会社から「門松を作ってくれませんか」と依頼があったことがきっかけだったそうです。その後「どうせ作るなら1つ作るのも複数作るのも一緒だから」という理由で、門松作りを始められたそう。
それ以来、主に上士幌町の企業や農家さんに門松を作って販売していますが、個人のお宅でも依頼すれば作っていただけるそうです!サイズの違う門松を4つ作っており、小さいサイズから順に1万円、1万5千円、2万円、2万5千円という価格だそうです。一般的にはもう少し価格が上がるそうなのでリーズナブルですね。
早速、門松製作の現場に。毎年門松を作る際は、こちらの倉庫を使って作業をしています。
今回ご紹介するのは1万5千円の中くらいサイズ。中サイズとはいってもかなりの大きさで、約2.3kgの重さがあります。今年(2020年)の受注数はおよそ70個で、12月21日から作り始めて、12月26、27日の2日間で完成したものから順次配達するそうです。これだけの数を3人で作り上げるということなのですが、一体どうやって作るのでしょうか?
まずは土台作り
早速作り方を見ていきます。まずは土台作りから。
高さ40cm程の塗料の空き缶に、「こも」という藁を編んだものを、空き缶の高さよりも長めにとって巻き付けていきます。ぐるっと一周したら、わら縄を3カ所に縛ります。
縛り方は男結びという縛り方で、結びやすくて解けにくいのが特徴です。
緑化樹芸さん曰く、「こもを縛るのが一番の力仕事ですね。ずっとやっていると指が痛くなって大変です」とのことでした。この縛りがゆるいと見た目が悪くなってしまうので、非常に大変な作業であることがうかがえました。ここで重要なのが、巻く回数と結び目の向きです。
巻く回数は上から順に3、5、7回と決まっていて、割り切れない数にします。さらに真ん中以外の結び目は完成した際に真後ろに来るように縛り、長い部分を切り取ります。真ん中の結び目だけは見栄えのために正面で結ぶのがポイントです。縛り終えたら、今度は余分なこもを外側に広げるように折り曲げ、土台を安定させたらこの工程は終了!
土台に砂を入れて飾りつけ
ここまで行ったら次の工程へ。土台ができたら組み立てを行うのですが、まずは竹や松などを刺して固定するための砂を入れていきます。
この写真では山のように積まれた砂がありますが、じつは隣で乾燥機をガンガンに回しています。それは一体なぜでしょうか?
答えは非常にシンプル!「凍っているから」です!!
土台の中に砂を入れて飾りを固定させるには、まず砂に含まれた水分を完全に飛ばし、サラサラの状態にする必要があります。この時期にはどうしても砂に含まれた水分が一夜のうちに凍ってしまうため、使う分は乾燥させないといけないのだそうです。冬の北海道ならではの工程ですね。
そうして乾燥させた砂を土台に入れたら、ついに飾りつけ作業に入ります。まずは松を刺していきますが、松は複数回に分けて刺していきます。
最初に刺す分は奥側に数本刺し、徐々に扇形になるように広げていきます。ある程度刺したら、今度は竹を刺していきます。
節が真ん中に来るように斜めに切られた竹を3本、それぞれの長さが手前から奥になるにつれて長くなるように調整し、男結びでまとめます。その後、土台に刺していきます。
それから竹の手前に、みずきという冬場になるとほんのり赤く色づく枝と、造花を刺します。ここまで来たらほぼ完成!あとは再び松を扇状に刺し、中に水をかけて砂を固めたら完成です!
ついに完成!
ついに出来上がりました!こんなに素敵に仕上げていただいたのですから、2021年もきっと素敵な年になるはず!早速ハレタまで運んでいただきました。
改めて会社に置かれているのを見ると、お正月らしさが感じられて良いですね!
サイズに違いはありますが、70個もの門松を3人で作っていらっしゃったことには驚きでした。しかし思っていたよりも複雑な工程は少なく、材料さえあれば自分でも小さいものなら作れそうなので、来年は作って飾ってみたいと思います!大きなサイズの門松を飾りたいと考えている方はぜひ依頼してみてはいかがでしょうか?最後まで読んでいただきありがとうございます!
INFO
有限会社北海道緑化樹芸
住所 〒080-1408 北海道河東郡上士幌町上士幌248
電話 01564-2-3572
「オリベの豆や」で豆料理やで~レシピ紹介!
JICA訓練生として上士幌町に滞在している私フミヤは、かみしほろ人材センターの会員として豆農家である関口農場さんから「世界の豆料理を教えてほしい」という依頼を受け、3品の料理を作りました。この記事ではその料理のレシピを紹介します!
関口さんからの依頼記事はこちら!
WRITER
渡邉 史也 (わたなべ ふみや)
JICA訓練生。1997年生まれ。茨城県出身。上士幌町のあらゆる人、場所、生業に広く目を向け、自分の琴線に触れるものをどんどん紹介していきたいです。
今回紹介する料理は以下の3品。それぞれに関口農場さんで栽培している豆を使用します。
・フェイジョアーダ(ブラジル)
・フムス(イスラエル)
・鶏肉のオレンジ煮(日本)
まずは事前に豆を茹でで柔らかくしておきます。それでは順番に作り方を見ていきましょう!
フェイジョアーダ
【材料】
レッドキドニー、パンダ豆、ソーセージ5本、ブロックベーコン、玉ねぎ1個、ニンニク1かけ、赤ワイン、塩適量、ローリエ3枚、コンソメキューブ2個、水、豆の煮汁、オリーブオイル
1. 深めのフライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたニンニクを入れて、香ばしい香りがするまで炒める。
フェイジョアーダは煮込む工程があるので、少し深めのフライパンで作るといいでしょう。なるべくオリーブオイルにニンニクの香りを移したいので、火にかけるのはどちらも入れてからにします。
2. 油が温まったら角切りのベーコンとソーセージを入れて、焼き色がつくまで焼いたら一度取り出し、次にみじん切りにした玉ねぎを入れて炒める。
取り出す際はなるべく油をよけて取り出します。フライパンに残った油は玉ねぎを炒めるために使います。
3. 玉ねぎがしんなりしたらベーコンとソーセージをフライパンに戻し、レッドキドニーとパンダ豆を入れる。
ここで登場! レッドキドニーとパンダ豆です。
レッドキドニーは、味はあっさりとしていて癖がないので、さまざまな料理に合わせられる万能な豆です。茹でてもきれいな赤色が変わらないので、彩りとしても活躍します。
パンダ豆は名前の通り、白と黒の2色に分かれている面白い豆です! 茹でるとホクホクとした食感に、やさしい味わいとなります。茹でただけでも美味しい豆ですが、今回はグッと堪えてフライパンに豆を投入します。
4. 赤ワイン、煮汁、水、コンソメ、塩、ローリエを加え沸騰させる。
豆を投入して少ししたら、上記の調味料を入れて混ぜます。赤ワイン、煮汁、水の割合は1:1:1で、具が完全に浸らない程度を目安に入れます。
5. 沸騰したら弱火にして蓋をし、30分ほど煮詰める。
全体にバランスよく味がなじむように、定期的にかき混ぜます。煮詰めきったら完成です! 煮詰めすぎて焦げ付かないように気を付けましょう!
フムス
【材料】
福白金時、練りごま、オリーブオイル、ニンニク半欠け、塩適量、レモン果汁少々、香辛料(クミンパウダー、カイエンペッパー、パセリ等)
1. フードプロセッサーに福白金時、みじん切りにしたニンニク、オリーブオイル、塩、練りごまを入れてスイッチを入れる。
今回使う福白金時は関口さんイチオシの豆です。茹でるとすっきりした味わいの中に少し甘みを感じられ、茹でたままの状態で食べても非常においしいです!
今回は練りごまがなかったので、ごまとごま油を入れて代用します。調味料といっしょに、贅沢な量の福白金時を投入したらスイッチオン!
2. 豆の形が崩れてきたら煮汁とレモン果汁を少量入れて再びスイッチを入れる。
レモン果汁の量はお好みですが、大さじ2杯くらいを目安とすると良いと思います!
3. しっとりとするまで煮汁を少しずつ入れて調整する。
煮汁は一度にたくさん入れるのではなく少量を追加、撹拌を繰り返します。しっとりしてきたら一度味を確かめ、味が薄かったら塩を入れて撹拌します。
4. 皿に平らに盛り付けたらオリーブオイルをまわしかけ、香辛料をかける。お好みで豆を乗せてもgood!
完成です! 今回はクミンパウダー、カイエンペッパー、パセリをかけてみました! さらに余ったレッドキドニーとパンダ豆を散らして芸術点を高めます。なかなかの仕上がりになったのではないでしょうか?
鶏肉のオレンジ煮
【材料】
手羽元、長ねぎ1本、黒千石大豆、ごま油、塩、酒、タレ(オレンジジュース200cc、水200cc、ママレード40g、ケチャップ30g、醤油15g、はちみつ20g)※「中村屋」レシピ参考
1. 手羽元に切れ目を入れ、塩と酒を振って下味をつける。
手羽元の皮目を下にして、骨に当たるように包丁で切れ目を入れます。中まで火が通るようにするのと、味をしみ込みやすくするのが目的です。手羽元は煮込むので、下味は最小限にします。
2. 黒千石大豆をフライパンで炒って香りを出す。
ここで黒千石大豆の登場です! この豆はほかの料理で使った豆と違い、炒って香りを出すことが目的になります。またサイズも小さいため、前日からうるかしておく必要もありません。温めたフライパンに入れて放置し、パチパチとした音が鳴ってきたら次の工程に進む合図です。
3. 黒千石大豆を取り出し、ごま油を入れて温まったら手羽元を焼く。
炒った黒千石大豆は非常に香ばしい香りがしています。実際に食べてみると、カリッとした食感と共に広がる香りが最高です! 手羽元は皮目を下にして、こんがりと焼き色がついたらひっくり返しましょう。
4. 全体に焼き色がついたら手羽元と黒千石大豆を鍋に移し、タレと一緒に中火で煮込む。
黒千石大豆の香りがタレと合わさり、いい香りがしてきます。あとは火加減を調整して待ちましょう。
5. 沸騰してきたら弱火にして40分程度煮込む。
弱火にしたら後は蓋をして放置します。一番弱い火力で長時間、それがお肉を軟らかく煮るコツです。
6. 白髪ねぎを添えたら完成!
できました! 煮込んだ黒千石大豆も柔らかくなり食べやすくなっています。香ばしい香りが損なわれることもなく、豆だけで食べてもおいしい仕上がりになっています!
今回ご紹介した3品はいかがでしたか? 私自身、豆については全然知らなかったのですが、今回の企画を通してさまざまな種類の豆について知ることができました。知れば知るほど奥深い豆の世界。皆さんも、オリベの豆やさんの豆を使って豆料理を作ってみませんか?